幻想郷に迷い込んで早いもので、早くてもう半年。

妖怪が当たり前に居て襲われたら恐ろしいが外の世界で自然や動植物を撮るカメラマンをしていた俺にとっては雄大な自然があり、今の日本では滅多に見られなくなった動植物が居るここを気に入っている。


また、知り合った幻想郷の実力者である人、神、妖怪などは全て女性であり、かなりの美人ばかりでこれも気に入った理由の一つであるのは秘密にしていよう。

その間の暮らしは、優しい人里の人々に支えられ住む所に日雇いの仕事で食い扶持は何とか稼げていた。
仕事の休み日には愛用のカメラを片手にあちこちの風景や動植物、最近は人物を撮ることもあった。
フイルムと現像液は人里に買い出しに来ていた森にある外界の品を扱っている雑貨屋の店主と仲良くなり、安価で譲ってもらうように話がついたのも幸いだ。


今日は博麗神社での宴会に誘われている。
早速、カメラと三脚を持って神社に到着すると、すでに宴会は始まっており知り合い達は飲めや歌えやと騒いでいた。
その光景にシャッターを切る。
カメラを向けた時の各々、いい笑顔をしていた。

一通り撮ったら自分も宴会に加わり楽しくやっていると、ふとあることを思いつた。


〇〇「紫さん、折り入ってちょっとお願いがありますけどいいですか?」

紫「あら、〇〇。何かしら薮から棒に?」

〇〇「紫さんの能力である物を外界に届けてほしいんです。」

紫「その届ける物によるわね。幻想郷に影響を及ぼすのは駄目よ?」

〇〇「写真です。って、言うより絵葉書ですよ。何度か放浪の旅に出たことあって、その時は定期的に絵葉書で安否を報せていましたけど、ここに来て一度もしていませんから。」

紫「成る程ね、それならいいわ。特別に届けてあげる。」

〇〇「ありがとうございます。」

そう言うと〇〇は早速、三脚にカメラを鳥居の前で人里が背景に写るようセットし、タイマーを起動させる。
ジィーッという機械音がし、いそいそとカメラの前で腕を組む〇〇。
…が、ある事に気がついた。

〇〇「あの…みなさん?記念写真の撮影ではないし、個人的な写真なんですが…?」

霊夢「そうよ、あんた達。〇〇さんが困っているから離れなさい今すぐに。」

魔理沙「全くだぜ!ただし、お前もな霊夢。」

早苗「二人とも邪魔です!!写るのは〇〇さんと私だけでいいんです。」

咲夜「『外の常識が、ここでは非常識』って言うけど、今回は三人共非常識よ。ね、〇〇さん?」

〇〇「いや…君達全員、離れてくれない?」

そう話している最中にシャッターは降りていた。
現在、〇〇の周りには幻想郷で知り合った実力者である人間の女性達がいた。

紫「貴女達みたいな、お子ちゃまと〇〇は不釣り合いよ。精神的にも体的にもね。」
いつもみたいな胡散臭い笑みではなく、明らかな嘲笑した表情で自身の胸を強調するように腕を組む八雲紫。

幽々子「あら、一理はあるけど貴女は妖怪でしょう。紫?」

紫「貴女は亡霊。それこそ一緒に写ると卒倒ものよ。」

慧音「さぁ、〇〇。あっちが勝手に騒いでいる内にカメラのタイマーをセットして撮り直そう?」

永琳「写りたくても、写れない連中が葛藤している今の内にね?」


そう永琳が言うと羽が生えていたり獣耳や尻尾などが生えている面々が虚ろな目でカチカチと歯ぎしりしながら〇〇を見ていた。

〇〇「あの、皆さんは何故たかが自分が出す絵葉書の写真に写りたいんですか?」

〇〇がそう言うと、全員が虚ろな目で見て歪んだ笑顔で答えた。

「「「「たかが?たかがって言った〇〇?あぁそうか、先に『既成事実』を作らないとね?」」」」

〇〇は彼女達の考えがようやく理解した。
既成事実+一緒に写っている絵葉書=そういうことか…と。

後日、外界にある〇〇の実家に綺麗な女性とげっそりと窶れた〇〇が写った絵葉書が届いた。
葉書には「素敵な女性と出会い元気にやっています。」と記載されていた。

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最終更新:2024年07月29日 10:48