1つ原点に戻ってみた
あたいはしがない死神。だけど、この裁判には必ず出席する。
サボり魔のはずじゃないかって? 馬鹿言っちゃいけない。何にだって理由は
あるもんさ。理由? そいつは簡単さ。
『ある日、閻魔が人間に恋をした』
最初は顕界が幻想郷なんて呼ばれてない頃さね。ウチの上司、閻魔様だよ?
赴任されて間もない頃から地蔵業務って張り切って顕界へ行ったのがねぇ。
普通に出会い、普通に恋して普通に愛し合い、普通に……あいつは死んじまった。
そりゃ人間と閻魔様だ、寿命だって違う。上司は閻魔になるとこう、存在の違う
何かになっちまう。最初は地獄送りの判決で裁判後には泣きに泣いてた。
そいつが生まれ変って、またウチの上司に恋をした。
青ざめた顔で相談があるって言われちゃ私もやぶさかじゃないし、勿論相談にも
のったし確認もしたさ。魂魄は同じで性格も前回との変化が少々。恋し愛した相手
だよ? 上司も同じく、また恋し愛して……地獄送りになった。
この頃からかね、あたしがサボり癖があるって言われだしたのは。
なんでかもう想像がつくだろうけど……3度目以降も、ねぇ。
数えるのも馬鹿らしい時期に、あのスキマ妖怪が結界なんてにも張ったけど今度
は外から来た外来人って奴になってあいつは戻ってきた。
今、今回のあいつの裁判が終ろうとしてる。でも閻魔様になっちまったウチの上司
は気付いてないんだろう。綺麗な御髪は半分白く、声は震えに震えて……その目
からは血色の涙を流してる。周囲の書記なんかはもう顔を上げない恒例な風景って
奴さ。
手元の鏡であいつの誕生を喜び、恋して愛しちゃ最後に自分で地獄送り。
辛くても逢いたくて、スキマ妖怪に頼んでもあっちで忘れられて結局は愛しちまう。
「…………と、以上の罪状により貴方は地獄送りとなります。」
終る度に狂乱し、生まれちゃ喜び、愛し合っては地獄に送ってまた狂う程の苦悩。
何度も話を聞いてたアタイは……だからこそ周りがギョっとしたこの言葉も納得だ。
「でも、それでも! もう離さない離れないっ!!!」
閻魔様になっちまってる状態ですら愛に狂乱させたこいつって存在に。
くぅ、上手くかけねーorz
最終更新:2011年02月11日 15:53