アットウィキロゴ

ジョン・シルバー&バーサーカー ◆OzO3NU97wY


 ジョン・シルバーは、大海原を相手に舵を取り、宝の島で仲間を裏切り人を殺し、その果てにフリントの宝を得ようとした生粋の海賊であった。
 その男の今日までの逸話を聞いた事がある者も、彼の名は悪役の象徴として訊いただろう。
 宝への貪欲な執着は噂以上に底なし。目的の為ならば手段を選ばず冷徹な男である。
 かつての仲間に犠牲者が出る事も決して何とも思わない。心を許した相手を裏切る事もできる。
 味方をある程度大事にするとはいえ、それは戦力として見ているからでもあるという。

 しかし、シルバーは決して、渇いた家に生まれたわけでもなければ、悲壮な過去があるわけでもなく、また脳に疾患があるわけでもなく、言わば根っからの悪人でもない。
 およそ、悪人の生まれる条件を踏まず、ただ一つの憧れの為だけに着き進める──下手をすれば数万人に一人の病気以上に特異な体質。

 彼は、生まれながらに持ったロマンを求める心だけが桁違いに大きかったのだ。
 ロマン……そう、彼の求める物に一番近いのはそれだ。彼が欲する物は何でもなく、ただ常に「大きい何か」であり続ける。
 ただ一つの「憧れ」だけはどこの誰にも消せはしない。
 彼はその漠然とした何かの為に、他人も、自分も、心も、肉体も犠牲にできる、「願望を持つのにふさわしい器」の持ち主なのである。

 仮に彼がスポーツマンだったのなら、余程優秀な選手になれたのかもしれない。
 己を鍛える為に、適切なトレーニング方法で確実に世界を制覇する算段を組むだろう。
 また、仮に彼が科学者であったとしても、歴史に名を残す偉大な発明ができたかもしれない。
 世界の中に在る真理を弄る為に、その知能を巡らせていくだろう。

 しかし、彼は、どんな願望も包み込む器量を持ちながら、願望など抱えてはいなかった。
 大切な物もない。
 その時にコーヒーを飲んでいたなら、コーヒーを飲む事が彼にとって最も大切な事。
 その時に酒を飲んでいたなら、酒を飲む事が彼にとって最も大切な事。
 その時にただの水を飲んでいたなら……、と。
 ただ、器量と同じだけ、彼が興味を抱ける存在はこの世になかった。
 だから、大切になるかもしれない物を見つけ出す為に、彼は宝を探る海賊となった。

 かの宝島の冒険者たちも、多くは彼と敵対していながら、その男としての器量を認めない者はいない。
 生還者はいずれもシルバーに裏切られた経験の持ち主でありながら、友情を感じている者さえいる。
 人を惹きつけるカリスマを持ち、その時々を自分の思うように生きるだけでありながら、彼は敵味方誰であっても、慕われていた。
 不思議な男であった。

「……」

 そんなシルバーは今──東京の町にいた。
 東洋の小さな島、日本……その現在の首都。
 およそ、生まれてから今日まで、全くシルバーにとっては縁もゆかりもない場所である。
 仮に航海の旅路に出たとして、シルバーはこの日本列島の制覇までは望まない。それほど小さく、無名の土地である。
 技術力はさほどでもなく、
 しかし、男は必然的にここに来た。

 体が突き動かすように、シルバーはここに来てしまったのだ。
 そう、この、聖杯戦争に──。

 男には、願いはない。

 しかしながら、この東京聖杯戦争の最中を縦横無尽に駆け巡り、敵を殺し尽くしたとしても、願望器に近寄りたいという強い念がある。
 それは、決して彼が、殺戮そのものを目的に聖杯戦争を行おうとしているという事ではない。
 全てを捨て去って得たい悲願があるわけでもなく、並み居る都民と魔術師を相手に殺人がしたいわけでもなく、ただの一念が彼を聖杯戦争まで引き寄せた。

 それは、聖杯を欲する……いや、せめて「一目見たい」という程度の興味関心である。
 彼にとっては、それだけで充分であった。
 聖杯に対して情熱を注ぐマスターたちも、多くは聖杯そのものではなく、聖杯の願望器としての性能を確かめようとしている。
 しかし、少なくとも彼は、「聖杯」そのものに対して憧れを抱き、それを欲しているのである。



「貴様が私のマスターか────」




 シルバーの前に現れたサーヴァントは、人のカタチをしていなかった。
 獰猛なけだもの──おそらく、肉食動物。シルバーの肩でフリントが警戒し、慌てて羽ばたき始めたのをシルバーが止める。
 雪原のように真っ白な体毛、血のように真っ赤な瞳。シルバーの鼻孔を突く獣の匂い。
 その口からすらすらと人の言葉が流れ出てくる事には、流石のシルバーも僅かにだが驚きを禁じ得なかった。
 想定外のサーヴァントに、シルバーは苦笑する。

「……ああ、そうだが」

 このサーヴァントはじっくりとシルバーの様子を観察した。
 サーヴァントの側も、その嗅覚をふんだんに利用して、シルバーの人格を類推しているようである。

「大凡の場合、人間がマスターになるとは思っていたが、いやはや、お前は身体的には只の人間でありながら、同時に只の人間らしからぬ所を持っている。
 潮の香りがする。肉体は、片足でありながらヒトの中では極めて頑強。服の色は気に入らないが、その瞳は誇りのある瞳だ。
 一際、面白い男とお見受けした……」

「買いかぶりすぎじゃねえかい、大イタチさんよ」

 このサーヴァントは、獰猛な白クマにも見えるが、よく見るとやはりイタチであった。その体躯は一メートル半ほど。通常のイタチの体躯の三倍、いや、それ以上か。──シルバーが見て来た野生動物たちとは大きく違った。
 その種の中で特異な存在と言うならば、シルバーよりむしろ彼の方だろう。声帯の違いから考えても、人語を理解できたとして、これほど丁寧に語る事ができるだろうか? 念話ではなく、口もそのまま動いている。
 それは、明らかにイタチの枠組みから外れていた。生体そのものが、何らかの事情で異常な発達を遂げていると言っていい。
 しかし、その特徴からシルバーは彼がイタチであると結論づけた。ジムの連れている虎が成長しても張り合えるのではないだろうか。
 とにかく「それ」は、イタチという生物の規格を完全に無視していた。どんな物を食えばこれだけ巨大になりえるのか、シルバーはこのアルビノのイタチの外形を見下ろしながら考える。

「……私はバーサーカー、真の名はノロイだ」

「ノロイ……ここの言葉でそのまま、『呪い』か。お前の真名を聞いた奴はさぞかし怯えるだろうぜ」

 シルバーは苦笑する。

「人間、貴様の名はなんだ」

「……おっと忘れてたな。俺の名はジョン・シルバーだ」

 そんなシルバーをバーサーカーは黙って見届けた。シルバーの笑みの途絶と共にノロイは口を開いた。

「ところで、マスターよ。お前の目的を聞かせてもらおう」

「俺の目的か? ……そりゃあ、聖杯とかいう物を手に入れる事さ」

「それはわかっている。だが、聖杯で叶えたい願いがあるのではないか」

 バーサーカーはそう聞く。
 ただ、実を言えばシルバーは巻き込まれたも同然で、ここに来るまでは目的らしい物はない。
 それでも──彼は聖杯が欲しかった。
 魔力を持たないとしても、この聖杯戦争を勝ち抜き、その願望器を緒が見たい。
 唯一無二の存在を得たいと心から欲するこの欲望こそが、男を突き動かす。聖杯がどんな用途の物であるとしても、それを掴みとろうとするだろう。
 それは男の本能であった。体の底から全身を這い回るこの意思に、抗う事はできない。

 聖杯。──ただ、その存在がある事実こそが、シルバーを惹きつける。


「聖杯とやらで呑むラム酒がどれだけ美味いのか知りたいんだ。
 そいつがその時、俺の一番大切な物になりゃあ、設け物さ」

 いわば、そういう事だった。
 この戦いで得た杯を使って飲むラム酒の味を求めていただけである。

 シルバーにとって大切な物は、その時その時で全く別の意味を持つ。
 それが大切になるという事はないかもしrねあい。

「一番大切な物だと? ──」

 シルバーの言葉が、バーサーカーにはわからなかった。

「ヘッ。誰にでも語る事じゃねえさ。まあ、そうだな……。
 これからお前はどうしたい。折角だから聞くが、あんたらイタチには大切な物ってのはあるのか」

 そう言われると、バーサーカーにとってもシルバーの目的などどうでも良くなったのだろうか。
 彼は自らの生きがいとも言える行為を語らいだした。

「……折角、この人里に召喚された以上、私は人を相手に殺しを楽しみたい。
 追いつめて楽しく殺したい。あのネズミ共のように、悲鳴を上げて人間共が死んでいくのを見たい。
 それが私の目的だ。勿論、お前はその対象外だが」

 バーサーカーが薄く笑うのを、シルバーは不愉快そうに見つめた。

「殺しか。なるべくやりたかぁねえんだが、それがあんたのやりたい事だってんなら邪魔はしねぇ」

「物わかりの良い人間だ。私のマスターに相応しい。
 面白い、面白いぞ、シルバー。カッカッカッカッカッカッ…………」

「いや……言葉を理解するイタチを見た後じゃぁな。
 それに、それだけ戦うのが好きなら、俺が聖杯を得るのにも役に立つってもんさ」

 殺人は極力避けたいが、聖杯という宝を得る為にはシルバーは手段を択ばない。
 このノロイという真名を持つサーヴァントを利用し、参加者を減らして聖杯を手に入れるのも一向。
 また、別の方法で聖杯が得られるなら、それはそれで構わないというスタンスであった。
 ただ聖杯が欲しい。その為に真っ直ぐに動いていく自分の中にこみあげる、この刹那的な情熱こそが、今この一瞬のシルバーに満足感を与えていた。




 ────彼は一人、ジムのいない東洋の都で新たな冒険を始めている。────


【真名】ノロイ@ガンバの冒険
【クラス】バーサーカー

【パラメーター】
 筋力C 耐久C 敏捷A- 魔力D 幸運C 宝具C

【属性】
 混沌・悪

【宝具】
『ゆっくり殺せ…楽しく殺そう…』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:2~5
 多量の相手を片手の爪で纏めて突き刺し、掻き切る事ができる。ただし、これはあくまで対ネズミ時。
 身長は1メートルほどなので、人間相手でも複数名を相手にできる可能性が高い。

『劇画立(トラウマ))』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:相手の視覚範囲 最大捕捉:相手の視覚範囲
 ただ立つだけで相手に恐怖を植え付ける。かなり不気味な立ち方。
 並のサーヴァントならば、強弱の差に関係なく謎の戦慄を覚えるという。

【クラス別スキル】
狂化:E 
 通常時は「狂化」の恩恵を受けない。代わりに、正常な思考力を保つ事ができる。 

【保有スキル】
催眠術:B
 目を見た相手に催眠術をかける事ができる。
 相手が生物でるならば充分に利用する事が出来る。

カリスマ:A
 高い指揮能力と人心掌握術を持ち、多くの仲間を集めてネズミたちを襲撃する。
 イタチたちからは絶対的な忠誠を誓われており、ネズミの支配を実質支配していた。

殺戮への高まり:B
 敵を殺戮する毎にその能力値を微弱ながら強めていく本能。NPCの小動物や虫を相手にも運用可能。
 このスキルこそが、狂化の恩恵を受けない彼をバーサーカーたらしめている。

【weapon】
 なし 

【人物背景】
 1メートルほどの巨大なアルビノのイタチ。ネズミたちを追いつめて殺す事を楽しみ、愉悦としている。
 雪のように真っ白な体をしており、内心には白い物に対する偏愛と狂気に満ちた美意識がある。白い花を汚した部下に対して怒り狂い、容赦なく粛清した事もあった。
 知能が高く、ネズミたちの言葉を学習して話す事が出来、更には真っ赤な眼光を利用した催眠術までできる。
 仲間を売ったネズミに対しては「殺す価値もない」と発言しており、やはり独自の美学の持ち主である。

【サーヴァントとしての願い】
 特になし。他者の殺戮のみが目的。

【基本戦術、方針、運用法】
 獰猛な生物としての圧倒的な力が武器。また、鋭利な爪では敵を切り裂く事ができる。
 殺しそのものを楽しんでいるため、殺戮を主目的とするが、同時に理知的でもあり、殺戮の為に相手を仲間に招き入れて騙させる真似もする。
 主に、相手を何らかの方法で自分の下におびき出してから殺す作戦を取り、それを楽しむので、遠距離の敵も察知しておびき出す戦法を取る可能性が高い。
 何故か催眠術のような精神攻撃を利用できる為、それを利用した戦法を取る事も可能。


【マスター】ジョン・シルバー@宝島(アニメ版)

【マスターとしての願い】
 特になし。
 この聖杯戦争もまた、自分にとって一番大切な物を見つける旅路であり、聖杯を得る事そのものが目的である。

【weapon】
 杖 、フリント(オウム)

【能力・技能】
 左足は義足だが、一般人と同等以上の格闘能力や身体能力を持つ。特に腕力において右に出る者はいない。船乗り五人を軽くあしらうほど。
 宝の地図に示された場所に辿り着いた時には、海賊・冒険家たちの誰よりも早く宝に向かっていったほどの執念を持ち、「男は一度やろうと決めた事があれば一本の脚が二本にも三本にもなる」と発言した。
 人心掌握術に長けており、悪役でありながら善悪問わずありとあらゆる人間を引き付ける魅力を持っている。
 コックとしての腕も有能。

【人物背景】
 主人公ジム・ホーキンズとともに、伝説の海賊フリントの宝を競い合った海賊。悪役でありながらかなりのロマンチストであり、男の中の男として描かれている。
 当初は、フリントの宝を探す船にコックとして乗り込み、ジムたちとも親しくしていたが、実はフリント海賊団の元一味であり、自分が乗りこませた海賊仲間と共に島で反乱を起こす。
 脱出した船長やジムたちとは島で戦う事になり、シルバーは彼らを相手にあらゆる作戦を取り仕切って宝を争奪し合う事になった。
 しかし、その過程でジムに対して強い興味を抱き、敵ながら強い信頼と友情が芽生えていった。
 宝に対する執着は非常に強く、ただ宝を得る事に対するロマンのような物が彼を突き動かしている。その為にはどんな手段も厭わず、敵対勢力には卑劣な罠を仕掛ける事も多かった。

【方針】
 聖杯を手に入れる。
 ただし、他の参加者との協力・対話の意思もあるので、そこまで積極的に殺して回ったり、不意打ちをしかけて襲い掛かったりというやり方をする気はない。
 あるいは何らかの目的を持つマスターやサーヴァントとの問答を楽しむ事もあるかもしれない。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2015年01月01日 22:24