ヴィクトリカ・ド・ブロワ&ライダー◆tHX1a.clL.
月を見上げて吠える。
何度も何度も何度も吠える。
声が嗄れ、血を吐き、それでも吠える。
灰色狼の嗄れ声は、地獄の底から響くよう。
灰色狼の嗄れ声は、老いさらばえた魔女のよう。
鳴き声は誰にも届かない。
ただ、夜の闇と彼女を捉える冷たい檻に溶けていくだけ。
地の果て、蝿の王(ベルゼブブ)の頭蓋。
誰にも会えず、誰にも声が届かない世界。
それでも、この蝿の王の頭蓋で灰色狼が天を仰いで吠え続けるのは。
会いたい人間が居たから。
遠い昔、灰色狼がまだ公爵家に閉じ込められていた頃、灰色狼は同じように吠え続けその喉を潰した。
母を想って吠え続け、可愛らしかった声は老婆のような嗄れ声になってしまった。
それでも母は会いに来てくれなかった。
ならば今、喉を潰され、手足をもがれた灰色狼が想うのは?
夜の闇によく似た漆黒の髪。
夜の闇によく似た漆黒の瞳。
煌く星々が頑固な瞳に宿る光によく似ている。
(会いたい)
ちっぽけな自分の隣に居てくれた東洋人。
自分を守ると言ってくれた友人。
その手を握ってくれた少年。
声はとうに枯れ果てた。
だから、月を見上げて心の中で叫ぶ。
もう叶わない願いを叫ぶ。
(もう一度でいい、君に会いたい)
ちっぽけな灰色狼を見下ろす月は、怪しく紅く輝いていた。
***
つまらない洋服を身に纏い、つまらない生活を送っていた。
学校に通い、面白くない授業を聞き、誰ともかかわらずに帰る。
毎日繰り返していた、なんの変わりもないはずの日常。
でも、足りない。
時計の音のように規則正しい足音が足りない。
膝に落ちたお菓子の屑を払う音が足りない。
『ヴィクトリカ』
『もう、こんなに散らかして』
『君、少しは片付けを覚えたら』
『そうだ、ねえヴィクトリカ、今日こんなことが……』
そしてあの、おせっかいで頼りない声が足りない。
いつも困ったような表情のとぼけ顔が足りない。
軟弱な見た目の頑固者が足りない。
足りない。
決定的な何かが足りない。
そう気づいた彼女は、何故か図書館を目指していた。
誰かと出会い、誰かと過ごした図書館。
螺旋迷宮のような階段を登った先にある、二人だけの秘密の庭園。
黒い死神と、金色の妖精が出会った場所へ。
階段を登った先にあったのは、貴族の蜜月に使われたという植物園ではなく、ただの書庫。
何もない。
ふわふわのフリルも。
甘いお菓子も。
二人で植えた色とりどりの花も。
いつか隠れた小箱も。
無粋なドリルが出てくるエレベーターも。
当然彼―――久城一弥も。
「……そうか。やはり君は、居ないのか……久城」
そこで、彼女―――ヴィクトリカ・ド・ブロワはその記憶の全てを取り戻した。
記憶を取り戻し、彼女はまずすぐ側の座席に座っていた白スーツの青年に歩み寄った。
「話せ」
英字新聞に目を通していた青年が、鬱陶しげに顔をあげる。
「……何をだ?」
「君はこの図書館の正式な利用者ではない。ならば、この未知の記憶……『聖杯戦争』についての記憶にある、私の『サーヴァント』だろう」
『聖杯戦争』『サーヴァント』。
膨大な知識を蓄えていた少女の中に、忽然と現れた『未知』。
正体不明の知識の数々。
その答えを知るものが居るとすれば、それはおそらくその当事者のみ。
「なんだいきなり。探偵ごっこかい? ……生憎、お嬢ちゃんみたいな子供とお茶をする趣味はないぜ」
「……いいだろう。特別に言語化してやる」
はぐらかす青年をまっすぐ見据え、叩きつける。
彼女の頭の中で今もこんこんと湧き上がる知恵の泉が導き出す『答え』を。
「まず君の座っている場所だ。その席は唯一、階段の上、二階が見える場所であり新聞のストッカーからは最も離れた場所だ。
NPCがわざわざ新聞を持って奥の奥まで来て、新聞を読むふりをしながら書庫の様子を伺うわけがない」
「さらに言えば、館内で目深に帽子を被っているのもNPCとしてのルーチンから外れている。図書館に白いスーツ姿というのもだ」
図書館内で新聞が置いてあるのは入り口付近であり、図書館の階段とは真逆に位置する。
入り口から最も離れた位置で、中折れ帽を被って新聞を読むふりをするNPCが只者なわけがない。
「どこで読もうが俺の勝手だ。その回答じゃ赤点だな」
まるでけしかけるように青年が笑う。
ヴィクトリカは小さくため息をつくと、今まで『あえて見ないふりをしていた』真実を追求した。
「なにより君が持っているその英字新聞……逆さまだよ。愚かな名探偵」
そう、彼がカッコつけて読んでいる英字新聞は逆さまである。
本当に新聞を読みに来たというなら、そんなミスを犯すはずがない。
「お、おっほん! OK、OK、合格だ! やるじゃねえか、名探偵!」
青年はわざとらしく咳き込み、さっさと英字新聞を畳むとテーブルの上にそれを放り投げて立ち上がった。
背は久城一弥よりもはるかに高い。
だが、その黒い瞳と黒い髪、そして頑固そうな瞳の輝きは、ヴィクトリカのよく知る彼とそっくりだった。
「君は誰だ」
「俺か? 俺はライダー……それ以外には必要ないさ」
中折れ帽で目元を隠して不敵に笑う。
『ライダー』というサーヴァントについてはヴィクトリカにも記憶があった。
何かに乗り、操って戦うサーヴァント。
それが『青年』の正体。数々の逸話に。
「今必要なのは、アンタの涙を拭くハンカチだ。さあ、アンタの涙を拭きに来てやったぜ、マスター」
そう言って胸ポケットからきざったらしくハンカチを差し出し、ヴィクトリカの目尻に浮かんでいた涙を拭う。
あまりに唐突な行動に、ヴィクトリカが目を剥く。
ライダーはそのまま逆側の瞳に浮かんでいた涙も拭くと、再びきざったらしくハンカチを胸ポケットに仕舞った。
「軟派な男だ。東洋には軟派か堅物かしか居ないのか」
そう言われ、ライダーはまたもやきざったらしく含み笑いで返す。
最初は面食らっていたヴィクトリカも、彼のそんなあまり似合わない様を見ていて次第にいつもの調子を取り戻してきた。
「君、真名はなんだ」
「言ったろ。俺は、ライダー……それ以外には」
「真名は」
畳み掛ける。
「駄目だぜお嬢ちゃん、深い詮索は……」
「なんだと聞いている」
畳み掛ける。
「……」
「真名はなんだ」
更に畳み掛ける。
するとついに、ライダーの方が折れた。
「……左翔太郎、それが俺の真名さ」
ライダー『左翔太郎』はわざとらしく大きく肩を落とすと、そう答えた。
「ふんだ。この気障ったらしい、かっこつけの、軟派な、ぽんこつ探偵もどきめ。
最初からそう名乗れば早いのに、なんでそう無駄なやりとりをはさみたがるんだ」
つらつらと、溜まっていた澱を吐き出すように辛辣な言葉が飛び出す。
生来彼女は気の長い方ではない。その生い立ちから人付き合いが苦手で、距離の測り方が下手だった。
だからかどうかは分からないが、よく人を貶すような言葉を使った。
「そこまで言うかよ! 俺は嬢ちゃんの緊張を、少しでもほぐしてやれればと思ってだな!」
つられてライダーが、先程までのきざったらしい振る舞いも忘れてつっかかってくる。
これが彼の素なのだろう。
「君もそうだし、久城の奴もそうだった。自分勝手なことばかり言って、人のいうことに耳を傾けない。
いいかね、君。東洋ではどうかはしらないが、もう少し礼節をわきまえるべきだ」
「それを嬢ちゃんが言うかよ! 礼儀について言うなら、まずは年上に対してもう少し敬意を払うべきだろ!」
ついでに言えば、ライダーも直情的なタイプだった。
人付き合いが苦手なものが貶し、直情的が受ける。
当然生まれる売り言葉に買い言葉。
言い合いは口論になり、次第にヒートアップしていきしまいには……
「お客様」
「む」
「あー……」
図書館から追い出されてしまった。
***
「君のせいだぞ」
昼の日差しの下、見知らぬ技術で彩られた街並を真っ黒なセーラー服と真っ白なスーツが並んで歩く。
「まあ、なんだ。しょぼくれてるよりはそうしてたほうがずっといいぜ、マスター」
「うるさい」
灰色狼が、金色の妖精が、碧緑の瞳でまっすぐ見据える。
見知らぬ土地、『東京』。
月に願いを込めた先にある戰場。
「さて……おふざけもそこまでだ。
記憶も戻った、すぐに動き出そう、ライダー。この『東京』には多くの謎が眠っている」
灰色狼の餌は三つ。
フリル、お菓子、謎。
今の彼女の格好はNPC時代の指定制服、フリルとは程遠い。
彼女は買い物を知らない。お菓子が手に入るのはまだまだ先。
でも、彼女を飽きさせない謎がここにはある。
混沌の欠片たちが漂っている。
人を運ぶ深紅の月とは。
舞台とされた東京とは。
聖杯戦争の目的とは。
月が彼女を選んだ理由とは。
「それを解き明かすことが、きっと私達の使命だ」
学生鞄にしまってあった陶器のパイプを取り出して口に加える。
火をくべ、喉の奥で煙を遊ばせながら空を見上げる。
そこに真紅の月はない。あるのはどこまでも広がる青空だけ。
空に浮かべて想うのは、やはり、『彼』のこと。
「全てが分かったら、ついでに久城のもとに帰ってやらんでもないかな」
「……素直に帰りたいって言ったほうが可愛げがあるぜ、マスター」
吹き抜けた一陣の風が、二人の眼前に漂っていた紫煙を晴らした。
【クラス】
ライダー
【真名】
左翔太郎@仮面ライダーW
【パラメーター】
筋力E(D++→B++) 耐久E(D++→B++) 敏捷E(D→C) 魔力E 幸運A++ 宝具C
【属性】
秩序・善
【クラススキル】
対魔力:E(D++→B++)
魔法に対する軽減効果が得られる。通常状態ではやせ我慢程度にしかならない。
宝具を発動することでパラメータが上昇。
騎乗:E(EX)
バイクを乗りこなす事ができる。
更に宝具『今日も風都に風が吹く』で固有結界を展開すると、固有結界内に吹く風に乗り、強化変身してパラメータを上昇させることが可能。
【保有スキル】
ハードボイルド(半):B
いぶし銀な生き方・思想がスキルになったもの。
判断が感情に左右されず、精神攻撃や精神作用スキルを無効化する。
ただし彼は所謂ハーフボイルドであるため、スキル効果は半減する。
ランク下位の精神攻撃を受けた場合の無効化発動率は50%になり、無効化出来なかった場合ランク差分軽減される。
ランク上位の精神攻撃を受けた場合、無効化判定は起こらずランク差分の軽減効果になる。
帽子の似合う男:-
彼が師に言われた教えを全うした事によってついたスキル。
彼、もしくは彼に親しい者(マスターや同盟人物など)が窮地に陥った場合、上記のハードボイルド(半)のスキルがハードボイルドに変化する。
Wを探せ:-
正体を隠して街の平和を守り続けた逸話がスキルになったもの。
彼は宝具を展開しない限り戦闘能力を持たないが、宝具を展開するまで実体化していても魔力を消費せずサーヴァントとは気づかれない。
例え看破系の能力を持っていたとしても彼はNPCにしか見えず、パラメータも魔力反応も確認できない。
ただし、『左翔太郎=仮面ライダージョーカー』を知っている人物に対してはこのスキルは発動しない。
運命の切札:-
切札は常に彼の手の中にある。
逆転の一手に必要なピース、起死回生の一撃を放つタイミングと言った『切札となる存在』を引き寄せやすい。
正義の系譜:EX
連綿と続く正義の系譜を受け継いだもの。
悪に立ち向かう心は決して折れず、正義のために振るう拳は決して砕けない。
ライダーは窮地に追い詰められると筋力・耐久・幸運・対魔力が一段階ずつ上昇する。
しかし、正義の味方ゆえ罪のない者を殺めることはできない。
ライダーの場合宝具『お前の罪を数えろ』が発動しない限り敵にトドメを指すことが不可能となる。
【宝具】
『街の涙を拭うの漆黒のハンカチーフ(かめんライダー
ジョーカー)』
ランク:E 種別:変身 レンジ:1 最大補足:1
ライダーの運命のガイアメモリことジョーカーメモリとロストドライバーを使って仮面ライダージョーカーへと変身する。
変身後のパラメータは以下のとおりである。
筋力D++ 耐久D++ 敏捷D 魔力E 幸運A++
ただし、この宝具の発動にはスキル『運命の切札』が必要である。
『お前の罪を数えろ』
ランク:E 種別:対罪 レンジ:1 最大補足:1
ライダーの風都での振る舞いが宝具になったもの。
基本的にあまちゃんであるが相手が罪人であるなら彼は容赦しない。
相手の罪を暴き、相手がそれを肯定した場合、彼の筋力・体力・幸運値は一段階上昇する。
そして、相手が罪人であると判断できた場合のみ、ライダーは相手をメモリブレイク(聖杯戦争から抹消)することが出来る。
『今日も風都に風は吹く(かめんライダーダブルサイクロンジョーカーゴールドエクストリーム)』
ランク:C 種別:固有結界 レンジ:99 最大補足:999
彼の心象風景である『風都』を固有結界内に再現する。
最低でも『フィリップの人格』『サイクロンメモリ』『ダブルドライバー』『エクストリームメモリ』『風都の風車』の5つが再現される。
以上の5つが揃うことで彼は一時的に仮面ライダーダブルサイクロンジョーカーゴールドエクストリームに変身が可能になる。
変身後のパラメータは以下のとおりである。
筋力B++ 耐久B++ 敏捷C 魔力E 幸運A++
『受け継がれる正義の系譜』
ランク:- 種別:- レンジ:- 最大補足:1
彼が消滅する際にのみ発動できる宝具。
彼は任意の相手(マスター・サーヴァント問わず)に対して宝具『街の涙を拭う漆黒のハンカチーフ』、スキル『運命の切札』、そして武器の全ての所有権を譲り渡すことが出来る。
ただし他スキルや他の宝具は受け継がれないため渡した宝具によるパラメータは以下のとおりとなる。
筋力D 耐久D 敏捷D 魔力E 幸運
【weapon】
ロストドライバー&ジョーカーメモリ
ハードボイルダー
【人物背景】
街を愛した男。
正義を愛した男。
切札に愛された男。
他に語るべきがあるとするなら、それは彼が『仮面ライダーであった』。ただそれのみ。
他に知りたいことがあるなら本編かwikiで確認よろしくお願いします。
服装はVシネ版の白スーツ・白帽子に黒シャツ赤ネクタイです。
【願い】
今はまず、少女の涙を拭いてやる
【マスター】
ヴィクトリカ・ド・ブロワ@GOSICK
【マスターとしての願い】
久城一弥と再会する
【能力・技能】
人間離れした天才的な頭脳を持つ。
とても痛がりでなおかつ貧弱、お腹を出して寝るとまず風邪をひくほどの虚弱さ
くしゃみが特徴的で可愛い
【人物背景】
二度目の嵐のために産み落とされた兵器。
灰色狼の末裔。
図書館の最上階に住む金色の妖精。
そして、久城一弥の大切な人。
出典は原作五巻ベルゼブブの頭蓋、ブロワ公爵によって修道院「ベルゼブブの頭蓋」に軟禁された場面より。
服装はNPC時代準拠なのでフリルお化けではない、ただのセーラー服です。
【方針】
聖杯戦争と東京についての混沌の欠片を集め、その仕組を解き明かす。
最終更新:2015年01月24日 22:14