この隠れ家の生活がついに1ヶ月を過ぎた。
結構前に色々な事があり、塞ぎ込んでいたが、今は何とか生活出来ている。
そんな訳で、家の前を掃除している訳だがいつまでも此処に留まってる訳にはいかない、
早く外界に戻り、彼女から逃れなければ。
「○○」
そんな事を思っていたその時、後ろから声がした
この声は…紛れも無い彼女の声だ……
そう思い、恐る恐る後ろを向けば、そこには―――
数ヶ月前…自分がちょうどこの幻想郷へと来た。
そして、自分が訳も分からず迷いの竹林を彷徨ってる時、
その少女と会った。
その少女は一見すれば只の可愛い女の子だが、
持ってる能力が不老不死で火を操るという、常人とは掛け離れた存在だった。
と、言っても最初は普通に接していた、だが、しばらく経った頃からおかしくなってきたのだ。
最初の方は少女、妹紅の家に同居し、超普通に生活を送っていた。
本当に良くも悪くも無い、超普通だった。
しかし、しばらく経つと何か様子が完全におかしくなっていた。
最初の方は自分を見掛けると、すぐに背を向けたり、自分の前からすぐ立ち去ってしまう。
嫌われているのではないかと思い、竹林から遠く離れたとある向日葵畑の管理人に相談しに行ったものの、
自分の話を聞くと何故かニヤニヤしていてちゃんと相談には乗ってくれなかった。
にしても、あの時感じた異常なまでの視線は一体なんだったのだろうか。
そして、その日家へと帰ると、妹紅が青ざめた顔で、
「○…る…が…他…女…」など、よく分からない事を呟いていた。
んで、自分が居ることに気づくと、今にも泣きそうな顔で、
「○…○、私の事は好きか…?」
と、聞いてきた。勿論好きと答えたが…
「そうだよな…○○は好きでいてくれるよな!
もう勝手に変わったりはしないよな!
私以外見たりしないよな!
これ以上…私にこんな気持ちにさせないよな?」
と、これまた早口で言ってきた。おかしい、何かがおかしかった。
そして、
「破ったら○○じゃない、偽の○○だ そんな偽物 私が燃やす からな?」
おかしい、妹紅は完全に狂っていた
完全にヤバイと自分の勘が察知すると、翌日から俺はある事を始めた。
この世界からの脱出と、万が一に備え、隠れ家の用意などだ。
そして、脱出の準備が順調に進んでいたある日の事、
「あのー妹紅さんー居ませんかー?」
この声は、近くの診療所で働いている兎の声だ、
何か用があって来たのだろう。
すぐに家の外に出て、妹紅は外出中だと伝えに行こうとした、その時、
「……くな…」
「えっ…?」
「○…に…づくな…」
「妹紅さん…?」
「○○に!近づくなぁぁぁ!!」
その時、目の前に居た兎が、灰と化した
何が起きたか すぐに分かった
「○○…○○…○○……何処行った…?○○…?」
俺は即座に妹紅から逃げた。
あそこに留まっていたら、あの兎の様になってしまうと思ったからだ。
で、現在に至る訳だが、気が付けば、自分の周りが火の海となっていた。熱い。
自分の体が炎に蝕まれ、自分の意識も消え始めていた。
そして、意識が途切れる直前に見えたもの、それは――
「この 偽物」
彼女の泣き顔だった。
最終更新:2011年03月22日 21:17