俺はこんな台詞が徹夜明けの脳裏に浮かんだ。うん、最近モニターの向こうでパルパルが見えるんだ。
レミリアに詰られた後、○○は無言で当主の部屋から出た。
一分ほどドアの前で待ってみたが、彼女は追い掛けては来なかった。
静かに溜息を付くと、○○は自分の部屋へと向かう。
空気を読んだのか、当主とその夫に忠実なメイド長は姿を現さなかった。
「……本当に、そうなったとしたら」
静かな、コチコチと時を刻む柱時計の音だけが響く部屋の中。
○○の全く平坦な、感情が抜けた声が虚ろに響く。
「レミィ、君はどう反応するかな?」
○○は悲しかった。永遠を誓った相手から、不信の言葉が出て来るとは。
僕は君を真実愛しているのに。
昨日の事だって、フランが暴れたら君の面子が丸潰れになるから必死で宥めてたのに。
レミィは僕の事を信じてないのだろうか? 僕は、君の言葉を全て信じたいと思ってるのに。
「もし、君の言うとおりだったらどうする?」
気が付いたら、フランの部屋に居た。
フランは無防備な状態でスヤスヤと眠りに付いている。
あれ程愚図ったのが嘘みたいな。
「ふふ、寝顔は意外な程レミィにそっくりだね」
軽く、顎の部分を撫でる。くすぐったいのか、フランが軽く肩を竦めた。
その撫で方は寝付かぬ子をあやす時のものではない。
男が女を悦ばせる時に、寝所でレミィにしたものだ。
「レミィ、もし君が苛立ち紛れに言った言葉が事実になったら、君は俺を赦せるかな」
○○は、急にレミリアの愛情を試したくなった。
レミリアが癇癪から言った言葉を幾分実現してみて、彼女の反応を試してみようというのだ。
「出来れば激昂して……俺をズタズタにしてみて欲しいなぁ。それだったら、レミィの俺に対する愛情は本物だって事だし」
愛する者に裏切られた時の怒りの大きさは、愛情深さの裏返し。
だとしたら、レミィが○○に示す怒りの大きさはどれ程のものだろうか。
○○は急に、それを知りたくなった。
そっとフランのキャミソールに手をかける。
ああ、ひょっとしたら、レミリアが怒る前にフランに破壊されちゃうかも知れないな、と○○は苦笑した。
「フランが俺を壊す前に、君の愛情の裏返しを見せてくれよ」
○○の笑顔はレミリアへの愛情でとても澄んでいて……とても病んでいた。
最終更新:2011年02月11日 16:44