駄文投下します。容赦と理解をお願いします。
里人・夫「それじゃあ〇〇、今日はありがとな。」
里人・妻「久しぶりに夫婦でゆっくりとできました。」
里人・子「〇〇兄ちゃん、バイバーイ。」
〇〇「いえいえ、役に立てて何よりです。また明日、仕事場で。バイバイ。」
自分が幻想郷に迷い込み早、一年が過ぎようとしていた。
迷った当初、妖怪に襲われ命からがら人里に着いた時に優しく保護し説明をし、しばらく留まることにしたが右も左もわからない自分に住む所や仕事を紹介してくれて、剰え食べ物を分けてくれた人々には感謝してもしきれない。
今日は仕事場で厚意にしてくれる人の娘さんの子守をした。
「結婚記念日に女房と二人でゆっくりと過ごしたいが、子供がなぁ…。」と最近、呟いてたのを聞いて恩を少しでも返せる機会だと思い子守を買って出ると「ホントか?じゃあ頼めるか〇〇!?」と言われ二つ返事をした。
そして、仕事が休日の朝。夫婦で四歳になる娘さんを連れて自分が住む小屋まで来た。
奥さんが娘さんに「ちゃんと言うこと聞くのよ?」と注意し娘さんはニコニコと人懐っこい笑顔で返事して、自分の方へやって来た。
里人・夫妻「それじゃあ、お願いな【します】。」
二人は自分に頭を下げて、腕を組んで歩いて行った。
娘さんは、とても聞き分けが好い子で子守は楽だった。午前中は絵を描かせたり持って来ていた鞠で一緒に遊んだりした。
昼は流石に自分の手料理を食べさせて何かあっては怖いから、里にある蕎麦屋へ行くことにした。
行く途中で肩車をしてあげると、とても喜んだ。
午後には木陰で昼寝をさせ、おやつには甘味処で一緒にみたらし団子を食べ、夕方には迎えが来て送り出した次第だ。
〇〇「それにしても、今日は知り合いに助けられたなぁ。」
晩酌をしながら〇〇は今日会った幻想郷で知り合った女性達を思い出した。
蕎麦屋の軒先で里の守護者である上白沢慧音と、食後の散歩の途中で命蓮寺の僧侶である聖白蓮と、そして甘味処では八雲藍と式である橙とも出会した。
皆、子供を連れている〇〇を見て驚いていたが、知り合いの子供を預かっているのを聞くと納得し、慧音は〇〇が食事しやすいように自身が子供の口元に冷ました蕎麦差し出し食べさせ、
白蓮には昼寝の際に子供を抱き子守歌で寝かしつけてもらった。
藍と橙は甘味処で、みたらし団子を食べている最中に出会し子供の頬についていたみたらしの餡を拭いてもらい遊び相手にもなってもらった。
皆、まるで本当の母親みたいな接しかたで微笑ましい光景だったと〇〇は思った。
〇〇「それにしても結婚する前に子供が欲しくなるのも変な話だなぁ…。」
と、沸き上がった心情を呟き晩酌を続け夜は更けっていった。
翌日、仕事場で〇〇は昨日の行く先々での光景を見た同僚から「まるで本当の家族みたいだった。」と頻繁に言われた。
夕方、仕事を終え小屋へと帰ると「「「お帰りなさい〇〇。」」」と昨日出会した三人が中に居て出迎えた。
〇〇「あの…皆さん、今日は一体ウチに何用で?」
驚きのあまり固まって質問をする〇〇。
慧音「うん、〇〇に話があってな。」
白蓮「いや、まずは私の話から聞いてもらおうか〇〇?」
藍「いやいや、一番先に私の話を聞いてくれ〇〇?」
三人とも顔を赤くしたと思ったら、今度は互いに睨みつけ牽制するような面持ちに空気が重くて痛いものになった。
〇〇「あの…皆さんのお話とは…?」
〇〇が恐る恐る聞いてみると、三人とも一気に話しだした。
慧音「〇〇に『良い縁談の話』があってな?大丈夫だ、悪い相手じゃないぞ?何せ子供の面倒見がよくて里人達からも信頼されている女性だ。」
白蓮「〇〇、今日から寺男になって私の側にいなさい。そうすれば人里への恩返しも出来る可能性もあります。」
藍「橙がな、昨日遊んだあの娘みたいな妹か弟が欲しいって言ってきたからな。幸い橙は〇〇に懐いているしな?」
各々が自分をアピールするかのような話を淀んだ目と歪んだ笑顔で語った。
〇〇「え…と、要するに結婚しろと?」
「「「私とな。」」」
三人の声が重なりさらに語る。
慧音「〇〇も昨日、言っていただろう?『結婚する前に子供が欲しくなるのは変な話だ』って、大丈夫結婚すればいいんだからな?」
藍「仕事場の同僚も言っていただろう?『本当の家族みたいだった』と。」
白蓮「大丈夫だぞ〇〇?結婚するにあたり、ちゃんと『身辺整理』はしておくからな?」
そう言う三人から昨日感じた母性や慈愛とは正反対の憎悪などの負の感情が三者お互いに向けているのを感じた〇〇。
〇〇(あれ…?気がつけば『人生の墓場』が目の前に!?)
最終更新:2011年05月06日 02:39