数ヶ月前、不意に外界から幻想郷へ迷い込んだ〇〇
森の妖怪から逃げきり人里に命からがら辿り着き用事で偶然居合わせた博麗の巫女、博麗霊夢と人里の守護者、上白沢慧音に幻想郷の説明され、始めは半信半疑だった〇〇だが先刻に体験した恐怖で信用する。
それにあたり帰るか残るか問われると、意外にあっさりと「残る。」と決意する。理由は「確かに妖怪に食われそうになったのは怖かった。けど、外界から来た自分が言うのは何だけど食われはしないけど、向こうの人間や社会は此処の妖怪以上に恐ろしいのが跋扈している。そんな世界はもう沢山だ。」とのこと。
それから〇〇は、人里で日雇いの仕事や畑の手伝いで生計をたてながら暮らして行く。
博麗神社での宴会にも呼ばれ霊夢の友人である、霧雨魔理沙やマヨヒガ、白玉楼、紅魔館、永遠亭、守矢神社、妖怪の山の住人、地獄、その他の面子と知り合い宴会の席で「多少、不便な生活だが此処には外では忘れられた礼節とか自然に対する畏敬の念とかが当たり前にある。それは神様、妖怪、全ての人外の皆さんに当て嵌まること。こんな自分をこれからも、よろしく。」と言うと周りからは「畏まり過ぎだ」や「人間に改めて、そう言われるとは。」と各々からの反応が苦笑混じりに返ってきた。
「種族や地位みたいのが違うのもそうだし、何よりそれほど親密の間柄じゃないしなぁ…。」
そう呟くのは、外界から幻想郷に迷い込んであっさりと残留を決めた青年〇〇。
彼は自分の家で最近、頻繁に言われることで悩んでいた。それはこの幻想郷で知り合った面子から「もっと砕けた感じの名前で呼んでほしい」と言われることだ。
例えば彼より歳が下で人間の博麗霊夢や霧雨魔理沙や守矢神社の東風谷早苗や紅魔館のメイド長の十六夜咲夜に対し、「博麗さん」や「霧雨さん」や「東風谷さん」「十六夜さん」と姓で呼び、あまつさえ「~さん」付けで呼ぶ。
年下の人間に対して上記の態度だ。
自分以上に長く生きている神や妖怪などに対しては、「~様」と当然のように呼ぶ。
始めて呼ばれた博麗神社での宴会で、かなり敬いながらも畏まった挨拶した時から態度が変わらない。
少女達は彼ともっと親密に…いや、幻想郷の人間には無い魅力を感じる彼と恋愛をしたい感情を多少なりにも隠し彼に「姓や他人行儀の呼び方ではなく親しみやすい名で呼んでほしい。」と〇〇に嗾ける。
しかし、〇〇の考えは冒頭の通りで「どうしたものか?」と彼は悩んでいた。
だが、彼は知らない。
そんな悩みの呟きを一字一句を聞き逃さず聞いていた人、神、妖怪達が「嗚呼、ソンナコトデ名ヲ呼ベナカッタンダ。大丈夫、スグニ私ノ隣ニ立テテ、名ヲ呼ビアエル存在ニシテアゲル。ソコカラ二人ノ愛ヲ育ミマショウ?」と考えていたのを。
最終更新:2011年03月04日 02:04