ユニコーンの「大迷惑」を聞いていたら何となく思いついたネタ。
〇〇「街の外れでシュビドゥバ~、さぁりげなく♪夢に見たマイホーム、青い空ぁ~♪」
里人A「お!〇〇、今日もご機嫌だな。」
里人B「いつもその歌を口ずさんでいるな。」
ご機嫌な雰囲気にしっかりとした足取りで大工仕事に精を出す青年。
彼の名前は〇〇、一年前に外界から幻想郷に迷い込み妖怪に襲われ命からがら人里にたどり着き、幻想郷の説明を受けると、驚いていたが直ぐにあっけらかんとした態度で「しばらく居たい。」と申し出た。
幸い里には外来長屋があり、明朗活発な性格と手先が器用のおかげで大工の見習いの仕事も直ぐに見つかり、里人からの差し入れで生計は十分に立てらていた。
〇〇「あ、どうも。おはようございます。」
里人A「お前さんが来て、もう一年になるな。」
〇〇「そうですね、いや此処は妖怪は怖いけど自然がある、食べ物は美味い、人がみんな優しい。だから住み易くって気が付くと…って、感じです。」
里人B「なら、いっそ此処に骨を埋めたらどうだ?」
〇〇「いやいや、向こう(外界)には両親が居るので、いずれは帰りますよ。」里人A「今、口ずさんでいた歌みたいに『三年二ヶ月のいわゆる一人旅』なもんか?お前さんがよく歌っているから覚えてしまったよ。」
〇〇「あちゃ、覚えてしまいましたか?」
仕事場に三者の笑い声が木霊した。
時は過ぎて時刻は夕方ー
人里のメインストリートを抜け住居である外来長屋の自分の部屋に行く〇〇。
〇〇「枕が変わってもや~っぱりする事は同じ~。ボ~インの誘惑に~…」また例の歌を口ずさみ戸を開けると。
「「お帰りなさい〇〇(さん)」」
二人の女性が居間で相対する様に座っており顔を〇〇に向け挨拶した。
一人は人里の守護者である上白沢慧音。もう一人は幻想郷の閻魔様である四季映姫。
二人共、人里に住む時や博麗神社での宴会で知り合った間柄である。
〇〇「え~…と、お二方は何故、自分の家に?」
映姫「その前に〇〇さん、そこに座って下さい。」
〇〇「え…いや…はい?」
慧音「いいから、座りなさい。」
気迫に圧され二人の前に座る〇〇。
慧音「〇〇、率直に聞くがいずれ外界へ帰ると言うのは本当か?」
〇〇「え?あ…はい、そうですよ。誰から聞いたのですか?」
慧音「それは毎日、見て【監視して】いる…違った、そんな事はどうでもいい、何故帰るのだ?」
〇〇「それは向こうには両親が居ますから。」
映姫「今しがたもですが、貴方がよく口ずさんでいます歌の歌詞に『この悲しみをどうすればいいの?誰が僕を救ってくれるの?』とありますがあれは、貴方の心情ですか?」
〇〇「あれ?映姫様も仕事が忙しいはずなのに、なんで歌の事を知っているのですか?」
映姫「だから、いつも見て【監視して】いる…違った、質問に質問で返さないでちゃんと答えて下さい。」〇〇「まぁ確かに若干、歌詞の内容が今の状況が似ているのでそうですね。それと、お二方さっきからニュアンス的に怖いことを露骨に言ってません!?」
焦る〇〇を横目に顔を俯かせ何やらブツブツ呟いている。
不穏な空気が漂ってきて悪寒がした〇〇。すると、二人は急に顔を上げ瞬く間に〇〇の左右の腕を抱き鬼気迫る勢いで語って来た。
映姫「あの歌が今の貴方の心情ならば、心の拠り所を作ればいいのです。だから、ここは閻魔である私が貴方の傍に居れば寂しく無い上に善行を積めるので一緒になるべきです。」
慧音「何を言う!歌を聞いていたなら〇〇が求めていたのがわかるはずだ!!それは『母性【胸】』だ!その小さめな母性では〇〇の寂しさは埋めきれない。ここは私と一緒になるべきだ。」
〇〇の意思を無視し互いに睨み合い、〇〇を挟んで口論する二人。
慌てた〇〇は止めに入ろうとすると血走った虚ろな目で
「「〇〇(さん)!!どちらを選ぶ!?」」と迫られた。
その時、彼の頭の中には例の歌の歌詞にある「帰りたい、帰れない。二度と出られぬアリ地獄」の部分が再生されていた。
最終更新:2011年03月04日 02:06