〇〇「熱つ…。もういいかな?」
芹、なずな、御行、はくべら、仏の座、すずな、すずしろ。言わずもがな七草粥に入れる野草だ。
新年早々、博麗神社で行われた宴会。
綺麗な女性に囲まれてお節料理も酒も美味かったが、正月に疲れた胃に七草粥が一番だ。
向こうに(外界)に居た時から作って食べていたし、自然が沢山ある幻想郷。
材料や作り方に不足は無くたった今、出来たばかりだ。
〇〇「いただきますっと。」器に七草粥を入れ合掌し食べる。
「うん、今回も上出来だ」と、そう思っているとー、
トントントンと誰かが扉を叩く音が。
〇〇「はい、どちら様ですか?」と尋ねると
慧音「〇〇私だ。すまないが開けてくれ。」と慧音さんの声が聞こえ自分は固まった。
慧音さんには人里に住むにあたり、かなりお世話になったがまだ慧音さんが半獣だと知らずに満月の夜に厠へ向かう途中、襖に何者かの影が浮かんでいてそっと襖を開けて外を見ると角を生やした慧音さん(ワーハクタク?と言うらしい)が満月を背にこちらをじっと見ていた。
その光景に得体の知れない恐怖を感じ、それから慧音さんには普段の日はごく普通に接するが満月の日は極力、必要以外接しない様にしていた。
折しも今日は満月…。
用があるから来たはずだが、悪いが明日にして貰おう。
〇〇「慧音さん、すみませんが今日はもう寝ますので用があるなら明日にでおねg…慧音「おかしいな?たった今、『いただきます』と聞こえたはずだが?食事を始めたばかりであろう?」
〇〇「い…いや、食べたらすぐに寝ようかと思っているので。」
慧音「おいおい、行儀が悪いぞ?そんなお前のことだから大したのを食べていないはずだから七草粥を作って来たぞ?土鍋で手が塞がっているから開けてくれ。」
〇〇「気持ちは有り難いですが後で食べますから、そこに置いといて下さい。」
慧音「人の好意を無下に断る上に何だその態度は!?今すぐに礼儀と言うのを教えてやる!!」
怒気混じりの声と同時に扉がガタガタガッと震えるが、霊夢から貰った御札を扉に貼ってあるお陰で今の慧音さんには開けられないはず……と、過信していた。
次第にガンッ!ガンッ!と何かを打ち付ける音に変わり扉が軋み始めた。
そして数分後ー、遂に扉が大破した。
そこには額から血を流して血まみれの土鍋を持ち、濁った目で歪んだ笑顔のワーハクタクの慧音さんが立っていた。
慧音「さぁ〇〇、冷めない内に召し上がれ。」
最終更新:2011年03月04日 00:54