何時だったか夢を見た。
緑色に広がる草原、風が強く吹いていて草花は大きく揺れていた。
そしてふと気付く。
視線の先には彼女が居た事に。
白いワンピースと大きなピンク色の日傘、ひらりひらりと舞わせながら、にこやかな笑顔で楽しそうに両手を向けている。
「はやくこっちにきて ○○」
日傘をさしているとはいえ、日光の下。
彼女を心配しそう促すも、聞いた様子も無くフランは笑うだけ。
「わたしをつかまえられないの?」
挑発に乗ってやると言わんばかりに、彼女の元へと飛び込もうとした。
じゃらっ。
足元から、そんな音が聴こえた。
見下ろせば、そこには黒い足枷と赤い鎖。
青い髪をしたフランドールそっくりの少女が、怒りに歪んだ表情でその鎖の先を掴んでいた。
「私以外と幸せになるなんて、絶対に許さない」
そう聴こえた途端、フランの白かったワンピースも、揺れる草花も、空も、全てが。
赤黒く染まっていた。
フランそっくりの少女はそれと同じ、いやそれ以上に赤く赤い赤い針を片手にその鎖を手繰り寄せてくる。
足枷は外れない。
フランそっくりの誰かが近くまで来た時、それが初めて誰なのかと気付いた。
ああ。
針はゆっくりと自分の首筋へと飲み込まれる。
そしてそれを愛おしそうに彼女は啜り始めていた。
最終更新:2010年08月27日 00:21