人里の離れた場所にあったボロの空き家が俺の家だった。
今度、新しく家を建てたので、空き家を壊す事になった。
荷物は新居に移し、家が壊されていくのを見届ける。
たった数年しか住まず、ぼろい家だったが住むとなかなか居心地が良かった。
そんな我が家が消えるのを見届けるのも俺の役目ってものだ。
屋根を剥がしていた大工に呼ばれ、見に行く。
俺の知らない屋根裏部屋が幾つか作られていた……大工が言うのには、つい数日前まで誰かが住んでいたらしい。
土間を壊していた大工に呼ばれ、見に行く。
俺の知らない地下室がどんと広がっていた……大工が言うには、つい最近まで誰かが住んでいたようだ。
家具を動かした形跡が幾つかあり、何処かに通じている洞穴は丁寧に埋め立てられている。
押入を解体していた大工に呼ばれ、怖々見に行く。
押入の奥の壁が二重になっており、端にある木材を動かすと開くらしい。
そして押入と密着している壁には擬装された隠し戸があった。
これもまた、つい最近まで誰かが出入りしてたらしくご丁寧に金具へ油までさしてあった。
……一体、誰がこんな真似を。
俺は何か背筋が寒くなるのを感じながら新居に向かう。
今日は新居で知り合いの女の子達と新居祝いを兼ねた宴会を行うのだ。
あの子達にも相談して、防犯とかの強化を検討してみようかな?
怖い話で古い家を壊すときぞっとした話をモチーフにしました。
最終更新:2011年02月11日 22:20