「ごめん、気持ちは嬉しいけど付き合えない」
「え?何でなの?…」
「来週外の世界に帰れることになったんだ、
長いこと親にも迷惑掛けてたからそろそろ元の世界に戻らないと…」
私は今日○○に告白してものの見事に撃沈した。
○○は外の世界から来た人間で妖怪に喰い殺されそうになった所を、
白蓮に保護され命蓮寺に住まうことになった。
最初は女性しかいない環境に表情が硬かったが、段々と打ち解けるようになった。
言われるまで気が付かなかったが○○と私はカップルに見えていたらしい。
そんなことは無いと思っていたが、
言われたその日から意識するようになり、
自分が○○の事を好いていることを自覚するようになった。
そして今日、思いの丈をぶつけたが…

「そっか、そうだよね。○○にだって家族がいるもんね!」
「すまない…」
「ううん、こっちこそゴメンね。この話は忘れて!」
そう言って私は走って行った。
「ムラサ…」
あの一件以来ムラサは余り会話することが無くなった。
というより俺のことを避けているようにすら見える。
このままでは可哀相に思い白蓮にムラサに告白された事、
俺がその告白を断った事、それから極端に話す回数が減ったことを話した。
「…ということなんです。」
「分かりました、水蜜に話してみます。」
白蓮はムラサを自室に呼び出し、最近何か思い詰めていないか問うた。
「最近何か無理をしていませんか?」
「そ、そんなこと無いよ。何時も通りのパワフルなムラサだよ!」
「嘘仰い、今の水蜜は辛い事を他人に見られたくなくて取り繕っているわ。
まるで水底をさ迷っていた頃と同じ表情をしているわ。」
水蜜は言葉を返すことも出来ずに俯いた。
「一人で抱え込まないで、私に話してみなさい。」
水蜜は白蓮の胸に顔を埋め思いっきり泣きじゃくった…

「落ち着きましたかムラサ?」
「うん。」
「しかし○○が元の世界に戻らなければならないのも事実。
しかし、二人が確かに、確かに寄り添っていた証を残せれば…」
「証?…」
「今夜は訳あって一輪、星、ナズーリンと一緒に守矢神社に向かいます。
明日の昼までは絶対に戻ることはないでしょう。
ぬえもしばらくはここに戻る気は無いでしょう、○○とムラサで二人っきりです。」
「二人っきり…」


to be continued…



「その間にどうするかは貴女次第です。よく考えてくださいね…」

「はぁ~…今日も結局ムラサと話すことは無かったな…
やっぱりムラサを傷つけたよなぁ、語彙力の無い俺の会話センスを恨むわ…
仕方ない、明日も早いんだし、そろそろ寝よう。」
○○が布団に潜り、まどろみかけてた頃、誰かが○○の布団に潜り込んできた。
「う~ん、なんだ?…む、ムラサ!?どうして潜り込んでるんだ!?」
「お願い○○、最期くらい貴方と私が愛し合っていた証を残させて!」
そう言うなり両腕を○○の後頭部に巻き付け塞ぐように唇を重ねた。
いきなりのキスに動転した○○は水蜜を引き剥がそうとするが、
錨をバトンの如く振り回す水蜜の腕力では歯がたたない。
さらに○○は異常に気が付いた。
暑さの所為かと気にしなかったがキスを受けてから○○は、
雨に打たれたかの様に汗だくになっていた。
それだけでは無い、水蜜の口伝いに液体を強制的に飲まされる。
その液体は海水のように塩辛く、液体自身が意志を持つかのように流れ込んでいく。
そして密着したキスだった為に○○は酸素が無くなり、段々と意識が遠のいていった。
気を失っても尚口付けを止めない水蜜の体が段々と小さくなっていくことに、
○○は知る由もなかった…。

~翌朝~
「っぷあぁ!、はぁ、はぁ、窒息死するところだった、
いくら何でも悪ふざけが過ぎるだろムラサのヤツ…」
○○は立ち上がろうとした時にやけに布団の中がひんやりする事に気付き、
布団を捲ると、
「マジかよ、この年になって漏らしたとか洒落にならないよ…」
「フフ、○○はおねしょなんてしてないよ。」
突然頭の中から響いた声に驚き、○○は周りをキョロキョロと見回した。
一番親しかった水蜜の声だ。
「ムラサか!?どこに居るんだ!」
「どこって、○○の中だよ。」
「俺の中?どういう事だ?」
「あの晩に○○の中に蓄積されていた水分を全て出して、
代わりに私という水分で満たしたの。」
「一体何がしたいんだ、兎に角俺の体から出てくれ。」
○○の言葉を聞いたのか○○の右腕から液体がずるずると滲み出てきた。
それと同時に酷い渇きが○○を襲う。
「いいの○○?私が○○から出たら脱水症状起こして死んじゃうよ?」
息をするのも困難になり、眩暈で視界が閉ざされる感覚に身の危険を感じ、
「分かった!分かったからもう出ないでくれ!」


to be continued…


「嬉しい…、○○が出ないでくれって言ってくれた。
そんなに私から離れたくないんだ。」
水蜜の惚けたような声を聞き、○○は悟った。
自分は恋慕に焦がれた念縛霊に取り憑かれたのだと……

~end~

個人的にはムラサの心の葛藤が上手く表現出来なかったのが心残り

体の内側から嫁にじわじわと侵食されるのに興奮する変態紳士はどこかに居らぬか…

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最終更新:2011年05月10日 22:09