前スレのプロットの衣玖さんです。取り合えず前半を投下。注※まだ病んでません



冷たい風が体に当たり、寒さで少し体が強張る。羽衣の上に何か着ておくべきだったかもしれない。でも、もうすぐ宴会の場である神社だ。我慢するしかない。
今日は天子が宴会に呼ばれたため、その付き添いとして私もその宴会に出る事になった。あまり騒がしいのは好きでは無いけど、これも私の役目。断る事は出来ないし、しない。となりで飛んでいる天子の方を見ると、余程宴会が楽しみなのか、笑みを隠しきれずに表情を緩めている。宴会で問題が起こらない事を祈りながら、私達は博霊神社へと急いだ。


あの宴会で色々と天子がまた騒ぎを起こしたが、その処理も苦に感じない出来事が宴会の中であった。○○さんという人に会えた事だ。最初に会った時こそあまり話たりは出来なかったが、今では私が作った料理を一緒に食べたり、共に外に出掛けたりしている。

でも、最近○○さんへの想いが違う気がする。何かモヤモヤした気持ちが私の中にある。不安とか不快感とかではなく、どこか暖かいような気持ち・・・。これは一体なんだろうか?

その気持ちは一週間ぐらいたったぐらいに分かる事になった。


「衣玖さん!ぼ、僕は貴女の事が好きです!良かったら付き合ってもらえませんか!?」

話があると言われて私と○○さんがよく行く場所に呼び出された。そして、会った時に言われたのがこの言葉。呆然としてしまう。○○さんは今なんて?私の事が好き?○○さんが?私はどうだろうか・・・。私も○○さんの事が好き・・・。

あぁ、そうか・・・この暖かい気持ちは○○さんへの想いだったんだ。私は○○さんへと飛び付き、抱きしめながら言った。

「私もです!」

あの告白をされてから私と○○さんは本当のお付き合いをするようになった。前の時とは違い、友達という立場ではなく、恋人として。私は幸せ者だ。どうかこの幸せがいつまでも続きますように・・・


そんな嬉しそうな衣玖を見詰める目があった。自分はあまり嬉しい事は無いのに一人だけで嬉しがっている姿が不快なようで、目をしかめている。

「まったく・・・」

あの宴会以来何一つ面白い事が無い。下界をふらふらするのも飽きてきたし、だからといって天界ではもっとする事が無い。また何か騒ぎを起こそうかと思ってた時に、衣玖の姿が目に映った。

「あの人間のどこが良いのかしら?」

衣玖が彼氏を作ったのは知っている。余りにも幸せいっぱいな感じが不思議だったので、後をこっそりと追いかけたのだ。知らない男と仲良く喋っているのを見て、衣玖があの男と付き合ってるのを知った。

私に報告しないなんてどういうつもりだろうか?それとも私に会わせたくなかったから・・・?

考えはどんどん膨らむばかり。そこで私は決心した。どんな奴なのか確かめるために、その男に直接会いに行く事を。
最終更新:2011年04月24日 21:38