人間ってのは、災難が起きた時に面白い行動を取るよね。
水害が起きたら高いところに逃げる、火災が起きたら水辺に逃げる。
ああ、いやいや、端から見てて面白いってだけだよ。気を悪くしないでくれ。

ところで、こういう場合はどう言ったらいいのかね。
君や、君とご同類は実に様々な所に逃げているそうじゃないか。
水の中、穴蔵、屋根裏、果てには天界なんてトコもあったなぁ。
君みたいに地面に逃げる人もいる。まぁ、よく避難用に洞窟や穴蔵を掘る人間は多いからね。

でもね、正直外れだと思うよ?
君達が接している災難は気から発するもの、つまりは病なんだ。
こればっかりは遠離ってどうにかなる問題じゃない、寧ろ、病状を煽る場合も有り得る。
え、病状を煽るだなんて変な表現だ? まぁ、表現の1つだよ。気を悪くしないでくれ。
ほら、ここから見えるだろ。橋の守護者に追われている君と同じ余所者だ……。
ああ、捕まった。上から逃げてきて、匿ってくれた妖怪がまさか逃げてきた妖怪と同じ病を拗らすとは彼も思わなかったろう。
んふふ、私ら地の下に住まう妖怪は嫌われ者だからね。
孤独には慣れているし、嫌われ者同士傷をなめ合うのもお手の物だ。
だけどさ、やっぱり心の何処かでは求めているんだろうねぇ。ほれ、ああして発症するともうそれしか考えられなくなる。
ただの人間に番人が、鬼が、地獄の管理人が、地獄猫が、地獄鴉が、狂おしい程に求めてしまうんだ。君達人間を。
君達からして地底は逃げ場だったかもしれないけど、全くの間違いだった訳さ。

……さて、私も発症したからには養生しないとねぇ。よっと、なかなかのモンだろこの糸捌きは。
んふふ、君が悪いんだぞ。私の前に姿を現して助けを求めるから、何度も求めてしまうから。
だから、私もこうして病に罹ってしまったんだよ。病を操る妖怪なのにねぇ。
さて、良い具合に繭も出来た事だし一緒に眠ろう。この病気には君の温もりが何よりも特効薬なんだ。

…………中毒性が凄くて、一度温もりを知ると手放せなくなるのが問題だけどね。

ふあ、眠い。そろそろ眠るか。
お休み○○……君は良い抱き枕になりそうだ……。





レイセンのSS書こうとしたら何故かこうなった。何故だ?

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年05月06日 03:14