幻想郷にある人里のとある小屋で一人の〇〇と言う外来人の青年が手酌で飲んでいた。
〇〇「いやぁ~、ホントについてるし頼んでみるもんだな。まさか幻想郷で柿の種を食べることが出来るとは。」
少し前にふらりと迷い込み幻想郷について説明を受け妖怪などがいるのを聞いて驚くも、好奇心でしばらくの留まることを決め高い順応能力や外界の知識などで人里に受け入れられていた〇〇。
ある日、〇〇は美味しい幻想郷のお米でふと、「柿の種が作れないか?」と考えた。
そこで煎餅などを販売している菓子屋に提案をすると、始めは渋い顔をした店主だが外界の味覚を入れてみたいという職人魂に火がつき二つ返事をし、それから一ヶ月の間、〇〇の記憶を頼りに味や形を試行錯誤した結果遂に柿の種は完成した。
いざ、店頭に出してみると新しい味覚で酒の肴になるからあれよあれよと売れあっという間に完売。
これには店主も大喜びし、〇〇に気持ちの分の手間賃と柿の種を渡した。
そして、ただ今〇〇は満足げに祝杯を飲んでいた。
すると突然、隣から声が聞こえた。
萃香「美味しそうな肴だね〇〇?私にもくれないかい?」
そこには幻想郷で知り合った重鎮の一人、鬼の伊吹萃香が居た。
〇〇「萃香、霧になって急に現れるないでちゃんと玄関から入って来いよ。驚くよ。」
萃香「あはははは、ごめんごめん。今度から気をつけるよ。」
〇〇「まぁいいや、はい食べてみて。」
萃香に柿の種を差し出す〇〇
萃香「どれどれ…ポリポリ…うん、美味いね。」
〇〇「そうかい?沢山あるし一緒に飲むか。」
萃香「やったぁーー!!飲むぞー!!」
そう叫ぶ萃香が胡座をかいている〇〇の膝の上に座る。
〇〇「おいおい、萃香。何で俺の膝の上に?」
萃香「ん~?気にしない気にしない。」
〇〇に人懐っこい笑顔をする萃香。
すると、今度は玄関が吹き飛び何かが入って来た。
文「〇〇さん、明日の文文。新聞のために提案した新しい味覚のことを教えて下さい!!」
入って来たのは烏天狗の射命丸文だった。
〇〇「君は君で玄関からだけど普通に入って来いよ文!!」
文「あややや、すみません今度から気をつけます。とりあえずは天狗の大吟醸酒を持ってきましたから一緒に飲みながら…って、何やっているんですか萃香さん?」
〇〇の膝の上にいる萃香を見て急に無表情になる文。
萃香「〇〇は今日は私と飲むから取材は諦めな。私からせっかくの美味い酒と肴を横取りを気かい?」
文「あやや、それは伊吹さんでも無理な話ですね。それに人間である〇〇さんが伊吹さんと同じ酒を飲めませんよ?」
〇〇「お…おいおい。」
空気が重く痛くなったのを感じた〇〇が止めに入ろうとすると
萃香「〇〇、ちょっと待ってて?うるさい烏を黙らせてくるから。」
文「〇〇さん、ちょっと待っていて下さい。質の悪い酔っ払いを摘まみ出して私と飲みましょう?」
二人とも〇〇に向かって濁った目と歪んだ笑顔をしていた。
彼女達の考えは同じ。
((柿の種よりも、〇〇をつまんで【子種】が欲しい))と。
それを感じたのか〇〇は動けずにいた。
最終更新:2011年05月06日 03:47