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――この世界、テルカ・リミュレース。大地と海がどこまで続くのか、知る人はいない。なぜなら……世界にうごめく魔物たちに比べ、人はあまりにも弱い。我々の住む街を守る結界、我々は己を守るためにその中で生きながらえている。それを成す、核となる魔導器(ブラスティア)。世界に満ちた根源たる力、エアルを使い、魔導器は、火、水、光、繁栄に必要な、ありとあらゆるものを、今日まで我々に与え続けていた。やがて、いつの日か、結界の向こうに凶暴な魔物が生息することも我々は忘れてしまうのだろう。繁栄と成長を続ける世界……。全ての人々のための平和、魔導器の恩恵により、さらなる発展を遂げていくだろう」
桃色の髪の女性が静かに語る。
帝都ザ―フィアスの下町に場面移動。
「………」
ローブ姿の一人の人間が噴水に近づき蒼く光る球体を取りだす。水晶を失った噴水からは延々と水が噴き出す。
場面は変わり、何処かの城のような一室。
「平和の礎である
帝都ザーフィアスより願う。『世界が穏やかであるように』」
語り終えた女性が本を閉じると同時にノックの音。
「……っ!」
一方ザ―フィアスの下町では、あふれだした水で人々がパニックに陥っている。その中で一人、静かに遠くを見つめる男がいた。
「………」
Tales of Vesperia 000 始まり
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最終更新:2010年06月23日 18:49