向井拓海&スタンダー ◆dM45bKjPN2
「なあ」
───はい。
「アタシをアイドルにして何がしたいんだよ」
───何が……?
「……アタシは見ての通り、他のヤツよりかはどう見てもアイドルって柄じゃない。
そのアタシをここまで引っ張ってアイドルにしたのはアンタだ」
───ええ。
「他のヤツの方が可愛気があるヤツなんざ沢山いたろ。なのに、何でアタシなんだ」
───……笑顔です。
「……笑顔?」
───ええ。
「……アンタいつもそれだよな。他に、なんか、こう、ないのか」
───ないのかと言われましても……。
「……はぁ、まあアンタがそういうヤツだってのはわかってたけどな」
───すみません。
「まあ、いいさ。アンタの持ってきた仕事なら受ける……アイドルしてやるよ」
───ええ、ありがとうございます。
「見せてやるよ、アンタの腕は間違ってない。プロデュースの腕は凄いんだってな!」
それは、ある夜の誓い。
新しい自分と。
輝かしい自分を見せてくれた、彼への。
▲ ▲ ▲
最初に感じたのは『違和感』だった。
いつもと変わりなく渡された仕事をやり遂げる。
握手会。ライブ。写真撮影。インタビュー。
普通の、アイドルとしての仕事。
───でも何かが違う。
何が違うのかはわからない。
でも、何かが違う。
胸に引っかかる靄を感じながら───アイドル、向井拓海は一人呟く。
「……気持ち悪」
というより気色が悪い。
何と言えばいいのか、問題の答えが間違っているのは解るのだが、何処が間違っているのかと聞かれれば首を傾げるような───そんな、気味の悪さ。
ふと思い出した様に、スマートフォンを取り出す。
仕事の衣装───巫女服を身に纏ったまま電子機器を弄る少女は中々お目にかかれるものではないが、彼女はその程度のことを気にかけるほど礼儀正しくもない。
開くのは連絡先。
友達から家族、仲間のアイドルまで様々な番号を刻まれているそこから『プロデューサー』の七文字が刻まれた場所を開く。
特に意味はない。
このモヤモヤとした気持ちを、コイツなら理解できるかな───と思っただけ。
無表情で画面をタップし通信を始めると数コールの後、繋がった。
『はいもしもし。向井か、どうした?』
「いや、何でもねえけどよ───ん?」
おまえ何か声高くなったか、と。
自らのプロデューサーに訪ねようとした瞬間。
痛烈な、違和感。
(”違う”)
違う、と。
(コイツは”アイツ”じゃない)
自分のよく知る筈の声が、別の人間の声と重なった。
よく知る筈の声が聞いたこともない偽物に。
別の男な声が、とても愛おしく感じた。
”───笑顔です”
そう。
無愛想で酷く強面だが。
不器用で強い志を持った男の、声が。
『おい、向井?向井、大じょ』
プツリと通話を終了する。
理由は分かった。
何が違うのかも分かった。
───だが。
何で”アイツ”が此処に居ないのかが、わからない。
「……何だよ、ここ」
辺りを見渡す。
慣れたはずの東京が目の前に広がる。
紛れも無い、彼女が知る東京だった。
「……何処だよ、ここ」
だというのに。
頼りにしていた本当のプロデューサーの、声だけが聞こえない。
「……何だよ、聖杯戦争って───」
記憶と共に流れ込んだ知識に頭を抱えながら。
彼女は混乱のまま立ち尽くす。
そして。
「───おい、女」
とても低い声と共に、男の声が鳴り響く。
振り返った先に居たのは、服の上からでも分かるほどの筋肉を備えた男だった。
「おまえがおれのマスター……だな」
こくん、と頷く。
誰かはわからなかったが───手の甲に宿る赤い痣と流れ込んだ知識が『この男が己のサーヴァントだ』と告げていた。
▲ ▲ ▲
「───つまり聖杯に望む願いはない、と?」
「そうだよ。コッチは聖杯戦争なんて最初から知らないものに巻き込まれてんだよ、願いなんてねぇ。
……強いて言えば、元の場所に帰りたいぐらいだ」
「……そうか」
交わしたのはその言葉だけ。
巻き込まれたということと、願いはないということを教えただけでこの大男は黙ってしまった。
……なんというか、拍子抜けだ。
ガタイは日本人離れしているというのに口数は少ない。
漫画に出てくる昔の不良、という感じだ。
「その、アンタはあるのか。聖杯に託したい願い、とか」
その言葉をかけた瞬間、たっぷり三十秒ほど大男は固まった後大男は口を開く。
「……『ある』。消したい男がいる」
消す、ということは殺す、ということだろう。
慣れない言葉に巧海は怯むが───それを見て良心が痛んだのか、大男は付け足すように口を開く。
「……後、一人な。助けたい女がいる」
「女ぁ?恋人……ってやつか?」
「まあ、そんなところだ」
「お、おう……」
素直に返されると何故か此方が照れてしまう。
ほんのり?茲が朱色に染まった巧海を横目に、男は少し黙った後───口を開く。
「『人殺しはしたくない』『だが元の場所には帰りたい』
マスターが言いたいのはそういうことか」
本題に入った大男の声に少し戸惑うが───頭を振り、冷静さを取り戻した頭で言葉を返す。
大男をキッと睨んだまま。
「そうだよ、悪いか」
「いいや、悪くない───息を吐くように人殺しを許可するマスターならおれは我慢出来ずに顔をブチ抜いてたかもしれねぇ」
大男はゆっくりと手を此方に伸ばす。
それが握手を求めているのだと気付いたのは少し後だった。
その大きな掌に負けないように───女だからと舐められないように力強く握り返す。
「始めに言っておくぜ。
おれのクラスは『スタンダー』。
真名を───空条承太郎」
「じゃあコッチも名乗ってやるよ!
アタシは天上天下喧嘩上等、特攻隊長向井拓海!
……まあ、帰るまでの付き合いだけど、宜しくな」
「ああ……マスターはおれが地上まで必ず送ってやる」
スタンダー。
そう名乗った男は───何処と無く、本当のプロデューサーと似ていたような気がした。
……不器用なんだろうか、コイツも。
▲ ▲ ▲
───空条承太郎の願いは『DIOとジョースター家の因縁を消し去る』ことである。
始まりの因縁を消し去り。
ディオ・ブランドーという男を、産まれる前に殺す。
理由はたった一つの、シンプルなものだった。
それは───『空条徐倫』が幸せに暮らす世界を作ること。
最終決戦において空条承太郎は娘、空条徐倫の盾になり死亡する。
時を止める能力のない彼らでは───あの後、死亡しただろう。
空条徐倫は。
父親の奮闘虚しく、死亡したのだ。
だからこそ。
だからこそ、空条承太郎は死後再び立ち上がる。
スタンダー───スタンド使いのクラスとして、再臨する。
父親として。男として。
空条徐倫がDIOの因縁などというものに巻き込まれない世界を作るために。
空条承太郎は再び立ち上がる。
既に、覚悟は出来ている。
しかし、月の聖杯で出会ったのは───何処か娘と似たような性格の、小娘だった。
外道なマスターならば利用して勝ち残るつもりだった。
しかし───空条承太郎は、娘と似たこの少女を見捨てることは出来なかったのだ。
やれやれだぜ、と。
空条承太郎は余計な荷物を抱いていることを実感しつつ、この聖杯戦争に望むのであった。
【クラス】
スタンダー
【真名】
空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険
【パラメーター】
筋力D 耐久C 敏捷C 魔力A 幸運C 宝具A+
【属性】
秩序・善
【クラススキル】
幽波紋:EX
スタンド。持ち主の生命エネルギーが創り出すパワーを持った像であり、その使い手はスタンド使いと呼称される
空条承太郎はそのスタンド使いの中でも『最強』と呼ばれるほどの実力と判断力を持ち、そのため破格のEXランクになっている。
宝具、スキルに関わらず『スタンド』の使用に使う魔力使用量を格段に減らすことができる。
【保有スキル】
誇り:A
『空条承太郎と共にいると誇らしい気持ちになる』という逸話がスキルへと昇華されたもの。
同ランクまでの勇猛の効果を得て、その効果は共に戦っているもの───マスターなどにも及ぶ。
憤怒:A
怒りそのものを表すスキル。
空条承太郎の怒りが最高潮に達した時、宝具の筋力が一段階上昇し短時間の間承太郎の身体より魔力が湧いてくる。
千里眼(偽):C
視力の良さ。
遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。
ランクが高くなると、透視、未来視さえ可能になる。
この効果は下記の宝具を使用している時のみに使用可能。
黄金の意思:A
気高き意思。
このスキルにより、どのような肉体・精神状況下においても十全の戦闘技術、頭脳を発揮できる。
そして、属性に悪とつくものに有利な判定を得る。
【宝具】
『星の白銀』(スタープラチナ)
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
彼が最強と呼ばれるその所以の宝具。
生命エネルギーが創り出すパワーを持った像を出現させる。
この宝具を使った場合、スキルの千里眼(偽)が使用可能になる。
『星の白銀』は筋力A+、耐久B、俊敏A級のパラメータを持ち、恐るべき精密動作を可能にする。
『星の白銀、世界よ止まれ』(スタープラチナ・ザ・ワールド)
ランク:A 種別:対界宝具 レンジ:- 最大補足:-
彼のスタンドの真骨頂。
この世界の時は彼の宝具を持ってして静止する。
しかし時を止めるのは五秒しか使用できず、一秒経過するごとに魔力を使用する。
尚、連続で使用は不可能であり一呼吸間を置く必要がある。
『因縁に塗れたその血の運命』(ファントムブラッド)
ランク:A+ 種別:対血宝具 レンジ:- 最大補足:-
───ジョースター家の英霊に必ず付与される運命の宝具。
この宝具が存在する限り、ジョースター家の末裔は吸血鬼ディオ・ブランドーの影響に振り回され、その場にいる悪の種と関わる運命が完成される。
空条承太郎の周りにはトラブルが付いて回り、彼の波乱の人生はこの聖杯戦争でも変わらない。
この宝具は彼の一族に纏わりつくものであり、破壊または放棄することは不可能。
【weapon】
なし
【人物背景】
空条承太郎。
高祖父のジョナサン・ジョースターと共に海に沈んだはずの吸血鬼DIOの目覚めによりスタンド能力に目覚めた男。
威圧的な外見と気性の激しい性格のために暴力事件を頻繁に引き起こしており、周囲からは不良のレッテルを貼られている。幼少期は素直で大人しい子供だったらしいが、実は当時から既に「やる時はやる」性格を持っていたようである。通っている高校の不良たちからは一目置かれ、周囲の女性からの人気も高いが、本人はまとわりつく女性を鬱陶しく思っている。
空条徐倫という娘がおり、家族より仕事を取った男でその娘からは憎まれていたがその本心は娘を事件に巻き込まないため。
機転や発想は一級品で、彼の活躍により事態が好転したことは数多くある。
今回の聖杯戦争では、サーヴァントとして『全盛期』の姿で召喚されたため17歳の姿であるが死亡までの記憶は持っている。
───彼が聖杯に託す望みは、宝具『因縁に塗れたその血の運命』を破却し、娘徐倫が平和に暮らせた世界を創ることである。
彼が徐倫を庇って死亡したその後、娘を守れたのか・最後まで生き延びて暮らしていたのか悩んだ空条承太郎は、おそらく徐倫は死亡したであろうと考えている。
娘を護るのは父親の役割。
救えなかった娘に、再び優しい人生を───そのために空条承太郎は聖杯戦争に望み、DIOとジョースター家の運命を完全に断ち切ることを望みとしている。
今の彼は17歳の姿だが。
その望みと背中は、間違いなく父親のソレだった。
そして彼のマスターは、どことなく娘と似て気が強そうな───アイドルであった。
【マスター】
向井拓海@アイドルマスターシンデレラガールズ
【マスターとしての願い】
願いはない。
強いて言うならば元の世界への帰還。
【weapon】
なし。
巫女服を纏っている。
【能力】
アイドルとしての基本的な技能。
特攻隊長としての喧嘩の実力もあるらしい。
【人物背景】
あるプロデューサーにアイドルに誘われアイドルを始めた不良系少女。
一度始めたことはやるという根性も持ち合わせているが、彼女にくる仕事は恥ずかしいものばかり。
文句を言いつつも結果的にはやり遂げるその姿は、面倒見がいいのか、それとも?
趣味はバイク弄り。
最終更新:2015年01月26日 08:55