幸せの終わり編
幸せの終わり編
博霊神社 霊夢の部屋
何時も急にやって来て茶を飲み、たまにとんでもない事を言って霊夢を驚かせる
魔理沙は
今日も博霊神社に来ていた
「ああ、うまいなあ」
「何時も飲んでる、安物のお茶じゃないの」
魔理沙は相変わらずだった、何時もと一緒で茶を飲んでいた
「はぁ‥‥昨日は紫が来て変な事を言うし、今日はあんたが来て茶を飲むし」
「迷惑か?」
「迷惑よ!」
「ふ~~ん、そうか‥‥‥」
何時もなら迷惑と言われて、何らかのリアクションを見せていた
魔理沙だが
今日に限っては、それだけ言っただけで他は何もしなかった
流石に何時もと違う
魔理沙に尋ねてみる事にした
「どうしたのよ今日は、何時もと違うじゃないの」
「‥‥‥‥‥‥‥」
霊夢に尋ねられても
魔理沙は何も言わない、言おうか迷ってる様だった
それから少し間を置いて
魔理沙は返答した
「まあ、霊夢にならいいか」
「何よ」
「私さ、○○の恋人なったんだ」
「えっ」
今までも
魔理沙には驚かされたが、これ程に驚かされた事はなかった
「みんなにはまだ内緒だぜ」
「‥‥‥‥‥‥‥」
今度は霊夢が何も言わない
だが
魔理沙は気にせず喋り続ける
「だからさ、これからは神社に来る機会も少なくなると思うんだ」
「○○と出来るだけ一緒に居たいしさ」
「ねえ
魔理沙」
「どうした?」
魔理沙は話の途中だったが、霊夢はそれを遮って
魔理沙に話しかけた
「今、貴方は幸せかしら?」
「ああ、幸せだぜ」
「そう」
「霊夢?」
急に霊夢の感じが変わった気がした、何か変だと
魔理沙は感じた
「ごめん、ちょっと気分が悪くなったから、少し横になろうと思うの」
「大丈夫か?」
「大丈夫よ大した事はないわ、だから今日は帰ってくれないかしら」
「分ったよ」
魔理沙は霊夢から○○の恋人になった事を祝福して欲しかったが
霊夢の体調が悪いなら仕方がないと納得した
「じゃあな霊夢、お大事にな」
「ええ、ありがとう
魔理沙」
それだけ言って
魔理沙は帰って行った、それから直ぐだった
湯飲みを壁にぶつけて叩き割ったのは
「どうしてなのよ!どうして○○と
魔理沙が!!」
「幸せだぜって!私は幸せじゃないわよ!!」
「私も○○が好きだったのに!○○と幸せになりたかったのに!!」
「どうして!どうして!どうして!どうして!どうして!どうして!
どうして!どうして!どうして!どうしてーーーーーーーーー!!」
「
魔理沙!○○!
魔理沙!○○!
魔理沙!○○!
魔理沙!○○!
魔理沙!○○!畜生ーーーーーーーーー!!」
「
魔理沙の恋人になる○○なんて○○じゃないわ‥‥‥」
「私の○○を見つけなきゃ‥‥‥」
霊夢の言っている意味は、まだ誰も知らない
○○の家
○○は過去、とても幸せだった
だが今は喜びも笑いもない、あるのは深い悲しみだけ
今の状況を幸せと言えるだろうか、言える訳がない
もう陽も落ちた、夕食の準備をしなけらばならないが、やるきが起きない
もう3日間も食事の準備にやるきが起きていない
お腹の空腹を知らせる音が聞こえてきそうだが、聞こえてきたのは自分の名を呼ぶ声だった
「初めましてかしら○○さん」
自分を呼んだのは八雲紫だった、普通なら何時の間に現れたのかと疑問に思うだろう
だが○○が疑問に思ったのは、顔なじみである紫が何故『初めましてかしら』などと言ったのだろうか
それが疑問だった
「○○さん、貴方に大事な話があるの」
「大事な話?」
「貴方の幸せは終わったかもしれない、でも再び幸せになれるかもしれないわ」
「どういう事ですか?」
紫は○○に説明を始めたが、複雑そうな顔をしていた
終始この顔だった
霧雨魔理沙は今、とても幸せだった
片思いだった○○と恋人同士になれたのだから
そして彼女は○○が来るのを待っていた
だが○○は来ない、約束していたのに
「なにやってるんだよ○○、遅すぎるぜ」
○○が来ないので
魔理沙は不機嫌だった
こんなに不機嫌になったのは○○と恋人同士になって以来初めての事だった
結局、○○は来なかった
博麗神社
「フフフフフ」
とても嬉しそうな顔をしながら霊夢は境内の掃除をしている
「随分と、ご機嫌じゃないか霊夢」
霊夢の手伝いをしている○○が掃除を止めて、声をかけた
霊夢が機嫌いいのは自分が霊夢の横にいるからなのだが
「どうして機嫌がいいかなんて決まってるじゃない、それは‥‥‥」
霊夢が理由を○○に教えようとしたが教える事は出来なかった
タイミング悪く、来客が来たからである
「おい、やっと見つけたぜ○○」
霊夢とは対照的に不機嫌な顔で現れたのは
魔理沙だった
「
魔理沙か、どうしたんだ?」
「まったくタイミングの悪い時に来るわね」
「昨日は何で来なかったんだよ!約束してたじゃないか!!」
「約束?」
○○は
魔理沙の言葉の意味が分らなかった
○○の態度に
魔理沙はさらに不機嫌な顔になっていた
「わ、忘れたのかよ!三日前に約束したじゃないか!!」
「三日前?」
○○は困惑な顔になっており、
魔理沙は違和感を感じた
「どうしたんだよ○○?」
「三日前って、
魔理沙と会うのは一週間振りだけど」
「はあ?」
○○とは昨日は別として恋人同士になってからは毎日会っていた筈
魔理沙は○○が冗談を言ってるのだろうと思い、この冗談の事は後回しにして
まずは○○に言いたかった事を優先した
「とにかく○○は私の恋人なんだからさ、博霊神社じゃなくてウチに来てくれよな」
「は?」
二人は
魔理沙が何故そんな事を言うのか分らない様な顔だった
「どうしたんだ?二人共」
「何を言ってるのよ!○○の恋人は私でしょ!!」
「霊夢の言う通りだけど」
「えっ」
魔理沙は二人の言ってる事が分からなかった、理解出来なかった
あれから家に戻って来たが、
魔理沙は神社での一件の事だけを考えていた
二人に問い詰めてみたが、○○の恋人は霊夢という答えに変わりはなかった
「何なんだよ一体‥‥‥」
他の誰かに○○の恋人は誰かと確認する事が出来ればよかったのだが、それは出来なかった
○○と恋人同士になってから、まだ二週間しか経っておらず、自分と恋人同士だと知っているのは霊夢だけだった
次に予定していた宴会で、○○の恋人になった事を皆に伝えて驚かせるつもりだったのだ
「畜生、こんな事になるなら
アリス達には言うべきだったぜ」
考えても出るのは後悔と悲しみだけだった
「私はとても幸せだったのに、どうしてこんな事になったんだ‥‥‥」
博麗神社 霊夢の部屋
魔理沙が帰ってから二時間経つ
霊夢と○○、そして八雲紫は茶を飲んでいた
「安物のお茶だけど、美味しいわ」
何時も飲んでいる種類の茶だったが、こんなに美味しそうに飲む霊夢は初めてだった
そんな霊夢を見て紫は複雑だった
「勝利の美酒と言うより勝利の美茶かしら」
「‥‥‥‥‥‥‥」
紫の皮肉っぽい言葉に霊夢は何も言わない
なお紫の言葉は続く
「これが勝利と言えるのかしら、こんな事だったら教えなければよかった」
「紫さん止めてください!俺は霊夢には感謝してるんです!!もちろん紫さんにも」
「○○さん‥‥‥」
魔理沙が○○の恋人になった事を知る前の日に紫は霊夢にある事を教えた
それは平行世界だった
とある異変を霊夢が解決したが、霊夢ではなく
魔理沙が解決した世界
それどころか異変解決に失敗して霊夢が死亡した世界も存在すると言うのだ
当然、○○と霊夢が恋人同士になった世界も存在する
そして○○と霊夢が恋人同士になった後に、霊夢が異変解決に失敗して死亡する世界も存在していた
魔理沙が○○の恋人になった事を知った霊夢が考えて出した答えが
『自分を愛してくれる○○を手に入れたい』『例え別の平行世界の○○でも構わない』だった
「まさかスキマで霊夢が死んだ世界に行って、残された恋人の○○さんを連れて来いだなんて言われるとは思わなかったわ」
「いいじゃない、死んだ私に再会出来たんだから、ねえ○○」
「ああ、夢のようだよ」
○○と霊夢は御互いに別の平行世界の存在だったしても、幸せそうだった
自分が死んだ後の残された恋人の○○ならば、別の平行世界の自分でも受け入れてくれるという霊夢の勘は当たった
それと○○が
魔理沙に言った一週間振りというのも嘘ではなかった、別の平行世界の彼にとっては一週間振りだった
「こっちの世界の○○や
魔理沙には悪い事をしたけど、
魔理沙の恋人になる○○に興味ないわ」
「二つの世界の○○さんの交換‥‥しかもこっちの世界の○○さんは事情を知らされずに
二日前の夜、寝ている時に交換‥‥‥」
「うるさいわね!私を選ばなかった罰よ!!」
「博麗の巫女を辞めると脅迫されなければ、こんな事‥‥‥」
今、霊夢に博麗の巫女を辞められる訳にはいかなかった
故に紫に選択権はなかった
「でも、この○○さんが居た世界の私が○○さんを取り返しに来たらどうするの?」
「大丈夫よ平行世界は無数にあるんでしょ、この世界に○○が居る事なんて判りはしないわよ」
紫は霊夢が霊夢に見えなかった
まるで別の平行世界から来た存在に見えてしまった
(私は何て事をしてしまったのだろう)
(霊夢に平行世界を教え、○○さんを別の平行世界に追い出し、
魔理沙から○○さんを奪った)
紫は霊夢や○○との交流している時が一番の幸せだと思う様になっていた
だが今の霊夢や別の平行世界の○○と今まで通りの交流をしていく気にはなれなかった
脅迫されたとは言え、今の状況を作ったのは自分なのだ
紫は、この事を後悔しながら生きていくだろう
魔理沙だけでなく紫の一番の幸せだった事も終わってしまった
博麗神社 霊夢の部屋
○○と霊夢は同じ布団に入り眠っていた、二人は幸せそうな顔をしていた
だが自分達が寝ている時に来客が現れるなど思ってもいないだろう
霊夢の勘も何時も働く訳ではなかった
「どうやら、この世界の霊夢と○○さんは恋人同士のようね」
「私達の世界の○○さんは病で亡くなってしまった、恋人の霊夢を残して‥‥‥」
「お休み中に悪いけど私達の世界に来てもらうわ○○さん、それと‥‥こっちの世界の霊夢‥‥ごめんなさい‥‥‥」
「○○さんを連れて来なかったら、妖怪達を虐殺すると脅されてるの‥‥私達の世界の霊夢にね‥‥‥」
来客の正体は○○と霊夢は恋人同士だったが、霊夢を残して○○が病で亡くなった世界から来た紫だった
「ごめんなさい○○さん‥‥ごめんなさい霊夢‥‥‥」
紫は涙を流しながら謝り、スキマに○○と共に消えていった
「う~~ん、○○~~~」
○○が紫に連れさらわれた事を知らない霊夢は眠りながら○○の名前を口に出した
○○の夢でも見ているのだろうか、相変わらず幸せそうな顔だった
しかし目が覚めた時が霊夢の幸せの終わりである
簡単なまとめ
魔理沙恋人世界(霊夢生存、
魔理沙生存、○○生存)
霊夢死亡世界(霊夢死亡、
魔理沙生存、○○生存)
○○死亡世界(霊夢生存、
魔理沙生存、○○死亡)
作中に上記の三つの世界が存在
魔理沙恋人世界の○○→霊夢死亡世界に寝ている時に連れて行く
霊夢死亡世界の○○→
魔理沙恋人世界に連れて来る
その後、○○死亡世界の紫によって
魔理沙恋人世界に居る霊夢死亡世界の○○→○○死亡世界に寝ている時に連れて行く
感想
最終更新:2019年02月09日 18:03