ご馳走と申すか。では……。
「あいてて……」
衣玖と他の妖怪との争奪戦に巻き込まれ、○○は怪我をしてしまった。
しかも、衣玖が飛ばした雷撃による火傷である。
「もう、幾ら何でも酷いよ」
「済みません、ついカッとなって手加減をしてしまいました。貴方には反省します」
こんがりと煙を上げて気絶してる白黒魔法使いは兎も角、手傷を負わせてしまった彼には真摯に謝罪をした。
ともあれ、如何にも痛そうな火傷を早急に治療しなくてはなるまい。
彼の害してしまった心象を早急に回復させねば、他の泥棒猫達に付け入られる危険性がある。
「○○さん、ちょっと待っていてくださいね」
「え?」
衣玖は素早い身のこなしで物陰に隠れ、数秒後に湯飲みを手にして出て来た。
「さぁ、どうぞ。これを飲んでください」
湯飲みには金色の美しい色合いのお湯が入っていた。
恐る恐る匂いを嗅いでみるととても甘酸っぱい匂いがした。
飲んでみるととても甘く、思わず一息で飲んでしまった。
「あ、あれ……傷が」
するとあら不思議。
なんと彼の火傷があっさりと治癒されてしまった。
「凄いですね衣玖さん、あっという間に火傷が治っちゃいましたよ。それどころか身体が軽いですっ!」
「当たり前じゃないですか。それは不老不死をもたらす霊薬なんですよ」
大威張りの衣玖が胸を張って告げる。
「へー。何て言うお薬なんですか?」
「金水って言うんですよ。何と言っても龍の眷属ですからね私は」
※ドラゴンロアーズ (ドラゴンコミックス): 伊藤 勢 参照
最終更新:2011年03月04日 02:15