灰原哀&キャスター ◆devil5UFgA
天空に紅い月が昇る時、闇の眷属<エミュレイター>が人間の世界へ侵略してくる。
彼らには科学という常識に満たされた力は一切通用しない。
闇に対抗し得る唯一の力、人々が遠き過去に忘れ去った魔法を使って戦うもの。
彼の者は『常識を破壊せん』とやってきた侵略者から世界を守るもの。
しかし、常識から乖離される魔法は世界からの修正を受ける。
常識を守るために、常識から身を隔離させる。
今日もまた、どこかで侵略の足音が響き渡る。
不可視の紅い月が輝く。
常人たれば、常識の内に居れば、観測出来ない紅い月。
混沌が夢想を掻き乱すように、紅い月が輝いていた。
――――彼の名は、宵闇の魔法使い<ナイトウィザード>
◆ ◆ ◆
空に浮かんだ紅き印が導く時空の中で、二人は相対していた。
一人は指貫グローブを青いブレザーを着崩した青年と呼ぶには少々若い少年。
一人は栗色の髪をおかっぱに切りそろえたまだあどけない顔をした童女。
「で、アンタが俺のマスターってわけか」
「そうみたいね、なんだか、実感が湧かないけど」
童女、灰原哀が応える。
声色も、立ち振舞いも、戸惑いを誤魔化すように浮かべた笑みも。
全てが外見から察する年齢とはかけ離れたそれであった。
「俺は魔剣使い、柊蓮司。セイバーのクラスでアンタのサーヴァントってわけだ」
セイバーと名乗った少年とも青年ともつかない若い男、柊蓮司も哀の奇妙な雰囲気を感じ取ったのだろう。
平時、柊が少女に対して向ける態度とは異なっている。
「セイバー?」
「……あん、なんだ? バーサーカーとしてでも召喚したのか?」
なら、失敗だな。
柊は続けて言ったが、哀は未だ表情に不思議そうな色を浮かべている。
そして、しばし、考え込んだ後、親指と人差し指を合わせて円を作る。
その円を望遠鏡のように覗きこむ。
「……貴方、ステータスにはキャスターのクラスって書いてあるわよ」
「なにぃ!?」
そんな馬鹿なことがあるか、と言いながら柊は虚空へと手を伸ばす。
そして、静かに目を瞑る。
目を瞑る。
目を瞑る。
……………目を瞑る。
「魔剣がねえ!!!??」
カッと見開き、みっともないと言えるほどに叫び声を上げた。
それは怒号にも悲鳴にも聴こえる叫びで、とにかく、柊の動揺が伝わる叫びだった。
「な、なんでだよ!なんでセイバーなのに魔剣がねえんだよ!」
「キャスターだからでしょう?」
「俺はセイバーだ!」
現実を直視できない柊は怒り、怒り、怒り――――やがて、顔面を蒼白させた。
「魔剣のない魔剣使いなんざただの使いっ走りじゃねえか……勘弁してくれよ……」
己の半身のごとき魔剣が喪失することは、半ば柊蓮司のアイデンティティを揺るがすような出来事であった。
ましてや、戦うための場となれば、余計にだ。
「あら、上手いこと言うわね」
動揺を浮かべる柊に対して、哀は童女に似つかわしくない、妖艶な笑みを浮かべた。
それは『耳年増』や『マセた少女』と言った言葉では説明できないほどの笑み。
現に、灰原哀は童女であって、童女でない。
実年齢は十八、しかし、自らの精製した薬物によって幼児化をしている。
哀自身に薬物を作らせた『組織』から逃れるために、だ。
本名を宮野志保、コードネームをシェリーという。
「それでも、キャスターのクラスなんでしょう?
何かしら、突出したものがあるんじゃないの?」
哀は、胸中に動揺を抱えながらも柊に問いかけた。
聖杯戦争の意味は知っている。
人智を超えた超人、英霊を従者<サーヴァント>を召喚し、他者が召喚したサーヴァントと決闘を行う。
決闘を勝ち抜き、最後の一組となった主従が万能の願望器である聖杯を手中に収める。
そして、聖杯は奇跡の願いを求める者を、半ば強制的に参加者とする。
そのため、召喚するサーヴァントは重要だ。
「いや、俺は、魔剣がないと……」
先ほどまでの啖呵は何処に行ったのか、小さな声に相応しい背中を縮めて小さくなっている。
召喚されるサーヴァントの重要性は柊自身も理解している。
だからこそ、恥ずかしさで頭が沸騰しそうであった。
『最優』とされるセイバーと名乗った癖に『最弱』とされるキャスター。
穴があったら入りたいとは、まさにこのことだ。
「まあ、元気を出しなさいよ、パシリのサーヴァントさん」
「キャスターだ! 魔術師だよ、魔術師!」
キャスターは半ば反射的に叫ぶ。
哀はどこか面白そうに笑うだけだ。
嘲笑われているようで、苛立ちと同時に寂しさがこみ上げてくる。
そして、情けない想いに襲われながらも、早口で語り始める。
「俺にとっちゃ魔剣が杖で箒なんだよっ、だから、魔剣がなきゃキャスターとしてもだな!」
「それは聞き飽きてきたわよ」
いい加減に建設的な話題へと移ろう、からかうように言っていた自身のことを棚に上げたように返す。
顔を真っ赤にし、身体を震わせながら、しかし、言葉を飲み込む。
これ以上に怒りを見せつけても、哀は動じないだろう。
むしろ、その動揺すらも哀の望むところだ。
この手の女とは何度も相対している。
だからといって、扱い慣れているというわけでもないが。
「で、何が出来るの?」
「だ、だから、何も……あ、い、いや、月衣!月衣ならある!」
「かぐや?」
聞き慣れない言葉を聞き返す哀。
柊はまともな会話が続くことを確信し、目の前の童女に対する評価を改める。
余裕に溢れた童女ではあるが、人をおちょくることだけに命をかけているような増上慢ではない。
「見えるだろ、あの『紅い月』が」
「ええ、紅いだけなら幾らでも説明できるけど、他の子達には見えてないっていうのが謎を深めているわね」
「つまりは、あの結界なんだよ。常識を阻害する、あり得ない結界なんだ」
「結界? つまり……あの月がパシリの宝具ってことかしら?」
「パシリじゃねえよ!」
哀がからかうように口にした言葉に、柊は飽きもせずに激昂する。
クスクスと哀はおかしく嗤い、柊は肩を上下させながら息を整える。
哀はそれ以上は口にせず、続きを促す。
柊は苛立ちを覚えつつ、荒げながらも言葉を続けた。
「俺はウィザードだからな、結界が使えるんだよ!
あ、いや、あれは月匣だから俺の結界じゃないんだけど……」
「げっこう?」
「ウィザードが使う結界が月衣で、エミュレイターが使う結界が月匣で……」
「エミュレイター?」
「とにかく、結界が使えるんだよ! その結界の中に宝具の魔剣やら学校用の鞄やらを置いてあるんだよ」
説明ベタな、あまり知能が高くないであろう本筋から離れた言葉を並べた後、強引に結論だけを口にする。
その中から生じる専門用語などの説明はしなかったが、哀は小さく頷いた。
ここでその用語についてつついても、満足な応えは返ってこないだろうことは想像に難くない。
「さて、セイバーなのになぜかキャスターの柊蓮司くん」
「うるせえ!」
「その月衣には何が入ってるの?」
「……鞄だろうな」
そう言って目を瞑る。
虚空に手を伸ばし、ふと、眉を潜めた。
感じなれない存在を感じ取ったのだ。
「なんだこりゃ」
柊はそう言いながら一つの『水筒』を取り出した。
自らの結界の中に存在したという割には、柊自身も把握していない・
哀は、水筒に書かれた文字を眼にした。
ちょうど、柊からは見えない位置にあるものだ。
「下がるお茶?」
「……げっ」
その言葉を読むと同時に、柊は嫌そうに声を漏らした。
そして、くるり、と水筒を回転させる。
そこに書かれている文字を読んで、さらに顔を歪ませた。
「これ俺のじゃねえだろ!」
「そうなの?」
「アンゼロットってババアのだよ……」
正確に言えば、それはアンゼロットなる柊蓮司の知人が用意した、柊蓮司の特性を利用した魔道具だ。
そのお茶を飲めば、年齢が『下がる』という力を持っている。
柊蓮司の持つ、『可視不可視を問わない森羅万象遍く全てを下げる』という力に由来した魔具なのだ。
柊が吐き捨てるように言い捨て、同時に哀は興味深そうに眼を細めた。
そして、再び柊が顔をしかめた。
柊は虚空から色違いの水筒を取り出す。
「……ご丁寧に、『上がるお茶』までありやがる」
柊蓮司は項垂れた。
灰原哀は得心を得たように、頷いた。
【クラス】
キャスター
【真名】
柊蓮司@ナイトウィザード
【パラメーター】
筋力C 耐久D+ 敏捷D 魔力D+ 幸運E 宝具E~A++
【属性】
混沌・善
【クラススキル】
陣地作成:D+
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
世界から隔絶される結界、『月衣』の形成が可能。
道具作成:-
魔術的な道具を作成する技能だが、柊蓮司は道具を作成する技能を持たない。
対魔力:?
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騎乗:?
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【保有スキル】
属性付随:C
魔器に<風>と<火>の属性付随魔法<エンチャント魔法>をかけることが出来る。
魔力放出:A
武器、ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させる。
瞬間的に魔力<プラーナ>を用いることで幸運すらも向上させることが出来る。
心眼(偽):D
直感・第六感による危険回避。
修行ではなく、世界を幾度と無く救った経験から身についた非論理的な才能。
二重召喚:?
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【宝具】
『下がる男』
ランク:E~A++ 種別:対界宝具 レンジ:∞ 最大捕捉:∞
柊蓮司が持つ、あらゆる事象を『下げる』、特上の異常能力である『柊力』が宝具化した物。
自らの年齢であろうと、自らの学年であろうと、無限の力を持つ世界の守護者の力量であろうと、森羅万象如何なる物でも『下げる』ことが出来る。
それは可視の存在だけでなく、不可視の概念存在も例外ではない。
柊蓮司は無数の平行世界に存在する柊力の持ち主の中でも最大の力を持つ『オリジン』である。
しかし、柊蓮司はこの宝具を自らの意思で使用することが出来ない。
史実のように魔術師サイモン・マーガスや守護者アンゼロットなどの他者からの介入が存在して、初めて、この規格外の宝具を使用することが出来る。
『神殺しの魔剣』
ランク:- 種別:- レンジ:- 最大捕捉:-
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【weapon】
キャスタークラスでの召喚のため、愛用の神殺しの魔剣を取り出すことが出来ない。
しかし、身体年齢を下げる『下がるお茶』と、下がる物によって下がった年齢を上げる『上がるお茶』を所持している。
【人物背景】
柊蓮司はエミュレイターと陰ながら戦う魔剣使いのウィザードである。
ルール第一版では輝明学園秋葉原校高等部に在学。(本来なら3年生に進級しているが、単位が不足し留年の危機にあった。)
言動が荒っぽく不良学生を名乗ってはいるが、性格はむしろお人好しな方である。
赤羽くれはに「遅刻しないのは小学生以来」と言われたり、授業をサボって昼寝に向かった際くれはに「またサボり?」と言われるなど、かつては本当に「不良生徒」だった。
しかし高校1年のある日、眼が覚めるとベッドの中に一本の剣が出現し「我を継承しろ」と告げたことで彼の人生は一変する。
最初は剣から逃げていた(剣は靴箱の中や机の中にまで入っていた)柊だった。
だが、ある時、校庭でくれはが得体の知れない怪物と戦い、しかも頭上に「紅い月」が昇っているのを目撃してしまう。
そして、柊の存在に気を取られたくれはが怪物に捕らわれた瞬間、彼は剣を掴み、怪物を一刀両断した。
事態を理解出来ていない柊に、くれはとその母・赤羽桐華は、彼がウィザードとして覚醒したことを告げた。
そしてこの事件の中で柊は「なぁなぁで学校に行っていた」と自覚し、以降真面目に学校に出ようとするようになった。
しかしその直後からウィザード組織の勧誘が相次ぎ、学業との両立を重視した柊は「一番適当な勧誘をしていた」日本コスモガード連盟に身を置くこととなる。
しかしそこで半年間も任務に従事させられるハメになり、くれはが絡んだ『星を継ぐ者』事件で最終的にコスモガードと決裂。以後はフリーランスとして活動する。
高校在学中はウィザードの任務のために学校を休むことが多く出席日数が足りないことから、「不良学生」のレッテルを自ら貼っていたようだ。
自身は出席日数が足りないことには危機感を抱いており、任務がない限りは真面目に学校に顔を出そうとしていた。
『ふぃあ通』内のミニドラマ内ではもはや「不良学生」である事を忘れ去られつつあるのを極度に気にしており、不良っぽい行動を取ろうとしたり、「不良」と呼ばれて喜んだりしていた。
輝明学園高等部を卒業したが、都市伝説扱いされている(=ほぼ誰も信用してくれない)。
卒業後は単位を気にする必要がなくなったためか、『シェローティアの空砦』において魔剣を改造するために一時手放しウィザードを休業した際、楽隠居していた。
大抵は名字かフルネームで呼ばれており、名前だけで呼ばれる事は滅多にない。柊を名前で呼ぶのは、姉の京子と並行世界ガイアの自分である柊レンだけである。
【マスター】
灰原哀@名探偵コナン
【マスターとしての願い】
不明。
【weapon】
【能力・技能】
幼児退行の副作用を持つAPTX(アポトキシン)4869を使用したが、知能までもは幼児化していない。
そのため、高い薬物知識を持つ。
【人物背景】
栗色の髪をした涼やかな印象の日本人離れした美少女。事実上本作のもう一人のヒロインといえる。
一見すると単に寡黙な女の子だが、その正体は黒の組織の元メンバー。
本名は宮野志保といい、組織でのコードネームはシェリー。
黒の組織の一員であったが、姉・宮野明美を組織の命を受けたジンに射殺される。
これに組織に反発して軟禁されるが、自身の開発したアポトキシンを服用して自殺を図るも幼児化し、偶然とはいえ脱走に成功した。
以降、阿笠博士の下に身を寄せて、帝丹小学校に通う小学生として生活している。
保護してくれた阿笠博士に対しては全幅の信頼を寄せている様子。
基本的には理知的で冷静、初対面の人間にはあまり積極的に口は開かない。
組織に身を置いていた時期が長かったせいか、警戒心の強い部分もあり、特に初期は誰に対しても一定の距離を置いて接していた。
猫を被ったりすることはなく、大人に対しても地の態度で接する。しかし子供の演技をした際の演技力はなかなかのものである。
元科学者だけあって、化学製品や電子情報の知識や扱いは登場キャラクターでも指折りの実力を持つ。
コナンが風邪のときに誤って白乾児(パイカル)という酒を飲んだ経験から、アポトキシンへの試製解毒薬を精製するなど、技術分野では阿笠博士と同等以上の技量を有している。
【方針】
不明。
最終更新:2015年01月06日 01:41