咲夜はある日レミリアにとある男と一緒になる為に退職したいと告げた
驚いたレミリアだが、ある事を条件に館への逗留を許可する
それは咲夜が子供を産み、その子供をレミリアへ渡すこと
レミリアは咲夜の後継として子供を育て、永遠の従者にしようと考えたから

十月十日もすれば子供は生まれる、赤子は吸血鬼とその従者たちの手に委ねられた
最初こそレミリアが親友の知恵を借りつつ世話を焼いたがすぐ飽きた
結局門番が乳母に転職し、暇を持て余した妹が門番代理になった

子供が物心つく前に咲夜は男を連れて去った、それ以来行方は知れない
門番が気を聞かせてレミリアを母だと言いつつ礼儀作法や仕事を教えた
親友は教養と魔法を教え、使い魔と妹は可愛がった
月日は流れて子供は育ち、立派な執事となった
何処に連れ立っても恥ずかしくない出来にレミリアは満足し、笑った

ある日、執事は母であるレミリアに好きな人が出来たと告げた
それを聞いたレミリアは激怒し、彼を部屋から追い出した
レミリアすら何故怒ったのか理解できなかったが、ひとつだけ思い当たる節があった
母と呼ばれど実際に世話したのは門番その他、自分はずっと待ち続けた
運命通りに出来上がった従者は、あまりにも完璧すぎて
……私の心を、射止めてしまった

謝るふりをして執事の部屋に、ベッドに腰掛け彼を押し倒す
従者を好きになってしまうなんて、主人としてはみっともないけど
あなたは私と結ばれるべきね、運命だもの
何か言おうとした執事の口を口でふさぎ、あとは衝動に身を任せた

―――

咲夜は最初から子供を道具としてしか見てなかった
この子は彼を縛り付けるための楔であり、お嬢様との契約の品物
そう考えねば、彼だけを愛すると決めた気持ちが揺らぎそうになったから
不意に感じる胎動、またしても彼へ捧げたはずの愛が揺らいだ

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最終更新:2011年05月10日 21:58