853さんを参考したが微妙な病みと内容…これが駄文ってやつか。
夕方の幻想郷にある人里のとある小屋の裏手からバシンッ、バシンッと何かを叩く音が響き続く。
その音がするは、その小屋に住んでいる道着姿の青年が巻藁をし地面に刺した杭を拳や脚で叩き、突き、蹴りを繰り出して鍛練をしている最中だからなのである。
青年の名前は〇〇。
外界で武道を嗜んでおり、ある日のこと今では滅多にやる人は居ない山篭もりをしようと、山に足を入れた時に幻想郷へ迷い込んだらしい。
その時に人里近くの森で下級妖怪に襲われ、培ってきた自分の武道の技が通じず命からがらだった所を偶然通りかかった、里の守護者である上白沢慧音に助けられた。
そして、一通り説明を受けるとやはり驚いていたが、すぐに「この厳しい環境でしばらく鍛え直したい。」と願い出て、人里の空き家に住み明朗活発な性格ですぐに人々に打ち解け日雇いの仕事などで生計を立てていた。
また里の自警団にも加わり、武道の鍛練は怠らなく今日もまた精を出していた。
〇〇「ふぅ…ここに来て早、半年。腕立て伏せ、腹筋に背筋の筋トレと正拳、裏拳、手刀、蹴り各種を毎日100回づつやって少しはましになったかなって思ったけど…まだまだだなぁ。」
拳を見ると皮めくれて血が少々滴っていた。
〇〇「うへぇ…巻藁は仕方ないけど道着が血と汗でぐちゃぐちゃで汚いな…。さっさと着替えて洗うか。あ、でも先に傷口の処置と湯屋に行くか。」
呟きながらも小屋へ入って行き応急処置と着替えを済まし、〇〇は風呂桶を抱え出て行った。
〇〇が出て行った後ろ姿を確認し出て来る影があった。その影は小屋へと向かっていた。
慧音「行ったか…ふふ、〇〇ちゃんと毎日鍛練しているみたいで感心だ。しかし、脱ぎっぱなしはいかんな、仕方ないから片付けるやるか。」
そう独り言を呟きながら、どこか虚ろな目で自らの行動を肯定し小屋の戸に手をかけ開くと小屋の中には二人の人物が居た。
その二人は紅魔館の主で吸血鬼であるレミリア・スカーレットとその従者で完璧で瀟洒なメイド長である十六夜咲夜だった。
咲夜が〇〇が着ていた道着を持ち、
レミリアは紅茶を飲む準備をしていた。
慧音「貴様達、何をしている!?」
レミリア「あら、里の守護者様こそ何故ここに?私は目覚めの紅茶を飲むところよ。」
咲夜「お嬢様、『隠し味』を入れますのでカップをお出し下さい。」
急に現れたのは恐らくは従者であるメイド長の能力でだろうと理解した慧音の質問にさも当然のように答えカップを差し出す主と〇〇の道着を絞る動作を始めようとする従者。
ちなみにこの二人と〇〇が邂逅したのは数日前に慧音が〇〇を呼びかけて参加した博麗神社での宴会である。
幻想郷屈指の人、妖怪、神の乱痴気騒ぎに面食らっていたが、ここでも明朗活発な性格で打ち解けた次第である。
当のレミリアと咲夜が〇〇の家で紅茶を飲むようになった理由もこの宴会が原因である。
宴会の席で挨拶をしに回ってい来た〇〇とグラスでワインを飲み交わす時にその日も鍛練して応急処置した包帯から血が滲み出ていてグラスに付着した。
慌ててグラスを置いた〇〇は咲夜に謝罪をした。
「気にしてない」と言う咲夜を横目に好奇心で付着した血の一滴を指で舐めたレミリアは目を見開いた。
今まで味わってきた人間の血が不味く思えるほど濃厚さがあった。
宴会が終わり帰る頃には血の味と〇〇の性格も相まって頭の中が彼一杯になった。
その翌日の夕方、いつものように目覚めの紅茶を飲むレミリアは物足りなさを感じた。
レミリア(血…〇〇の血じゃないとダメよ。)
そう考えると行動は早かった。従者である咲夜の能力で〇〇を連れて来るように言う。
咲夜「ですがお嬢様、いきなり〇〇も連れて来るよりは信頼関係を築いてからの方が色々と都合がよろしいかと」
咲夜の提案により〇〇の家へ食事へと誘いに自らが行くも、その日も湯屋へ行った後だったが脱ぎっぱなしの血と汗が混じった道着があり吸血鬼の万力で軽く絞ると血汗が出て来た。
その出て来た水分を啜るとまたレミリアは目を見開いた。
血の濃厚さに汗のあっさりとした飲み心地にレミリアは満たされた。
そのまた翌日には咲夜に目覚めの紅茶は〇〇の家で飲むと言い今に至る。
慧音「何を企んでいるかは知らないが貴様ら…何て羨ま…違った、如何わしいことを。」
慧音は〇〇の【生活が色々と不便であろうから】との名目で甲斐甲斐しく世話をしていたが、しかしその世話が些か強烈である。
仕事が帰って来た〇〇のために勝手に入り込みご飯を作っていのに始まり、今日みたいに汚れた衣類を洗濯するが、その前に〇〇の臭いを思う存分嗅ぐ。終いには「近々、寺子屋で保健の授業をするために実践を…。」と迫ったことが数回あったが丁重に断られる。その時の記憶は自分の能力で無かったことにしていた。
レミリア「人里の守護者様が一人の人間だけに思い入れをしたら、信頼を落とすだけじゃなくて?ここは潔く身を引いては如何かしら?」
慧音「何を言う。所詮は〇〇との間に信頼もまだ無い者がよく言うものだ。〇〇は私が責任持って世話をする。」
レミリア「そう…どうしても引く気は無いのね。」
慧音「そちらもな…。」
咲夜「お嬢様、ここは私が…。」
レミリア「咲夜、これは私自身で決着をつけるから余計な手出しは無用よ。」
咲夜「畏まりました。」
慧音「いい心がけだ、吸血鬼娘。だが〇〇は私と一緒になる歴史が確定している。」
レミリア「そんな歴史、運命を変えて私が〇〇と一緒になるわ。」
慧音・レミリア「「だから、少し待っていてね〇〇?」」
いつの間に帰って来て中から聞こえて来た声に開いた戸の物影に隠れ様子を伺っていた〇〇に気付いていた二人。
そして、〇〇の目の前には咲夜が獲物を見つけた獣のような目で見据えていた。
「「返事は?」」
自分に向けられた濁った目と歪んだ笑顔に首を縦に振るしかなかった。
最終更新:2011年02月11日 19:16