先輩の真相
「あらら、スーさん、また人間が花妖怪にボコボコにされたみたいだね」
「放っておけ……俺は今、最高に充実感を得ているんだからな」
「そうなの、見てる限りじゃ毎回そんな目に遭って酷い感じだけど」
「お前は何も解っていない。俺と幽香の関係を」
「? どういう関係? スーさんに聞いた感じだと殺したり殺されたりする関係みたいだけど」
「俺とアイツとはそんな感じじゃない。いや、最初はそんな感じだったかもしれない」
「俺は、幽香が憎かった。勝手に自分の因子を俺に埋め込み、この郷に括り付けたあの女が」
「俺は逆らった。何度も屈服させようと、あの笑顔で俺を押し潰そうとして来た幽香に刃向かった」
「術を磨き、身体を鍛えた。何年も掛けて打倒の策を考え、数え切れない程挑んでいった」
「その全てで惨敗したんだよねスーさん」
「ああ、そうだ。幽香は寧ろ喜んでいる。俺が自分にのみ関心を持っている事を。例えそれが負の感情でも、俺がアイツに執着する事は幸せなんだとさ」
「あいつは敢えて俺を放置して、俺が挑もうとすると直ぐに姿を現す。幽香にとっちゃ、俺との戦いは最高のスキンシップなんだよ」
「花妖怪の愛情って歪んでるよねー。そう思うでしょスーさん」
「最初は悔しくて死にたくなった。何度か自殺してみて死ねなくて幽香に
『私以外の存在にあなたの身体を傷付けたり殺せる権利はないの。貴方自身もね。だって私の、私だけの所有物だし』
って言われて心底絶望した!」
「歪んでるどころか病んでるよねスーさん。スーさんもドン引きだって」
「だけどある日、アイツに嬲られた後……気付いたんだ」
「?」
「俺って……アイツに、幽香に暴力を振るわれて、屈服させられる事に意義を感じてるって事に」
「……」
「ああ、そうさ。ずっと、目を逸らしてたんだ。あいつに挑み続けたのも、あいつに嬲って欲しいから、苛めて欲しいからって。もっと縛り付けて欲しいからって!!」
「…………」
「最初に出会った瞬間に顔面を往復ビンタされて、気に入った、貴方は私のモノね、って言われた時、俺もアイツに惚れていたんだって!!」
「………………」
「だって、だって、俺、俺―――――――――どMだもん!!!」
「スーさんがね、ヤンデレと変態に付ける薬はないって言ってるよ。本当にそうだったんだねー」
最終更新:2011年02月11日 21:39