深い眠りから目覚めたレミリアが見たのは、愛しい男の安らかな寝顔であった。
日光が弱点である吸血鬼のレミリアの部屋はいつもカーテンが閉ざされているが
寝起きといえど全身に漲る力と、部屋がやけに薄暗い事から今は夜なのだろうと彼女は察した。
開け放された窓からは冷たい夜の風が吹き込み、カーテンを小さく揺らし、彼女と○○の身体を小さく撫でて行く。。
遠くからは蟲と蛙の鳴き声がまるであのうるさい亡霊楽曲団の演奏の様にひっきりなしに響いてくる。
今宵は十日夜の月。満月とはいかないまでも、月の満ち欠けに力が左右されるレミリアにとっては、中々によい月だ。
満月とまでは行かないまでも、全身を駆け巡る莫大な魔力に不可能はない、そう確信を持って言える程に体調は安定していた。
一糸纏わぬ身で眠りについていた彼女の身体はまだほんのりとつい先ほど夫と行った情事の残りの熱がくすぶっており、心地よい温度を維持している。
ギュッと彼女は自らの身体を抱きしめた。この愛しい熱が逃げていかないように、そんな無駄な事だと判りきっている事を彼女は行う。
だが、足りない。まるで足りない。もっと、○○が此処に確かに存在しているという証が欲しい。
○○が、生きて自分の隣に居るという確たる証拠を彼女は欲した。
あの“運命”の中で苦しみに苦しみぬき、この世のありとあらゆる絶望と苦痛を浴びて逝った○○の姿は、彼女の心に深く刻まれている。
恐ろしい。怖い。今、この瞬間が永遠に続けばいいのに。レミリアはそう思った。
「○○……」
灯り一つ無い部屋の中、レミリアはそっと自らの隣で安堵した顔を晒し眠っている○○の髪の毛を優しく、まるで壊れ物でも扱うように彼女は撫でた。
眼に入るのは自らの吸血鬼として鋭利な爪。鋼の如き頑強さを誇り、どんな敵であろうと安々と屠り去る吸血鬼の爪牙。
この手は○○を守るためにある。絶対に彼に傷など付けさせない。死なせるなど論外だ。
○○を撫でる手は、とても優しい。まるで彼が夢の存在で、少しでも強く力を込めると壊れてしまうかのように。
顔を高揚させ、まるで母親が子を見守るかのような慈愛に慈愛に満ちた表情でレミリアは、小さく○○の額に顔を近づけ、小さくキスをする。
まずは掛け替えの無い理解者としての○○に対しての額への友情のキス。
次はこの世の全てを捧げてもいいほどの厚意を抱く○○への、頬への厚意のキス。
貴方の全てを永遠に私だけのモノにしたいという腕の首へ欲望のキス。
自らの死を聞かされても、まるで動じない強い心を持った○○への尊敬のキスを手の上に。
そして最後に、最後に女としてのレミリアがありったけの愛を注ぐ○○への、唇への愛のキス。
永遠とも言える時間の中で、至上の幸運がレミリアを満たしていく。やはり自分は彼が居なければ生きてはいけない。
いつから、スカーレット・デビルはこんなに脆い存在になったのだろうか?
まるで極上の美酒を煽る様にレミリアは舌を○○の身体に這わせ、そして首筋へ……。
彼女の鋭く尖った犬歯が鈍く輝いた。このまま歯を突きたて、○○の血を啜り、彼女の魔力を注げば○○は死をも超越した彼女の眷属となる。
そうすれば彼は何百年と言う年月をレミリアと過ごすことが出来る。様々なモノを一緒に見て、様々な体験を共に過ごす事が出来る。
例えこの幻想郷が無くなったとしても、レミリアと○○は文字通り永遠に生きることが出来る。
やってしまおうか? そうすれば○○は……。
──私は最後まで死ぬ人間ですよ。その代わり、最後まで貴女の傍に居ます。
○○に並ぶ彼女の理解者であり、従者の言葉がレミリアの中で再生された。
かつて永夜の異変が起こり、その時にあの竹林の不死者と出会った時にあの不死者の肝を食えば、不死になれると聞かされた従者が語った言葉を。
──僕は一生死ぬ人間としてレミリアの傍に居るよ。
人外の彼女と結ばれることは人の道を外れる行為だ。それはあの閻魔がきっと許さない行為だろう。
何故ならば、彼女は人食いの怪物であり、どう理由を付けようが、どう言い訳をしようが決して少なくない数の人間を殺している。
そんな彼女と結ばれるということは、彼もその業を背負うということだ。もちろん死後は天国になど行けないだろう。
だが、死後のその運命を全て理解した上で彼は人間として生きて、人間として死のうと言ったのだ。
そんな彼の決意を、夫の信念を、妻であるレミリアが踏みにじることは出来なかった。
レミリアが彼の髪の毛に顔を埋めて、自分と同じシャンプーとリンスーの匂いを鼻いっぱいに吸い込んだ。
最後に小さく○○の頬を慈しみならが撫でて、彼女は身を起こす。
そして、彼女はキングサイズのベッドの上で、眠りに付いた○○に頭を垂れて跪いた。まるで騎士が主に傅くように。
吸血鬼種の中でも最強の一体であるレミリア・スカーレットが、ただの人間に膝を屈したのだ。
能力を全開にして使って、○○を見たレミリアの眼に飛び込んできたのは、○○の生命の線。
か細いそれは、途中からぶっつりと切れてしまっている。そしてコレは彼の残った命が短いことを示している。
だが、そんなことは許さない。このレミリアが、そして私が愛している人が、たかだが運命に縛られるなど、あってはならないのだ。
彼が、○○が人生の全てを賭けて私を愛すというのならば、私も全てを掛けて彼の愛に答えよう。
「何も心配しないで。私が、貴方を全てから守るから」
レミリアの真紅の瞳が、縦に裂けた人外の瞳孔の中で、巨大な意思の炎が轟々と音を立てて燃え盛っていた。
「おはようございますお嬢様。既に湯浴みと朝食の用意は済んでいます。どちらからにしますか?」
夜に起きて「おはよう」という挨拶もおかしいと思うかもしれないだろうが、吸血鬼であるレミリアにとって人間にとっての「朝」は月が覗く「夜」なのだから仕方ない。
そして寝起きの彼女にその冷静な声を掛けるのは彼女の従者であり、この屋敷の全ての従者を指揮するメイド長である、十六夜咲夜だ。
銀色の艶やかな髪の毛をショートに纏めており、身にまとうのは白と青を基本色としたメイド服。
頭にはこの屋敷の従者、レミリアの従者である事を証明するメイドキャップ。
傍目に見ても一言で絶世の美少女と評されるであろう少女、それが彼女である。
レミリアは自らの身体を見下ろす。ピンク色のネグリジェに、申し訳程度にナイトキャップを被った自分を。
なるほど少々友人と話すには、だらしなさすぎる格好だ。
いつもの取り留めない友人同士の雑談ならば構わない格好だが、話す話題が話題だけに、服装も真面目なものにしなければならないだろう。
「まずは湯浴みね。彼の匂いを落とすのは惜しいけど、今日はちょっとパチェに用があるの」
「判りました」
一礼をするとあっという間に咲夜は文字通りの意味で「消えて」しまう。
空間転移のような、そんな光景だが、咲夜は空間を転移しているのではなく、時間を停止させ、その時間の中を動いているのだ。
パチェ曰く「実際はプランク時間単位で、ゆっくりと進んでいる」だそうだが、ほとんど停止していることに変わりは無い。
まずはパチェと話そう。彼女ならば、運命を変えることに何か力になってくれるかもしれない。
レミリア自身も魔術や因果についてそれなりに詳しいが、あくまでもそれは“それなり”だ。
その点レミリアの友人である魔女・パチュリー・ノーレッジは100年以上の年月を生き、その全てを知識を取り込むことに費やした筋金入りの魔法使いだ。
当然、因果や運命についての研究や、その他様々な魔術に対しての知識も莫大なものとなっているだろう。
その彼女の知識と知恵を借りよう。そうすれば、何か突破口が見えるかもしれない。
先ずは出来ることを一つずつ片付けてしまおうか。瞼を瞑り、レミリアは少しばかり、リラックスした。
運命を変えるのは、難しいが不可能ではないはず、だ。自分の能力と彼女の知識があれば、きっと……。
否。たとえ方法がなければ、彼女は作り出すだろう。決して諦めない。
この幻想郷の全ての勢力が立ちはだかっても、この月の民が阻もうが、龍神と敵対することになっても、○○を助ける。何としても。
暗闇の遥か彼方に○○の笑顔が見えた。彼の為なら、たとえ何万年でも頑張れると思った。
部屋で一人物静かに部屋で本を読み漁っていたパチュリー・ノーレッジは
部屋の扉が開かれ、そこに完全に正装したレミリアが立っていた事に少しばかり驚いた。
金で所々に刺繍の施された真っ黒なドレスに身を包んだレミリアはまるで何処かの
王国の支配者の様に貫禄に溢れており、いつもの取りとめも無い会話をしに来たのではない、と言外に述べていた。
「入ってもいいかしら?」
「えぇ、どうぞ。好きに座りなさいな」
言葉だけはいつもの調子で話しかけてきた友人にこの七曜の魔女はいつもの調子で答える。
座っていた椅子をくるりと回し、テーブルと向き合う。一つの誰も座っていない椅子が彼女のテーブルの向かい独りでに移動し、レミリアの席としてそこに置かれた。
読んでいた本をバタンと閉じ。宙で手を離す。
しかし、パチュリーの手を離れた本は重力に囚われ落下することなくその場でフワフワと浮遊し、そのまま本棚に向けて飛んでいってしまう。
丁度本一冊分程度の隙間があった場所にその本は音も無く潜り込んだ。
「小悪魔、紅茶とお菓子を持ってきて……そうね、多めに頼むわ」
眠たげな目線を自らの使い魔に向けて、魔女は言った。
彼女の使い魔であり、魔族の端くれでもある紅い長い髪をした少女は一礼だけするとそそくさと奥へと消えていってしまう。
「レミィ、今日はどうしたの? 何か凄く気合が入っているみたいだけど」
早速クッキーとケーキを運んできた小悪魔がそれの乗った皿を置いていくのを横目で見ながら、探るように述べる。
今日のレミリアは、彼女の友人は何だか様子がおかしい。いつも常に持っているあの超越者然とした余裕がなくなっているようだ。
「えぇ、事が事だけに、ね」
バサリと背から生えた黒翼を羽ばたかせ、彼女は音も無く友人の向かいの席へと降り立ち、そこに王の様に堂々と座る。
足を組み、肘掛に頬杖を付いて全てを睥睨するその姿は正に最強の吸血鬼の名に相応しい立ち振る舞いだ。
外見こそ幼い少女だが、その実レミリアはこの幻想郷の並み居る強大なる妖怪や神々、鬼と肩を並べるれっきとした怪物なのである。
しかし、彼女と長い付き合いのパチュリーには、今のレミリアがかなり無理をしているのが見て取れた。
この厳粛な顔の下で、レミリアが自分に何かを懇願していることを彼女は気が付いた。
「何を聞きたいの? 私でよければ力になるわ」
焼きたてのクッキーを一つ掴み、それを一口。口内に広がるのは、ほのやかな甘味、そして確かな食感。
レミリアが頬杖をやめて、ぐいっと椅子からその身を乗り出し、パチュリーを覗き込んだ。
蒼紫色の魔女の眼と、真紅の吸血鬼の視線が交差した。
「“運命”の覆し方、もしくは変え方を教えて欲しいの」
「……何故?」
探るようなパチュリーの視線をレミリアは真正面から見据えた。
「○○のためよ。私の能力が告げているの、彼は遠くない内に死んでしまうって、私はそれを何とかする。……そのためにはパチェ、貴方の意見が必要なのよ」
パチュリーはレミリアの眼の奥に燃え盛る真紅の炎を確かに見た。
同時に○○のためなら、いかなる手段をも行うであろうレミリアの底なしと言っていいほどの狂気を。
なるほど。この姉あってあの妹ありか。心の何処かでパチュリーは納得している自分が居る事に気が付いた。
妹のフランドール・スカーレットを狂っているとして幽閉しているレミリアだが、彼女の狂気はある意味フランよりも性質が悪い。
フランの狂気は一時的な暴走でしばらく暴れればナリを潜めるが、レミリアのもっと深く、長く、そして粘性だ。
フランドールの比ではない。もう、既に彼女は愛に狂っているのだろう。
故にパチュリーは細心の注意を払い、神経質なまでに自らが口から吐き出そうとする言葉の単語の一つ一つに厳重な検閲を掛けて、言葉を選りすぐりながら話す。
もしも一言でも間違えてしまえば、どうなるか判ったものじゃない。
「それは本当にレミィの能力が告げた“運命”なの? ただの疲労や、浅い睡眠から生じた夢などではなく、それは本当に貴女の能力が見せた近い未来の情報なの?」
「確かよ。アレは私の能力が発動して見せたビジョン。今、こうして能力を使って○○を感じるだけで、彼の寿命がそう遠くない内に尽きるのが私には判るの」
一切の迷いのない言葉であった。眼を瞑り、○○に対して意識を飛ばすレミリアの手が小さく震えた。
もう、そう長くない彼との時間を思い、そして視して地獄に落とされるであろう彼の事を案じて、レミリアは恐怖しているのだ。
失うことへの恐怖。彼が居ない世界を想像するだけで、レミリアは壊れてしまいそうになる。
「コレは私の意見だけど、運命には二つのタイプがあると思うの」
「続けて」
唐突に語り出した友人にレミリアは顎をしゃくった。
構わずパチュリーは続ける。まるで何処かの研究者のような口ぶりで。
「一つは絶対に覆せない大きな運命、巨大な世界の流れ、歴史の大規模な転換期とかはこれだと思う。
例えば、もしも八雲紫や博霊の巫女が居なくても、違う形で幻想郷に似た世界は作られていたと私は考える。
まぁ、元から全ての大まかな流れが運命によって定められていると仮定したらの話ではあるけど」
パチュリーが紅茶で喉を潤し、続ける。
「そしてもう一つは個人の運命。コレは変えられると私は考えるわ。
多少のバタフライは起きると思うけど、ソレも貴女の能力があれば最小の範囲で修正され、問題のない範囲で収まるはず。問題はその原因を探すことね」
「原因?」
「例えば○○が誰かに殺されると仮定するわ。そしてレミィ、貴女は事前にその犯人を知っている、そうすれば貴女はどうする?」
「その犯人が○○を殺す前に殺すわ」
レミリアの真紅の瞳が細くすぼめられた。本気の殺意がそこに宿り、熔けた溶岩の様に毒々しく輝き始めた。
「そうすれば○○は殺されない、つまり○○は生きるという事になるわね。事故の場合も事故の原因となるモノを消してしまえばいいのよ。
病ならば、定期的にあの竹林の医者の所にでも通わせればいい。レミィ、まず貴女がすべき事は、何故、どういう風に○○が死ぬのか、事故なのか、殺害なのか、病気なのか、それを知ることよ」
「……ありがとうパチェ、本当にお礼を言うわ。これで希望が見えてきた」
友人の言葉を受けて、思わずレミリアは心の底から感謝し、心からほっとし、思わず涙がこみ上げてきそうになるのを必死に堪え、適切な落ち着きを取り戻すのに少々の時間を要した。
そして自らの中で素晴らしい可能性が光と共に花開いていく。なるほど、確かにそうすれば○○を救える。
レミリアは興奮のあまり、呼吸さえ満足に出来なかった。
胸に手をあて、幾度か腹式呼吸を行ってようやく気分の高揚を押さえつけることに成功する。
椅子から立ち上がり、彼女は深く頭を下げた。
パチュリーが思わず呆然とした表情を浮かべたが、レミリアは構わず続ける。
「パチェ、私、貴女と友達でよかったわ」
それは、外見年齢相応のかわいらしい満面の笑顔であった。
パチュリーの図書館を出た後、レミリアはふわふわと滞空しながら欠伸が出るほど遅い速度で廊下を飛んでいた。
額に指を当てて、友人が教えてくれたアドバイスを何度も何度も頭の中で反芻させる。
途中何人かの妖精メイドが彼女にお辞儀をして通り過ぎて言ったことにさえ気が付かないほど、レミリアは考え込んでいた。
ようやく小さな溜め息を吐いて頭を上げ、レミリアは魔術を使って念話を行使した。相手は○○である。
例え何処に居ようが既に体液の交換など幾度も行っている○○とレミリアは、念話での会話が可能なのだ。
直ぐに彼女の脳内に○○のイメージが現れ、愛しい男の声が彼女を満たす。
『どうしたんだいレミリア? 何かあったのかい?』
今起きたのだろう。半分眠っている顔で、眼を擦り、何度か小さく瞬きしながら彼は答えた。
『ごめんなさい、今夜は──』
彼女は言葉を区切り、溜め息を吐いた。
『少し用事が出来てしまったの。食事と湯浴みは咲夜が用意してあるわ。恐らく私の部屋の外で待機しているだろうから、後は彼女に任せなさい』
『そう……判ったよ。でも、会えないのはちょっと寂しいね』
レミリアはごくりと唾を飲み込んだ。
『私もよ。こんな用事、さっさと終わらせて早く貴方と過ごしたい』
『明日は一緒に居られるかな? 久しぶりに一緒に夜の幻想郷をゆっくりと周ってみたいんだ』
思わず彼女は自らの顔がだらしなく蕩けていくのを自分で認識した。
ニヤニヤしそうになる頬の筋肉を意識的に押さえ込み、彼女は続ける。
『大丈夫よ。一緒に月夜の散歩をしましょう』
──そう。この運命さえ打ち破れば、彼女と○○は少なくとも○○の寿命が尽きるまでずっと一緒に居られる。
レミリアの脳内の○○のヴィジョンが眠そうな顔で頷いた。
『用事もいいけど、ちゃんと休んでね、レミリア』
『努力するわ。貴方も、体調とかにはちゃんと気を使ってね』
その言葉を最後にレミリアと○○の念話が切れる。
同時に彼と話していた際に感じていたあの心地よい浮遊感もレミリアの中から消えうせていく。
彼女は愛しい夫に一つだけ嘘を付いた。用事があるというのは本当で、休む努力をするという事が嘘だ。
運命を見るたびに彼の死を感じさせられるというのに、何処に休む余裕があるというのだ?
窓の一つを開き、レミリアが屋敷の外にその翼を最大にまで広げて躍り出る。
その華奢な全身を無数の蝙蝠に変化させ、彼女はこの紅魔館の中でも最も高い建造物である時計塔の天辺に飛び立ち、その頂上で自らの身体を再構築。
天を覆う巨大な十日夜の月。彼女はその月を真紅の瞳で睨みつけた。
上弦の月より幾分ぷっくりとふくらんだ月の光をその全身に浴びて彼女は自らの魔力を高める。
同時に精神を集中させ、極限にまで研ぎ澄まさせる。
そして彼女は運命を操る程度の能力を行使するために深く瞑想を始めた。
時間は余り残されてはいない。
まずは“運命”を読み取るところから始めるとしよう。
このレミリア・スカーレットは、運命になど縛られない。
そう、運命になど負けないのだ。
あとがき
ようやく2話更新です。
献身的な愛と言うのも病みの一種だと思う。
レミリアの愛は、どうなることやら……。
最終更新:2011年05月06日 01:59