暁美ほむら&ビースト ◆devil5UFgA
暁美ほむらは月を探していた。
太陽の光を浴びて、ようやく輝く月を探していた。
誰もが寝静まった中で大地を照らすその月に、かつてのほむらは少女・鹿目まどかを連想させた。
いずれ、あの月へと、少女の中へと誘われることだけを夢見ていた時期があった。
しかし、それは叶わなかった。
「ふふ……」
ほむらは、ケラケラと小さく嗤った。
柔らかな、しかし、下品な笑みだった。
少女の願いは、皓い無機質な獣に奪われようとしていた。
神を飼い慣らそうとする獣に、奪われようとしていた。
我慢など出来るわけがなかった。
元々、少女の決意に納得などしていなかった。
元々、一つ前の宇宙に未練がないわけがなかった。
それでも、少女の願いを理解したから、我慢出来た。
そんな、少女の願いが踏み潰されようとした。
「ならば、せめて、願いを踏み潰すのは――――私の手で」
ほむらは、ケラケラと小さく嗤った。
柔らかな、しかし、下品な笑みだった。
明日になれば、神から切り離した少女と再び出会う。
いずれ少女は自らを殺す。
歪だが熱い愛を抱いたほむらを超える。
そういった少女だ、そういった少女であって欲しいと願った。
誰よりも、ほむら自身が。
ほむらは、ケラケラと小さく嗤った。
柔らかな、しかし、下品な笑みだった。
鹿目まどかは特別だった。
どう特別なのかは、ほむら自身も理解できない。
初めてだというだけなのかもしれない。
まどかが本当に世界で特別なのかもしれない。
ほむらは、ケラケラと小さく嗤った。
柔らかな、しかし、下品な笑みだった。
悪魔はすでに狂っていた。
狂っていたが、涙が流れていた。
ほむらは、月を探していた。
新月の夜に、月などどこにもありはしなかった。
その事実に、狂った少女は涙を流したのだ。
ほむらは、少女が永遠に月であって欲しかった。
誰の脚も踏み入れない、古代に見た月であって欲しかった。
「…………………?」
その中で、不思議なものを見つけた。
探し続けた、延々と探し続けたもの。
しかし、其れに強い不快感を抱いた。
それは月であって、月ではなかった。
――――新月の夜に、紅い月が輝いていた。
まるで、血に染まった少女のように見えた。
数度は見たであろう、悪夢の少女だった。
少女は血に染まってはいけない。
もっと、もっと、もっと。
少女は――――普通の少女でなくてはならない。
決して、少女は神ではない。
『少女を全てから取り戻したい』
強い愛をリフレインさせたその瞬間、暁美ほむらは紅い月へと誘われた。
◆
ほむらが東京へと誘われると、そこは街中だった。
鬱陶しいほどに、人が無数に居た。
その中に、自分とだけ視線を合わせる『獣』が居た。
女性の形をしていたが、それは獣だった。
その獣は神を産み、神を殺した獣だった。
最強の獣たるビーストを殺して、神は生誕する。
永遠の千年王国が約束された世界。
その世界に、獣は居なかった。
壊れていく、未来のない世界を生き抜くために獣の因子を発揮させ、人間を辞めた獣。
その獣達に居場所はなかった。
――――だから、獣は地獄から蘇って、神を殺した。
獣は、永遠の安息を人間から奪った獣だった。
「ふふ……」
「……」
ほむら――――悪魔は嗤い、獣は口を閉ざした。
悪魔と獣は、隣り合って歩き出す。
神を殺した獣が居た。
神を奪った悪魔が居た。
少女は悪魔だった。
獣も悪魔であった。
少女は神を愛し、それゆえに、神を奪った。
獣も神を愛し、しかし、神を愛せなかった。
栗色の瞳と薄く紅の入った唇。
面長なその顔を、瞳と同じ栗色の髪で彩っている。
獣は目を伏せた。
長い栗色の髪の中から覗く、どこか虚ろな瞳に、ほむらは吸い込まれそうになった。
栗色の瞳の中に、金色の瞳を観た。
獣の瞳だった。
「私は――――」
か細い声だった。
唇を小さく動かした、小さな声。
世界に栄光をもたらしたと言われる、英傑の声とは思えないものだった。
どこか親近感を覚え、同時に強烈な嫌悪を覚えた。
「私は、ビースト。人が望んだ神を殺し、約束された世界を奪った獣。マスターは?」
獣が放ったかすれたような声にまぎれて、ほむらは瞳を再び覗くことができた。
強さを感じる瞳ではなかった。
しかし、吸い込まれる瞳だった。
唇を歪に動かし、淡く嗤いながらほむらは答えた。
「私は、魔なる者。神が望んだ優しい世界から、神の願いだけを奪った悪魔」
獣の瞳に吸い込まれながら、それでもほむらは嗤い続けた。
栗色の瞳から凶暴な金色を感じながら、嗤い続けた。
獣は笑わなかった。
不快の念を抱いているようではなかったが、同時に共感もしていない瞳だった。
「……少しだけ」
ケラケラと嗤い続けるほむらを尻目に、獣は路地裏を眺めた。
路地裏の闇の中に、金色の幻想を抱かせる栗色の瞳を向けた。
いや、それは栗色の瞳ではなかった。
栗色の瞳は、金色に染まり、人の瞳から獣の瞳へと変化させていた。
「少しだけ、待っていてくれるかしら」
カツカツとブーツで地面を叩きながら、やはり小さな声で呟いた。
ほむらはゆっくりと頷いた。
その瞬間、獣の身体が『膨張』した。
膨らみ続ける身体は、獣の質素な服を喰いとるように破った。
長い黒髪は、触手のように蠢き、蝙蝠の翼のような形を描いて固まった。
女性としては長身であったその身体は更に膨らみ、2メートルを超えた。
ガラス細工のようだった指先は節くれだった大木の枝のように固まり、細い腕もまたほむらのウエストほどまで膨らんでいた。
獣は、男でも存在しないようなマッシヴな肉体へと変化させる。
魔獣の因子を発動させ、なお、魔獣<デビルビースト>に至れなかった魔人<デビルマン>。
魔獣の因子を発動させ、なお、魔獣<デビルビースト>に堕ちなかった魔人<デビルマン>。
そんな獣が、路地裏の中へと消えていく。
「ふふ……」
その後ろの姿を見ながら、ほむらは嗤った。
泣いているようにも見えるその笑いは、感じ取っていた。
獣が闇を蹂躙する様を。
数分もしないうちに、ひょっとすると数十秒のうちに、路地裏から血に染まった獣が現れた。
全て、返り血であった。
獣は傷を負っていなかった。
満足するように、やはりほむらは嗤った。
「神様は好き?」
「好きではないわ……ただ、愛しただけ。愛したけど、好きにはなれなかった」
獣――――不動ジュンは、やはり小さく呟いた。
「私もよ。神様は好きではないけど、神様を愛したの」
嗤っていた。
その奥には寂しさがあった。
ほむら自身は欲望としての愛を肯定しつつも、神にまでなった少女が欲望を肯定しないことを察していた。
少女の葛藤も、悩みも、全てをひっくるめての願いであることは知っていた。
それでも、ほむらは欲望を願った。
それがほむらの愛なのだから。
【クラス】
ビースト
【真名】
不動ジュン@デビルマンレディー(アニメ版)
【パラメーター】
筋力B 耐久C+ 敏捷D 魔力C+ 幸運E 宝具B
【属性】
混沌・中庸
【クラススキル】
魔獣の因子:A
人を神の愛から遠ざける、魔獣の証明。
より強力な獣であるほどスキルランクは高くなる。
不動ジュンは神を産み、神を殺した最強の獣であり、神に連なる者は不動ジュンに対して優位に立つことはできない。
専用のスキル・宝具を所持しない限り、神性を持つサーヴァントのステータスを不動ジュンと同等まで下げる。
不動ジュンの元々のステータス以下であったステータスは、さらに1ランクダウンさせる。
【保有スキル】
気配察知:C
獣としての超感覚。
付近の生命体、無機物の位置や配置を補足可能。
このランクであれば周囲十m前後の範囲をカバーできる。
変化:C
魔人<デビルマン>へと身体を変化させる。
身体が膨張し、まるで鍛えあげられた英雄のような強固な鋼の肉体へと変える。
また、翼を生やして飛行することも可能。
魔眼:E-
獣と化した金色の瞳は、男女を問わず誘惑する。
ジュン自身も扱いきれない色欲の瞳。
特殊な魔力も持たない、ジュン自身の魅力。
魔眼とも言えないような魔眼。
【宝具】
『女神転生(デビルマン)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
不動ジュンの身体を膨張させ、硬質させ、筋骨隆々の魔獣の力を持った魔人へと姿を変える。
腕や翼、頭部を硬質化、あるいはエネルギーを纏わせて強化させることも出来る。
他にも、強力な高圧電流を身体から発することも出来る。
不動ジュンはこの宝具を解放していない状態では、生身の人間の能力となんの代わりもない。
『神殺魔獣(デビルマン・ギガイフェクト)』
ランク:B 種別:対神宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
神を殺した最強の獣である不動ジュンの真なる姿。
身の丈10メートルを超える巨躯へと変身し、肌は青みがかり、眼球には黄疸のような濁りが支配する。
自らの全身からエネルギーを放射し、全ての物体を消滅させる。
この宝具を解放することで、不動ジュンはステータスを1ランクアップさせる。
なお、この際の魔獣の因子スキルで挙げられるステータスは上昇したステータスのことを指す。
(宝具を解放することで、敵サーヴァントは下げられたステータスを該当箇所のみ回復させる)
【weapon】
【人物背景】
ファッションモデルをしている22歳の女性、実家は仙台、短大卒業後、モデルになる為に上京した。
物語開始時は都心のマンションで一人暮らしをしていたが、後に滝浦和美が押しかけてきて同居することになる。
デビルマンとして覚醒後、デビルビーストを駆る“ハンター(エグゼクター)”として扱われ、HA関係者からはコードネーム「ハンターJ」と呼ばれる。
ジェイソン・ベイツのみが唯一、何度かだけ「デビルマンレディー」や「レディー」との呼称を用いた。
ある夜、突然自宅に現れたアスカ蘭により連れ出された倉庫で狼型ビースト・ウルヴァーに襲われ、命の危機に追い込まれた影響により「デビルマン」として覚醒する。
翌朝それが悪夢ではなく現実だと自覚した際には衝動的に自殺を試みるも踏み切れず、結果、表面上はさほど変わらぬモデルとしての日常に戻りつつ、アスカの呼び出しに応じてはハンターとしてビーストを狩る二重生活を送ることとなる。
元来の陰気な性格も相まって、不条理な運命への絶望、先の見えぬ凄惨な戦いに対する葛藤と虚無感、そして獣の欲望への自己嫌悪に絶えず苦しむ。
物語中盤では、『たとえ世界に居場所がなくとも“人”として生き続けたい』との前向きな思いも持っていることを吐露する。
しかし、その後、徐々に、しかし確実に狂い行く世界と自分自身への苦悩はむしろ日増しに深刻となり、情勢悪化とともに本人の精神もまた追い詰められていく。
それは、和美との間に起こる束の間の幸福と最悪の悲劇により決定的となってしまう。
物語終盤では、楽園にてアスカに犯され、インフェルノに堕とされる。
一時的に絶望し状況を受け入れようとするも、同じくインフェルノに堕ちていたかつての敵、そして和美との邂逅によって、アスカを討つことを決意。
死んでいった全てのビーストやデビルマンの力と怨念、そして和美の愛をその身に凝集させ、復活。
インフェルノを脱し“悪魔”として地上に再臨し、“神の子”アスカと対峙する。
終始不利な戦いとなるが、両翼、両腕を失いながらも逆転勝利する。
そして月日が流れ、復旧し以前の活気を取り戻した街に、一人孤独に歩くジュンの姿があった。
和美に似た少女や、尻尾が生えた子供達が元気に駆けていくのを静かに見送りながら、彼女は人知れず雑踏の中へ消えて行った。
また、「デビルマン」の名を冠する様々な作品の中で、所謂“人間”とそれ以外の勢力(デビルマン、デーモン、或いはデビルビースト)の両方を救うことができた最初のデビルマンである。
【マスター】
暁美ほむら@劇場版魔法少女まどか☆マギカ [新篇]叛逆の物語
【マスターとしての願い】
円環の理から鹿目まどかを完全に切り離す。
まどかの願いである円環の理を叶えたまま、まどかをまどかとして存在させる。
【weapon】
各種銃火器、爆弾などは所持していないが、東京にはヤクザ事務所はいっぱいある。
【能力・技能】
円形の盾に内蔵された砂時計を用いた「時間操作」の魔法を操ることが出来る。
操作できる砂の量は1か月分のみで、砂の流れを遮断して時間を止める「時間停止」。
砂時計の上部から砂がなくなった時点で時間を1か月前まで逆行させる「時間遡行」しかできないという制限がある。
上部の砂がなくなると、時間停止も発動できなくなる。
今回の聖杯戦争では『時間遡行』を禁止されている。
【人物背景】
「現在」とは異なる未来の「時間軸」から来た、鹿目まどかの友人。
元々の時間軸では、魔法少女として戦うまどかに憧れる、病弱かつ引っ込み思案な少女であった。
だが、最強の魔女「ワルプルギスの夜」との戦いでまどかが戦死するのを目の当たりにして、「彼女に守られる存在から彼女を守る存在になりたい」という願いのもとにキュゥべえと契約を結んだ。
その後幾度も時間を遡り、まどかの悲劇的な最期を阻止するための戦いに身を投じる中で、魔法少女の本質やキュゥべえの正体を知ることとなる。
途中の別の時間軸のまどか自身と交わした約束により、まどかがキュゥべえと契約を結ぶことを阻み続けていた。過去には眼鏡をかけ、髪も三つ編みにしていたが、他の魔法少女たちに事情を話し協力を求める手段ではまどかを救えないという結論に至り、以降の時間軸では誰にも頼らず魔女を倒すという決意と共に、眼鏡を外し髪型も変えている。
まどかに対する想いは、当初は単なる友情であった。
だが、失敗を重ねて同じ時間を何度も繰り返すうちに後に引けなくなり[14]、全ての価値観をまどかの生死のみに置くようになる。
しかし、そのことがほむらも知らぬうちに、まどかに対し最高の魔法少女にして最悪の魔女となる素質を持たせるという結果に繋がっていた。
キュゥべえにその事実を伝えられた後に臨んだワルプルギス戦においては、重傷を負いつつもまどかの因果をさらに増やすことになる「時間遡行」を断念した。
今までの自分の行動が却って事態を悪化させていたという事実を認識したことで絶望したほむらは、ソウルジェムの穢れが急激に増加し魔女化する寸前であった。
最終話で、まどかによって再構成されたのちの世界でも以前の世界の記憶を維持しており、時間制御能力は失ったものの、まどかに成り代わる形で能力を継承し、彼女の武器である弓を使うようになる。
ある時、ほむらは魔法少女の鹿目まどか・美樹さやか・巴マミ・佐倉杏子と共に、見滝原で夜ごとに出現する怪物・ナイトメアと戦っていた。
だが、そんな状況に、ほむらはどこか違和感を持つ。
やがてほむらは、この現状が魔女化寸前の自分自身が作った結界の中にあり、概念と化したまどかを観測しようとするキュゥべえに利用されていることに気づく。
ほむらはキュゥべえの企みを破綻させるため、自ら円環の理に導かれず魔女と化すことを選ぼうとする。
だが、他の魔法少女たちの活躍によってキュゥべえの企みは砕かれ、ほむらの前にも円環の理の力を取り戻したまどかが現れる。
しかしほむらは、浄化される前に円環の理から人間としてのまどかを強引に引き抜き、世界をさらに改変する。円環の理から外れた存在となったほむらは悪魔を自称し、彼女のソウルジェムは穢れの浄化を全く必要としない「ダークオーブ」へと変化し、悪魔ほむらへと変貌を遂げた。
ほむらによる世界の改変後には、アメリカから帰国してきた転校生のまどかと再会するが、ほむらの問いに対して欲望より秩序の方が尊いと返したまどかに対しては、いずれ自分は敵対するかもしれないと述べた。
神にも等しい存在となっていたまどかを、更に因果律を書き換えることで取り戻したほむら。
だがまどかの存在は不安定で、ふとした切欠で「円環の理」に戻る危うい状態にある。
そのまどかを安定させるために、ほむらは聖杯戦争へと挑む。
【方針】
聖杯を手に入れる。
最終更新:2014年12月25日 20:34