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青い空、白い雲。見上げれば何時もと変わらない風景。ふと視線を移せば川…
「…………」
確か昨日までは道だったよな……見慣れた町の風景を思い出す。金髪の親友と藍色の髪の少女。2人と共に走る幼いころの自分の姿。
「……ったく、何思い出してんだか」
軽く溜息をつき、もう一度空に街を描く。
「……やっぱ道だったよな……」
傍に寝転ぶ大型の犬――ラピードに話しかける。ワフ、と肯定の声を聞き、再び水び出しの街道へ視線を移す。
ドタドタドタ!階段を上る足音にふとドアを見ると勢いよく開き、一人の少年が同じように勢いよく飛び出してきた。
「ユーリ!大変だよ!!」
「でかい声出してどうしたんだ、テッド」
あわてた様子の少年、テッドに言葉を掛ける。テッドは興奮した様子で窓から身を乗り出し
「水道魔導器がまた壊れちゃったんだよ!さっき修理してもらったはずなのに」
「なんだよ、厄介事なら騎士団に任せておけって」
「下町のために動いちゃくれないよ。騎士団なんか!」
「フレンが居るだろ世話好きの」
「もうフレンには頼みに行ったよ!でも会わせてくれなかったんだ!」
テッドの言葉に溜息がこぼれる
「俺アイツの代わりかよ…」
「いいから来て!人手が足りないんだ!!」
腕を揺さぶるテッドの頭を軽くなで「あとでな」と答える。テッドは「なんだよぅ!」とふてくされた後、部屋を出ていく。
その背中が見えなくなるのを見届けてからユーリは再び溜息をついた。
「ワフ」
足元から聞こえる声に視線を向ければラピードに「さっさといけ」と言われているようで。
「しゃーない、行きますか」
「ワフン」
何処か満足げなラピードの鳴き声と共に窓枠から外へ下りる。
「留守番頼むぜ!ラピード!!」


水び出しの街道を通り、噴水のある広場へと向かう。
「こりゃ酷いな…」
噴水からはとどめなく水があふれ出、ユーリの黒髪を濡らす。噴水の周りには水を止めようとする下町の住民が大勢いた。その中心には
「なんとしても止めるんじゃ!!!」
「なーんかお宝でも埋まってんのか?ハンクス爺さん」
「やっと来おったかユーリ!」
土嚢を運ぶ一人の老人に声をかける。老人――ハンクスはユーリをじっとにらんだ後、ため息をついた。
「爺さん、あんま水遊びしてると老体に触るぜ?」
「お前さんもこれからやるんじゃよ」
「げっ…」
皮肉をこめて言えば返されて、頭をかいていると一人の青年に声をかけられた。
「ハンクス爺さん責任感じてんだよ、修理費先導きって集めてたの爺さんだからな。……わざわざばあさんの形見まで売って修理したのになぁ…」
「…………」
ユーリはじっと水道魔導器を眺める。水のあふれるそれには何か違和感を感じる
「……っ!」
――魔核がない…!?
「爺さん、魔核はどうした?魔導器の真ん中にはまってるやつ!」
「さぁな…それより手伝わないなら近寄るな!危ないぞ!」
――魔核がないと魔導器は動かない。修理する前は確かあったはず……
「そうだ!お前さんは知らないだろうがアリアが帰ってきておったぞ!アリアも魔核が何とかと言っておったが…」
「―――!!アリアが帰ってきてるのか!?」
アリアという名前に反応してユーリが急に顔を上げる。ハンクスは「やれやれ……」と呟いた後土嚢を持ち上げる
「ああ。お前さんが来る前に何処かへ行ってしまったが…」
「そっか!でも帰ってきてるんだな!……ってかアリアが……」
「わしもあまり知らんよ。3年ぶりに帰ってきたと思ったらこの騒ぎじゃ」
ハンクス表情を見て、ユーリは思う。
―――あいつ…まさか魔核を探しに…?
3年前姿を消した幼馴染を思い浮かべる。下町を愛す彼女のことだ、きっと魔核を取り戻そうとしているのだろう。
「……ハンクス爺さん、確かこの前修理に来てた貴族ってモルディオってやつだったな。そいつ、貴族街に住んでんのか?」
「あ…ああそうじゃが……」
「……悪い。用事思い出したから行くわ」
ハンクスたちに背を向け、貴族街へと続く階段のある方へ向かうユーリ。
「武醒魔導器が使えるからって無茶するなよ!!」
「誰も貴族街に行くなんて言ってねぇぞー?」
一瞬振り返りハンクスたちに手を振る。
「さってと……貴族街……か……」
手に持った刀を握り締め、ユーリは歩みを進めるのであった。

青い空、白い雲。見上げれば何時もと変わらない風景。ふと視線を移せば川…
「…………」
確か昨日までは道だったよな……見慣れた町の風景を思い出す。金髪の親友と藍色の髪の少女。2人と共に走る幼いころの自分の姿。
「……ったく、何思い出してんだか」
軽く溜息をつき、もう一度空に街を描く。
「……やっぱ道だったよな……」
傍に寝転ぶ大型の犬――ラピードに話しかける。ワフ、と肯定の声を聞き、再び水び出しの街道へ視線を移す。
ドタドタドタ!階段を上る足音にふとドアを見ると勢いよく開き、一人の少年が同じように勢いよく飛び出してきた。
「ユーリ!大変だよ!!」
「でかい声出してどうしたんだ、テッド」
あわてた様子の少年、テッドに言葉を掛ける。テッドは興奮した様子で窓から身を乗り出し
「水道魔導器がまた壊れちゃったんだよ!さっき修理してもらったはずなのに」
「なんだよ、厄介事なら騎士団に任せておけって」
「下町のために動いちゃくれないよ。騎士団なんか!」
「フレンが居るだろ世話好きの」
「もうフレンには頼みに行ったよ!でも会わせてくれなかったんだ!」
テッドの言葉に溜息がこぼれる
「俺アイツの代わりかよ…」
「いいから来て!人手が足りないんだ!!」
腕を揺さぶるテッドの頭を軽くなで「あとでな」と答える。テッドは「なんだよぅ!」とふてくされた後、部屋を出ていく。
その背中が見えなくなるのを見届けてからユーリは再び溜息をついた。
「ワフ」
足元から聞こえる声に視線を向ければラピードに「さっさといけ」と言われているようで。
「しゃーない、行きますか」
「ワフン」
何処か満足げなラピードの鳴き声と共に窓枠から外へ下りる。
「留守番頼むぜ!ラピード!!」


水び出しの街道を通り、噴水のある広場へと向かう。
「こりゃ酷いな…」
噴水からはとどめなく水があふれ出、ユーリの黒髪を濡らす。噴水の周りには水を止めようとする下町の住民が大勢いた。その中心には
「なんとしても止めるんじゃ!!!」
「なーんかお宝でも埋まってんのか?ハンクス爺さん」
「やっと来おったかユーリ!」
土嚢を運ぶ一人の老人に声をかける。老人――ハンクスはユーリをじっとにらんだ後、ため息をついた。
「爺さん、あんま水遊びしてると老体に触るぜ?」
「お前さんもこれからやるんじゃよ」
「げっ…」
皮肉をこめて言えば返されて、頭をかいていると一人の青年に声をかけられた。
「ハンクス爺さん責任感じてんだよ、修理費先導きって集めてたの爺さんだからな。……わざわざばあさんの形見まで売って修理したのになぁ…」
「…………」
ユーリはじっと水道魔導器を眺める。水のあふれるそれには何か違和感を感じる
「……っ!」
――魔核がない…!?
「爺さん、魔核はどうした?魔導器の真ん中にはまってるやつ!」
「さぁな…それより手伝わないなら近寄るな!危ないぞ!」
――魔核がないと魔導器は動かない。修理する前は確かあったはず……
「そうだ!お前さんは知らないだろうがアリアが帰ってきておったぞ!アリアも魔核が何とかと言っておったが…」
「―――!!アリアが帰ってきてるのか!?」
アリアという名前に反応してユーリが急に顔を上げる。ハンクスは「やれやれ……」と呟いた後土嚢を持ち上げる
「ああ。お前さんが来る前に何処かへ行ってしまったが…」
「そっか!でも帰ってきてるんだな!……ってかアリアが……」
「わしもあまり知らんよ。3年ぶりに帰ってきたと思ったらこの騒ぎじゃ」
ハンクス表情を見て、ユーリは思う。
―――あいつ…まさか魔核を探しに…?
3年前姿を消した幼馴染を思い浮かべる。下町を愛す彼女のことだ、きっと魔核を取り戻そうとしているのだろう。
「……ハンクス爺さん、確かこの前修理に来てた貴族ってモルディオってやつだったな。そいつ、貴族街に住んでんのか?」
「あ…ああそうじゃが……」
「……悪い。用事思い出したから行くわ」
ハンクスたちに背を向け、貴族街へと続く階段のある方へ向かうユーリ。
「武醒魔導器が使えるからって無茶するなよ!!」
「誰も貴族街に行くなんて言ってねぇぞー?」
一瞬振り返りハンクスたちに手を振る。
「さってと……貴族街……か……」
手に持った刀を握り締め、ユーリは歩みを進めるのであった。


Tales of Vesperia 001 水道魔導器壊れる










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最終更新:2010年06月23日 23:49