彼女は今日も書く。
ホン
愛の言葉を、恋慕の情を、私の体に書き綴る
「愛なんていくら読んでも理解できなかった…
でも、それが今こんなにも溢れるわ…!」
頬を赤らめ、まるで花の乙女のようなその顔で。
チシキ
盆から零れる想いを戻す気も止める気もなく。
「素敵よ、素敵。どうしよう…どんどん好きになっていくわ
これが愛なのね…あぁ…本当に、素敵…」
知識を蓄えておく彼女らしく、感情でしかないその知識を
忘れるものかと。私の体へ縦に横に殴り徒然と書き連ねる。
「対象に書けば忘れない」と、私を書きやすいように変えてまで。
初めの一文は「愛してる」その次の一文も「愛してる」次も「愛してる」
カオ カラダ ミミ
最初から最後まで「愛してる」。ただそれだけを表紙から中身まで、後書きまでもが「愛してる」
「文章を考えてたら忘れてしまう…こんな素晴しいこと忘れるなんて…
あぁ○○…愛してる…愛してる…愛してるわ…○○…」
真っすぐな言葉を吐きながら、歪んだ言葉を書き連ね、今日も彼女は手を止めない。
アイ
とっくにページは切れたのに。上から書き連ねてすぎて、彼女にも認識できない言葉を。
最終更新:2011年07月09日 22:01