チルノ、どうして、どうして……?」
「うん、いいんだ。○○、いいんだよ」

チルノの胸に刺さっているのは、破邪の魔力を秘めた剣。
先程まで剣を手にしていた青年○○は青ざめた顔でチルノを抱えていた。

さっきまで、湖に出たという邪霊を退治していた筈だ。
一緒に退治してくれと頼んできたチルノ。
なぜ、彼女は邪霊の姿を偽ってまで……。

「あたい、死ぬの、怖いよ? 妖精だけど、死ぬの怖い」
「……チルノ」

チルノの冷やっこい手が、自分の手に重ねられる。

「でもね、○○にだったら、殺されても、本当に消えちゃってもいいと思ったんだ」
「なんで、なんでこんな、こんな事を!」
「あたいは、よーせいだし、○○は、にんげんだし、ずっと一緒にいれないって、わかったんだ。へへ、あたい、馬鹿じゃないでしょ?」
「!?」
「○○、外の世界に帰りたいんでしょ。外に帰って……あたいの事、忘れちゃうんでしょ」

だからと、彼女は○○に告げた。

「○○、あたいの事殺したら、ずっと、覚えて、気にしてくれるかなって」
「そんな、馬鹿な、事を」
「○○、あたいを殺した事で後悔してくれるなら、一生、くやんで、くれるなら、忘れない、でくれるなら」

殆ど消えかかったチルノは、病んだ、綺麗な笑顔を浮かべた。

「物凄く怖いけど、あたい、○○に殺されて良かったって思うんだ」
最終更新:2011年03月24日 20:45