前略、お袋様。
あなたの息子である僕、〇〇は遥か彼方にある幻想郷なる土地にいます。

ここには妖怪が居るのが当たり前で襲われますが人間が妖怪を退治する時もあります。
しかし、全ての妖怪が恐ろしい風貌で人間を襲う訳ではありません。屈指の実力がある妖怪は人間みたいな風貌で、尚且つ綺麗な女性ばかり。
妖怪の他に、神様、亡霊、宇宙人などが居てこの方々も屈指の実力を持った綺麗な女性達です。

ですが……彼女達は全員が病んでいます。
簡単に言えば、惚れ込んだ男性への愛情に独占欲が強く嫉妬深いです。

僕が泣きたい…いや、泣いているのはとても悔しいからです。
僕より先に幻想郷の外来長屋に居た、外来人…つまりは同じそっちの世界に居た先輩達が彼女達の歪んだ愛の前では男である以前に人の優しさ、尊さが踏みにじられ、普通の人間に敵わない力を示す彼女達の愛情表現はしなやかさを失い嘘まみれ、泥まみれの様な焦れったい風景です。

先輩達の有様を後ろめたい気持ちで見ていた僕は自分なりに気をつけてより強くしたたかにタフな生き方をしました。
太陽の下で大手を振って真っすぐ歩いても、何処で彼女達に出くわすかわからない、向かい風が吹いているようでした。

何故、力も美貌もある彼女達が有象無象に居る人間の…しかも外来人の男性に惚れるのか?
彼女達が彼女達なりの「真実の愛」を通して来る。
さっきから、僕の名前を呼んで部屋の戸を執拗に叩いている彼女もだ。

後々、迷い込んで来る外来人…特に男性に正義と希望がある時が来るまで僕の命捧げてしまっていいさ。

【外来長屋に住む青年〇〇の手記より】

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最終更新:2011年02月11日 22:22