アットウィキロゴ

白瀬芙喜子&アーチャー ◆7bpU51BZBs


占い師を見つけたので、ふと立ち寄ってみたのである。

「まったく。これから死ぬ相手を占ったところでどうしようもないぞ」
「気にしない、気にしない。あ、お代はタダにしといてね」
「……だから、私の方が嫌なんだ」
「アハハ、別にいいじゃん。あなたは過去を綺麗に精算しちゃったみたいだけどさ、あたし達の方は色々残ってるし。
 ま、簡単には片付かないだろうけど、頑張ってる人は否定しないわ。
 だからさあ、ちょっとくらい押し付けちゃおうかなあって。ほら、実力あるのにかやの外だった人がここにいるじゃない?」
「あの中に混ざって戦えるほど、若くはない」
「それに理由もない、でしょ? で、結果の方はどうよ」
「それがわかっているのなら……む」
「お、不吉なの出た? 死神? 悪魔? 塔? 吊された男? 審判はやだなあ。
 まず描かれてるのが天使なのが嫌だし、復活だとか発展だとかぜーんぜん似合わない!」
「……月、だな」
「……んー、ごめん。特にコメントないわ」
「まあ、私の占いなぞそんなものだ」
「そんなものよね。じゃ、さよなら」

背中を向ける。
自己満足だけを残して、ちょっとしたハプニングに期待しながらその場を去った。


   ◆   ◆   ◆


そうして最後の一日は、あっさりと、何事も無いままに終わりを迎えた。

「――は、あ」

吐く息は白い。
なんだか体もガタガタ震えている気がするけれど、感覚がとっくになくなっているから自分の正確なコンディションは判断不能。
……とりあえず、今日が私の最後の一日である事ははっきりしている。

「――うん。こういうのって、私らしい」

朝から続く雨は、夜になって勢いを増している。
おまけに今夜は新月で、辺りはなんだかまっくらやみ。
夜のビル街で暗闇、というのもちょっと変な気もするけれど、まあ、悪くはないしむしろ良さげ。
ほら、こういうのって何よりも雰囲気が大事だし。
大体、こうして自分で終わり方を選べるなんて、これまでの事を思えばそれだけで上等すぎる。

もう何も憎くはないし、何もこわくはない。
ただ、今日という日まで全力で生きてきた事を誇らしく思う。

……けど。
全く未練がないかと言えば、そうでもなかったりもする。

「ちぇ。……ほんのちょっとだけど、期待してたのになあ」

最後の最後。
都合良く再会を果たした誰かさんに看取って貰えないかなあ、なんて。
そんな、ロマン溢れる想像をしていた私もいるのだった。

「――アハ」

それもおしまい。
笑みと一緒にだいじな何かもこぼれてしまって、強かに腰を地面に打ち付けた。
立ち上がるのもめんどくさい、というか物理的に不可能なので、そのまま仰向けになってみたりする。

空には有るはずのない紅い月。
それを見ている私の視力も既に喪失済。

「うん――なかなかいいんじゃない?」

いや、本当に。
こういう終わりも悪くない、と思ったのだ。
ハッピーエンドは望んでないし、バッドエンドはもってのほか。
ちょっとした未練を残す、ビターエンドが私にはちょうどいい。

今日の天気は雨。
私の過ごした、最後の一日は、こうして――。


     *    *    *

一台の黄色くて小さくてボロボロで、走っているのが奇蹟のような車がありました。
その車は、東京という名前の国の、街の中を走っていました。
乗っていたのは二人の女性です。

運転席でハンドルを握っているのは長い黒髪が艶やかな妙齢の女性で、右腿には大口径のリヴォルバーを吊っていました。
この女性は実はサーヴァントで、人間ではありませんでした。
助手席でハンド・パースエイダー(注・パースエイダーは銃器。この場合は拳銃)を握っているのは、短い銀髪が艶やかな妙齢の女性でした。
この女性は実はアンドロイドで、人間ではありませんでした。
ただ、この国ではそう珍しくもないし、普通の人なら見た目ではほとんど判断できないので特に気にされていないし、本人達も気にしていません。

「あのさ」
助手席の銀髪の女性が、銃の点検をしながら、自分のサーヴァント、アーチャーへと話しかけました。
「――蛇足だって思わない?」
それだけ聞くと意味不明でしたが、アーチャーは無表情で、
「その話は、もう三回目ですが」
あっさりとそう答え、マスターの方はちょっと不機嫌そうな顔を作りました。

「あたしにとってはそれくらい重要なことなの!
 あたしの状況ってさ、もうどうしようもないものだったのに。それがこんな都合のいい助かり方って、もう侮辱よこれ。あー屈辱!」
「生きているのなら、生きていられたということでしょう」
「ん。いや、それ以前の問題。この状況自体は、まあ、受け入れられるわよ?
 たださあ、せっかくのいい感じなシチュエーションを邪魔されたのが気に食わないっつーか」
「そうですか」
「しっかし、聖杯戦争に、サーヴァントねえ……ま、ここってヴァーチャルな空間らしいし、そういうのもアリっちゃアリなのかな。
 なんだってあたしがここにいるのかは知らないけど。ったく、もしも黒幕がいるんなら〔ピー〕で〔ピー〕で×××××な目に合わせてやるわ」

マスターはわりと滅茶苦茶な事を言っていましたが、アーチャーは相変わらずクールです。
愚痴をひとしきり聞いてから、マスターに一言。
「それで、この辺りの地理はもう頭に入りましたか」
「オッケオッケ。次行きましょっか」
ものすごく軽い調子ですが、顔は真面目でした。

ぶすん。

べべべべべと、排気音を響かせる車の中では、マスターとアーチャーがいろいろな話をしていました。

隠れられそうな場所や狙撃地点について、とか、
こちらから仕掛ける時はどんな場所がいいか、とか、
自分たちの『説得力』はどのくらいか、とか、
狭い道がけっこう多いのでモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)も用意すべきかもしれない、とか、
それよりも爆弾や地雷はどうか、とか、
二人はとても物騒な話を、ドライブ中の世間話のように気楽に交わします。

「んー、サイボーグとも超能力者ともやりあったけど、英雄……ヒーローかあ。あなたも変身したりするの?」
「しません。私は」
「アハハ、ごめんごめん。でもさ、あなたもサーヴァントって事は、それなりに人助けとか人殺しとかやってきたんでしょ?」
「そうですね。それをどう受け取るかも、どのように呼ぶのかも人の自由です。
 ただ、私は神様ではないし、そうなろうと思いません」
「同感。聖杯ってのも、本当かどうか怪しいものよねえ。途中で降りるのも出来そうにないし、貰えるもんなら貰っとくけど。
 ……神様ね。悪魔なんかもいそうな雰囲気よね、ここ」
「まあ、撃てば死ぬのなら問題ないでしょう」
「あら気軽。ま、こっちも病み上がりだし、頼もしいと思っとくわ。私はそういうの、対処方法ないしなあ。あいつらはユーレイとも戦ったらしいけ」

ど、と言い終わる前に、アーチャーがいきなりアクセルを踏み込んで、小さな車が大きく揺れました。
マスターが思わずうひゃあと叫びます。

「何よ、敵襲!?」
「何か言いましたか?」
「いや、だからあ」
「何か言いましたか?」

アーチャーは凛とした顔で、キッとした目付きになっていました。
それを見たマスターは、何かを察して無言になりました。
「そのようなことはありません」
無言のマスターに対してアーチャーが言い放ちました。
「……うん、まあ、こういう話はやめときましょっか。撃てば死ぬんなら問題ないんだし」
マスターは内心では、そもそもサーヴァントだって幽霊みたいなものっぽいのにどうなのよこれはと突っ込みを入れていました。


「はあ。それにしても、戦争、って感じでもないわよね、ここ。
 強いて言うなら……狩り、かなあ。ハンティング。ま、そういうのは慣れてるし、昔とったなんとやらで、やるだけやってみますか」
「それは追う側と追われる側、どちらですか?」
「両方!」
「奇遇ですね。私もです」


【クラス】
アーチャー

【真名】
師匠@キノの旅

【パラメーター】
筋力D 耐久D 敏捷C+ 魔力E 幸運A 宝具D

【属性】
中立・中康

【クラススキル】
対魔力:D
一工程による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならばマスターを失っても二日間現界可能。

【保有スキル】
旅人:A
世界を旅する者。
法も警察も存在せず、野生動物や天候、そして生きている人間が脅威となる世界で、旅を続けられる者。
『心眼』『仕切り直し』など、自身の生存や危険の回避に関するスキルについてCクラス以上の習熟度を発揮できる。

破壊工作:E
戦闘の準備段階で相手の戦力を削ぎ落とす才能。
奇襲・不意打ちの延長としてのトラップの作成に長ける。
集団戦の場合は相手を混乱させ、一時的に行動不能にする程度に留まる。

透化:C-
精神面への干渉を無効化する精神防御。
余程特殊な事態が発生しない限り、自己を保ち続けられる。

【宝具】
『旅の話(the Beautiful World)』
ランク:D 種別:対国宝具 レンジ:- 最大捕捉:2人

文化も技術も社会体制も異なる様々な『国』が存在する世界の旅人であるアーチャーの逸話が具現化した宝具。
アーチャーとその同行者は、『国』によって課せられるルールを完全に無視して行動する事が可能となる。
ただし、アーチャーの行動が国に認められるようになる訳ではない。
街中で戦闘行為を行えば当然住人の目を惹くことになるし、場合によっては警察や番兵に追われる。

また、国の中でアーチャーが調達した物資は僅かながら神秘を帯び、戦闘や生活に活用できる。
これにより、状況に合わせた装備の作成や罠の設置が可能となる。
それが近代兵器であっても問題なく適用されるが、それを扱えるかどうかはアーチャー自身の腕前に依存する。

今回の聖杯戦争では、舞台である東京が『国』として扱われている。

……隠された効果として、アーチャーは永続的に『国』の中に留まる事はできない。
どのような結末であっても例外はない。
脱落した場合は勿論のこと、たとえ勝者となったとしても、必ず国外へと出る事になる。

【weapon】
四四口径リヴォルバー『カノン』。
薬莢を用いず、シリンダーに直接火薬と雷管、弾頭を装填する。
口径が大きく破壊力がある弾丸を用いるため、手足を撃っても傷は大きなものになる。
扱いが簡単とは言えないが、パースエイダーの有段者であるアーチャーは悠々と使いこなす。

【人物背景】
旅人。本名不明。欲望に忠実で幽霊が苦手な凄腕のガンマン。
相棒の背の低いハンサムな男と共に、金目の物のために仕事を受けたりトラブルに首を突っ込んだりして感謝されたり恨まれたりを繰り返している。

『歴史のある国』では単独で国の警察を手玉に取った上に相棒と共に三日三晩の間戦い続け、
『殺す国』では国の防衛のために300人の軍隊の指揮を行い、的確な陣地を築くなど、高い戦闘能力と技術を持つ。
一部の国では数十年もの間そのエピソードが語られる英雄とされているが、時には商人に強盗を働いたり、仕事のために平然と大量殺人を犯したりする。
常に冷静に、自分の命を最優先し、人情に流される事はほとんどない。が、『アジン(略)の国』では報酬もなしに国と一人の男を救うなど、直接的に自身のメリットにならないような行動も行っている。

いつかは旅を終えて静かに暮らし、一人の少女の師匠となる――のだが、その『旅の終わり』がどのようなものであるのかは未確定な事項である。
それに加えて聖杯のバグのため、サーヴァントとして召喚された彼女は自身の生涯の記憶を完全には保持しておらず、旅人であった頃の彼女に近い(そのもの、ではない)。
なお、老年期の状態で召喚された場合でも、その戦闘能力と技術は殆ど変わりない。


【マスター】
白瀬芙喜子@パワプロクンポケット14

【マスターとしての願い】
特に無いが、文句は言いたい。

【weapon】
装甲型のサイボーグも撃ち抜ける拳銃。

【能力・技能】
アンドロイドとしての高い身体能力と情報処理能力。
任意で起爆が可能な地雷の操作。ただし、聖杯戦争に持ち込めているかどうかは不明。

【人物背景】
世界を支配する勢力の一角である大企業・オオガミグループによって開発された第三世代アンドロイド。潜入型。
現実主義者でありながら極度のロマンチストでもあり、自由を愛する性格。夢は『好きな相手に看取られながら死ぬ』こと。
敵対した相手に容赦はしないが、非情になりきれない面もある。

組織を抜けた後も戦いを続けるが、元々短い寿命は限界に達しており、『パワプロクンポケット14』の時点では実力はかなり衰えている。
原作本編では最期まで自分の生き方を貫き、その最期を悟った日にも笑顔でいる姿が描写されている。

が、ここではその最期の日に聖杯戦争に参加させられる事になったので割と激おこ。
ムーンセル内で身体能力がどうなっているのかは不明だが、少なくとも寿命を迎える寸前そのままではない。

【方針】
無抵抗で死ぬ気はない。優勝した場合も、生き続けるつもりはない。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2014年12月27日 00:27