下校中、おかしな木片を拾った。
意識しなければただのゴミ。
しかし、じっくり見詰めたり手に取ったりすると、途端にモザイクが掛かったり輪郭がぼやけたりするのだ。

家に帰って、木片をじっくり調べてみたが結局よく解らなかったので、木片を枕元に置いて寝た。


その晩、おかしな夢を見た。


何も無い、開けた空間が地平線の彼方まで延々と続いている。
遠くに沈み行く夕日のようなものが見えるが、いくら待っても夜が訪れることはない。
そして――彼女はそこにいた。

紫色のグラデーションがかかった不思議な亜麻色の髪をして、ゴシックロリータと言われる服を着ている。
綺麗だと思った。

彼女は目を瞑って正座している。長い睫毛だ。
こちらに気が付いたのか、パチリと目を開けて、少しだけ驚いたような顔をした。

「あら、不思議ですね。ここに人が来るなんて。いいのかしら、それとも悪いのかしら」

言葉の意味はよく分からないが、彼女と幾らか話をした。
彼女の名前、俺の名前、趣味、ここはどこなのか、等々。
随分とファンタジスタな夢である。
彼女の話は面白かった。夢の中だというのに時間が速く過ぎていく。


「また、会えますよね」


多分、その言葉に自分は頷いたと思う。
目が覚めた時、おかしな木片は変わらず枕元にあった。

また、あの夢を見れる気がした。

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最終更新:2011年02月11日 18:28