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折原臨也&ジャーナリスト ◆weU1zR4Bn6


 閃光が瞬く。
 光が照らすのは凄惨な殺人現場。
 一面血の海となった路地裏から歩み出てきた男は、懐から携帯電話を取り出した。

「……もしもし」
「やあ、フランク。どうだった?」

 聞こえてきたのは快活な男の声だ。
 プレゼントを待ちきれない子供のような感触を覚える。

「ハズレだ。こいつはサーヴァントの仕業じゃない」
「そっかー、まあさすがにそんなヘマをする間抜けはいないよね。
 とりあえず一旦戻ってきてよ。池袋でカラーギャング同士の抗争が起こりそうなんだ」
「ギャングの抗争ねえ。本気でそんなもんにサーヴァントが噛んでると思うのか?」

 通話相手は彼の雇い主だ。
 現在、男――フランク・ウェストは、このクライアントの依頼で街を駆け回り、スクープを探している。

「まさかぁ。そこまで単純に考えちゃいないよ。でも大きな事件になることは間違いないからね。
 後々何かに使えるかもしれないだろ? どうせ今は他にやることもないしさ」
「そりゃそうだ。了解、ボス。すぐに戻る」

 通話を切り、携帯をポケットへ落とす。
 ちょうど近くに止まっていたタクシーを捕まえ、池袋へ向かわせる。

――イケブクロ……日本か。こんな形で来ることになるとはなぁ。

 フランクの役目はフィールドワーク、現場担当だ。
 彼が足で集めた情報を雇い主が精査し、価値ある情報に整理して他者へ売る。
 彼のボスはいわゆる情報屋なのである。そしてフランクはジャーナリストだ。雇い雇われる関係は自然に成立した。
 フランクは生前、フリーのカメラマンだった。企業に属する社員ではなく、自分の腕のみを頼る一匹狼。
 タクシーの窓から往来を眺める。そこには平和な街並みが映っていて、戦争の気配など微塵もない。

――聖杯戦争……生存競争。ただし相手はゾンビじゃあない、か。

 思い出すのは、フランクの人生を決定づけた事件だ。
 ある郊外の街で起きたバイオハザード。閑静な街が一夜にして地獄へと様変わりしたあの『ウィラメッテ事件』。
 人間を動く死体――ゾンビへと変貌させる悪魔のウイルスがばら撒かれ、多数の死亡者が出た。
 コロラド州の地方都市で生まれた種火は瞬く間にアメリカ全土に広がり、世界中を巻き込んだ有史以来最悪のバイオテロとなった。
 フランクはスクープをモノにすべくその地獄へと飛び込み、事件の真相を掴み報道した。しかしその時には既に、世界中にウイルスが拡散していた。
 世界は瞬く間に人間とゾンビの生存競争に呑み込まれた。

――まあ、いいさ。俺のやることはいつだって変わらん。

 フランクがどう生きて、どう死んだか――それは今、語るべきことではない。
 肝心なのは、フランクが今、ここにいるということだ。自由に動く身体があるのなら、フランクがするべきことは一つしかない。
 目的地に着いたタクシーから降りて、寂れたビルの階段を登る。


「おかえりフランク。どうだった? 初めてのニッポンは」

 出迎えたのは痩せた若い男。このビルを拠点にして活動する情報屋にして、フランクの雇い主だ。
 そしてサーヴァントたるフランク・ウェストの、マスターでもある。

「おや、浮かない顔だね。君にはゾンビが徘徊してないと物足りなかったかい?」
「まさか。久しぶりに平和ってやつを満喫させてもらったよ」

 マスターの名は折原臨也。
 人の好さそうな笑みを浮かべているが、その実決して内心を悟らせない仮面のような表情だとフランクは思う。

「渋谷の殺人事件は無関係……と。でもこれはこれで物騒な世の中だよねえ」
「ニッポンは平和な国だと聞いていたんだがな」
「そりゃ銃社会の君のお国と比べたらねえ、平和だと思うよ。でも一皮剥けばどこだってこんなもんさ。
 国が違ったって人の本質は大して変わりゃしない。そこが良いと俺は思うんだけどね」

 マスターが広げた地図に×印を書き込んでいく。これで四ヶ所目だ。
 臨也はこうやって、街で起きた異変を虱潰しに調べて情報を入手し、それを必要としている者に売る。あるいは、自分の望む結果になるように誘導する。

「……俺が言うのも何だが、こんなことしてていいのか? やる気のやつはもうおっ始めてる頃だぞ」
「んー? だってフランク、俺たちに勝ち目があると思ってる?」
「いや、ないな。その点は申し訳なく思うが」

 さほど悪びれもせずフランクは答える。
 彼の本業はジャーナリストであり、軍人でも格闘家でも殺し屋でもない。
 従って、バリバリの本職を相手に勝ち抜ける可能性など万に一つもない。それは召喚された時点で臨也には説明していた。

「なんて言うかねえ、俺ってそういうキャラじゃないし。手当たり次第に喧嘩ふっかけて回るってのは、シズちゃんみたいで嫌なんだよ。
 幸い、俺とフランクって相性良いじゃない? だったらここでもいつも通りにやるだけさ」

 という臨也のスタンスは、正直な話フランクにもありがたいものではあった。
 フランク自身、最初から勝ち抜こうなどとは思っていない。死んだ後にまで叶えたい願いというものもない。
 あるとすれば骨の髄まで染み込んだジャーナリストとしての欲求だけだ。つまりは、誰よりも早く情報を取材して民衆へと報道すること。
 その点臨也は、フランクに戦闘力ではなく情報収集力を求めている。フランクの欲求と合致する行動方針を掲げ、自由に動いていいと言う。
 臨也の人間性はともかくとして、確かにフランクとは相性のいいマスターであると思える。

「ああ、楽しみだなあ。楽しみだなあ。一体どんな奴がいるんだろう。どんな事件が起こるんだろう。
 サーヴァントにはセルティやシズちゃんみたいな奴がいっぱいいるのかな?
 人外の化け物は勘弁だけど、もしかしたら歴史上の偉人と会えるかもしれない。
 世の中には俺が知らなかったことがまだたくさんあって、この東京で俺が予想もしなかったバカ騒ぎが起きるんだ!」

 と、臨也は自分が死ぬリスクなどさらさら考えていないように目を輝かせている。
 臨也とフランクは、間違いなくこの聖杯戦争で敗れ、死ぬだろう。そもそも戦う状況になった時点でゲームオーバーは確定だ。

「頼りにしてるよ、フランク。一緒にこの聖杯戦争で起こる出来事を楽しもうじゃないか」
「オーケー、ボス。それが俺の仕事だからな」

 それでも臨也は、自分を曲げることはないだろう。絶命するその瞬間までやりたいようにやる、そういう人種だ。
 ならば、フランクもそれに付き合うだけ。臨也が何かを企んでいるのだとしても、どうでもいい。
 フランクの仕事は、カメラで真実を写し出すこと――ただそれだけなのだから。


【クラス】
 ジャーナリスト
【真名】
 フランク・ウェスト@デッドライジング
【パラメーター】
 筋力:D+ 耐久:D++ 敏捷:E 魔力:E 幸運:C 宝具:D
【属性】
 中立・中庸
【クラススキル】
 気配感知:B
  気配を感じ取ることで、効果範囲内の状況・環境・スクープを認識する。
 気配遮断:D+
  スクープ対象に気取られないよう自身の気配を消す能力。
  また、ゾンビで溢れ返るウィラメッテで生存者を安全な場所までエスコートした逸話から、同行者1名にもその恩恵を与えることができる。
【保有スキル】
 仕切り直し:C
  戦闘から離脱する能力。また、不利になった戦闘を初期状態へと戻す。
 不死:D
  ゾンビウイルスに感染し、不完全ながらゾンビとなったフランクの特異体質。
  決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお普段通りの行動が可能となる。
  生きながら死んでいる状態のため、洗礼詠唱など浄化作用のある攻撃には倍のダメージを受ける。

【宝具】
『シャッター・チャンス』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1-20 最大捕捉:10人
 ジャーナリストであるフランクは、カメラでサーヴァントを撮影することにより被写体の情報を入手する。
  「DRAMA」(ドラマ性がある写真)…他者(NPC含む)を庇ったりしている瞬間など
  「HORROR」(恐ろしい写真)…他者(NPC含む)を殺傷している瞬間など
  「OUTTAKE」(こっけいな写真)…驚いている表情など
  「EROTICA」(セクシーな写真)…男女問わず、肌を露出させた瞬間など
  「BRUTALITY」(暴力的な写真)…戦闘時など
  「SPECIAL」(特別なシチュエーションの写真)…宝具開放時など
 撮影した写真は以上六つに類別される。
 この内一つを撮影した場合はクラス、二つでは保有スキル、三つで宝具情報+真名をそれぞれ入手する。
 四つ、五つ、六つめからは、対象サーヴァントと戦闘を行う際に相手のステータスをそれぞれ1、2、3ランク下げる効果となる。
 被写体に何らかの干渉を行う行為ではないため、相手が高ランクの直感や気配察知スキルを保持していなければ、宝具の使用を察知されることはない。
 この宝具を用いて撮影した写真は、情報を隠蔽・抹消する系統のスキル・宝具の影響を受けない。

『デッド・ライジング』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:自分
 死から起き上がってきた者。因果の逆転による存在消滅の否定。
 フランクが死亡した際自動的に発動するが、この宝具を使用できるのは一度きり。
 ゾンビの因子を一時的に強化し、たとえチリひとつ残さず消し飛ばされたとしても蘇生することができる。
 このとき、蘇生する場所は死亡現場ではなくマスターの現在地となる。


【weapon】
 カメラ…愛用のカメラ。破損しても修復が可能。攻撃力はないが強力な閃光で敵の目を眩ませる。
 スケートボード…乗り物としても鈍器としても使用可能な金属の板。破損しても修復が可能。
 格闘…ゾンビの海を駆け抜ける中で鍛え上げた我流格闘技。首をねじ切る、拳を突き刺して内蔵を引きずり出すなど、殺傷力は高い。
【人物背景】
 コロラド州ウィラメッテ市で起きたゾンビのアウトブレイクをスクープすべく、カメラ片手に単身乗り込んだフリーのジャーナリスト。
 一般人ではあるが従軍経験があり、頑健な肉体と柔軟な発想を武器にゾンビをばったばったと蹴散らしていく。
 その肉体はおよそ常人の範疇を超えており、ライフルで武装した特殊部隊を素手で相手にしても全く引けをとらない。
 やがてフランクはアウトブレイクの真相にたどり着くが、そのとき既に彼の身体はゾンビウイルスに蝕まれていた。
 事態を収拾した後、ゾンビ化はかろうじて抑制できたものの、抗ゾンビ薬が手放せない体になってしまう。
【サーヴァントの願い】
 ジャーナリストとして活動する。
【基本戦術、方針、運用法】
 自衛程度の力はあるものの、基本的に戦闘向きではない。
 特ダネを見逃さない嗅覚で他のサーヴァントを発見し、相手に悟られないよう気配を断って撮影を行う。
 索敵・撤退に秀でた、諜報活動に特化したサーヴァント。


【マスター】
 折原臨也@デュラララ!!
【マスターの願い】
 今はない。聖杯を手に入れられたら考える。
【weapon】
 折りたたみナイフ
【能力・技能】
 パルクール 特別な道具を使うことなく、人工物または自然の障害によって動きが途切れることなく、効率的に目的地へ移動するための技術。
【人物背景】
 新宿を拠点に活動する情報屋。作中で起こった多くの事件の黒幕。
 人間観察を趣味とし、人間を愛していると公言するが中身は清々しいほどの外道。
 友人はほとんどいないが弱みを握った協力者・または信奉者は数多く、直接ではなく間接的に事件に干渉する頭脳派。
 情報処理に優れ、また弁舌も達者。優れた洞察力を持ち、人心掌握にも長ける。
 頭脳面に優れるが運動神経も秀でており、池袋最強と謳われる平和島静雄につけ狙われても何度も切り抜けている。
 全ての人間を愛するが、天敵である平和島静雄は唯一の例外。また、人外の存在も嫌悪の対象である。
【方針】
 情報屋として活動する。

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最終更新:2015年01月20日 22:45