法月仁&ライダー ◆W91cP0oKww
プリズムショーの最中、法月仁は昔の夢を見た。
彼の始まりともいえる栄光の残骸が降り注ぐ絶望が、脳裏へと絡みつく。
ステージが熱狂に包まれ、人々の歓声が聞こえる――災厄の景色。
積み上げた努力も、プリズムの煌きの前には何の価値も見出さなかった法月仁を構成していた全てが、燃え尽きていく。
醒めたら戻る悪夢ならどれだけよかったことか。
ひどく現実感に乏しく、蔓延した煌きが彼を追い詰める。
そして熱く、冷たい景色が、見渡す限りに広がっていた。
滅びの煌きに魅了された世界に、一人残された弱き自分。
それはきっと、もう二度と思い出せない綺麗な思いを砕いた最後の刹那だろう。
――見上げた月に堕ちていく。
瞬間、仁がいたのは何処とも知れぬ夜闇の街だった。
当然、困惑する。得体のしれぬ現状に、滴り落ちる汗を拭う余裕すらない。
いつもの優美な態度も鳴りを潜め、きょろきょろと辺りを見回して爪を噛む。
(どうなっている!? ドッキリ企画か? まさか、私をはめたんじゃないんだろうな!?)
かすかに震える手を無理矢理抑え、仁は顔を歪め頭を悩ませる。
エーデルローズ主宰である自分に対して、ドッキリなど許されることではない。
必ずしも、企画した連中を追い詰めてやると固く決意する。
「――――いい加減、現状を理解せよ」
そして、その決意をあっさりと塗り替える言の葉が仁の耳へと届く。
たった一言。ただそれだけで、仁の身体は石のように硬直してしまう。
背後に何かがいる。
声だけで判断すると妖艶なる美女のように感じるが、身の毛がよだつこの気配は決してただの美女ではないだろう。
「よい、振り返ることを許可する」
刹那、仁の身体に纏わり付いていた重力が一瞬にして羽毛のような軽さに成り代わった。
思わず、そのままの勢いで身体を回し翻ってしまう程に。
視界が変わる。ふわりと靡く黒髪に、茶色に焼けた肌。
凹凸の激しい胸に、引き締まったおしり。加えて、身体の隅々に塗りこまれた紋様。
法月仁ともあろう者が見惚れてしまうぐらい、その少女は――魅力的だった。
「妾はオンバ。この度の戦、ライダーのクラスを充てがわれて顕界した」
視線の先にいたのは蠱惑的なバケモノに、仁はゴクリと唾を飲む。
いけない、このままだと流される。
気品ある人間としてのプライドが停滞した現状を何とか踏み越えようとギチギチと音を立てた。
「知識は勝手に読み込まれているはず。なればこそ、後は貴様の心の在りようだけよ」
「聖杯、戦争……ッ! は、ははっ、最近、生徒達の噂話として耳に入ってましたが……。
紅い月に導かれた者は願いを叶えることが出来るといった与太話、それが本当だとは俄に信じ難い。
ええ、私はそのような夢を見る子供ではないのですがねぇ」
「然り。けれど、今更疑う訳でもあるまい? 勝ち残れば、願いは叶う。
妾を呼び寄せたのだ。未だ寝惚け眼を晒し、戯言を口走るようなら、その細い身体――喰い潰すぞ」
「……ええ、そうみたいですね。貴方の佇まいは人間とは違う。まるで、気品ある超常の存在。例えるなら、女神」
「――――ハッ。まさか、その呼び名で妾を例えるとはな。愉快ではあるが――」
ギロリと。彼女の両眼が細められ、殺気が漏れ出した。
「二度目はない。以後、その名を呼ぶな」
「こ、心得ておきます」
流れ出した汗をハンカチで拭い、仁はずれた眼鏡の焦点を合わせ直す。
眼前の少女はサーヴァントと呼ばれる人外。
口に出す言葉は慎重に選び取らなければならない。
ほんのちょっとでも機嫌を損ねることを言うと、自分の首は一秒もかからず離れてしまうだろう。
「さてと、まずは拠点を固めるとしようか。この世界でも貴様には割り振られた役割があるはず」
こうしている間にも、事態は進む一方だ。
一旦は自分の中に流し込まれた知識を整理しなければ頭がパンクしてしまう。
脳内に滞ったモノを円滑にするには落ち着ける場所が必要だと判断した仁は植えつけられた記憶に在った拠点へと足を進める。
(願い、ですか)
その最中、仁は改めて自分が抱く『願い』についてじっくりと考える。
世界は色褪せている。そう感じたのは、いつからだっただろう。
仁は一人だった。煌きがない、ただそれだけで世界は冷たかった。
どれだけの研鑽を重ねても、親の七光りと称されて真っ直ぐな瞳で誰からも顧みられることもない。
認めてもらいたい。煌きなんてなくても、プリズムショーはやっていけるのだと証明したい。
そして、父親である法月皇に――自分が此処にいることを見て欲しかった。
たった一度だけでもいいから、振り返って欲しかったのだ。 人はそれを、その程度と嘲笑うかもしれない。
けれど、仁にとっては何にも替え難い大切な“願い”だったから。
――私を認めないこの世界は下らない。
聖杯があれば、きっと。
プリズムの輝きなんてなくても、世界の色も、欲しかった愛も取り戻せるのだろうか。
【クラス】
ライダー
【真名】
オンバ@ブレイブ・ストーリー~新説~
【パラメーター】
筋力D 耐久B+ 敏捷D 魔力A 幸運E 宝具EX
【属性】
混沌・悪
【クラススキル】
騎乗:D
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み程度に乗りこなせる。
対魔力:A
A以下の魔術は全てキャンセル。
事実上、現代の魔術師ではライダーに傷をつけられない。
【保有スキル】
憎悪:B…相手に憎悪を抱けば抱くほど、能力が向上する。
憎悪の化身故に、負の感情が齎す闇は深い。
戦闘続行:B…瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。
【宝具】
『キャノン・ライセンス』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大捕捉:5人
オンバの依代である大松香織が使う職業専用武具(バズーカ)。
魔力を込めると、弾丸を発射することが出来る。
そして、一日一回だけではあるが、強力な封印魔法(魔力の砲撃)を行使できる。
『この世全ての憎悪』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人
自分を生み出した世界、宿命を呪うオンバの呪いそのもの。
この宝具を受けたモノは身体を『乗り移られる』。
無論のこと、強い意志によってこの宝具は防げるが、負の感情に呼応して宝具も強大化していくので完全に防ぐことは困難である。
とはいっても、その呪いは直ぐに発動するのではなく、身体の持ち主の肉体、精神を徐々に脅かす遅効型なので其処に勝機を見出す必要がある。
……狂える魔狂姫を浄化せしめる正義があるならば、あるいは。
【weapon】
キャノン・ライセンス
【人物背景】
神教において、かつて女神に仕えていたが老神に寝返ったため魔界に落とされたと伝えられる魔狂姫。
ヒト、心を持つ者の持つ「負」の感情の化身、それ故にわが身に絶望し、自らを生み出した世界を憎悪し自らの宿命を変えるために暗躍する。
本編では、封印から解き放たれ、大松香織へと取り憑き、物語の裏側で虎視眈々と『願い』を叶える機会を狙っている。
【マスター】
法月仁@プリティーリズム・レインボーライブ
【マスターとしての願い】
――――認めてもらいたい?
【weapon】
なし。
【能力・技能】
なし。
【人物背景】
エーデルローズ財団の理事長である法月皇の息子であり、エーデルローズの主宰。
かつて氷室聖、黒川冷と共にプリズムキングの座を争ったトッププリズムスターの1人。
段は温厚な紳士を装っているものの、その本性は傲慢かつ自分以外の他者やその思想を決して認めない、異常なまでの狭量さと自己中心的な人物である。
もっとも、ここまで歪んだ背景には、複雑な家庭環境、技術よりもプリズムの輝きを重視する風潮。
加えて、彼の傍に寄り添う人間が誰もいなかったからこそなのかもしれない。
【方針】
聖杯を自らの手中に治める?
最終更新:2014年12月28日 00:30