5分ぐらいで適当に書いた。


 目が覚めると、隣でわんこ天狗が毛布に包まって眠っていた。全裸で。
 俺にピッタリと寄り添い、安らかな寝息を立てている。
 華奢なくせに、結構あるじゃないか。

「いやいや。そうじゃないだろ、俺」

 思わず声に出して、自分自身に突っ込みを入れてしまった。
 落ち着いて、昨夜の事を思い出す。
 確か、博麗神社で宴会をやっていて……
 途中から、わんこ天狗と雑談しながらサシで飲んでいたところまでは覚えているが。
 ううむ。不味いな。酔った勢いでオイタをしてしまったのだろうか。
 頭を抱えそうになったが、ふと、部屋の壁に掛けられているカレンダーが目にとまった。
 ああ、そうか。今日はそうだったな。危うくだまされる所だったぜ。
 やってくれるじゃないか、このわんこ天狗め。シーツに食紅で色を付けるなんて、随分手が込んでいるじゃないか。
 しかも、本物の血みたいにどす黒く変色しているし。凝り過ぎだっつーの。
 全くこいつめ。うりうりうりうりうりうり。

「わふ、わふう……」

 俺がわんこ天狗の髪をわしわしとかき混ぜると、わんこ天狗は薄らと目を開けた。

「ふあっ……お、おはよう、ございます……」
「うむ。おはよう」

 わんこ天狗は、恥じらうように胸元に毛布を寄せた。
 そのしぐさ一つとっても、中々に芸が細かい。

「あ、あの、昨日は、その……」
「分かっている。みなまで言うな。きちんと責任は取ってやる」

 俺が自信たっぷりに告げると、わんこ天狗は、驚いたように目を見張り、次いで嬉しそうに口元を綻ばせた。

「良かった……お父さんになってくれるのですね」
「おう。お父さんにでも旦那様にでもなってやろうともさ」
「嬉しい……! 大好きですっ!!」
「はっはっは。それじゃ、早速子供の名前でも考えるか」
「はい!」

 実にお約束な展開であるな。
 ならば、俺も一つ、今日一日ぐらい付き合ってやるとするか。
 せっかくのエイプリールフールだしな。






 ……そう思っていた時期が私にもありました。

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最終更新:2011年04月24日 22:18