【ガイドブックに載ってない島の旅・アソ―レス諸島】
第2話)アソ―レスはフトコロに優しくない?

《ポルトガル|アソ―レス諸島|ファイアル島|サォンミゲル島|テルセイラ島》

アソ―レス諸島最初の島、ファイアル島オルタのという街に着いたのは昼の1時過ぎであった。国内線なのにリスボンから2時間半もかかるが、それもそのはず。ここはポルトガル本国と1時間も時差があるくらい遠いのだ。島の飛行場は海岸沿いの高台にあった。タラップを下りて空港ロビーまで滑走路を歩いて行く。天気は快晴だが、海から吹く風がとても強い。

ファイアル島オルタ

旅先で先ずしなければならないのは宿の確保である。しかし僕の手元にガイドブックの類は一切ない。この島について仕入れた情報といえば「昔は捕鯨基地として栄えた島なので、6‐9月のシーズンにはホエールウォッチングが盛んだ」ぐらいのインフォメーションしか持ち合わせていない。

僕は飛行場内の観光案内所を探した。小さな空港に似つかわしいタバコ屋さんのようなブースがこの島のツーリストインフォメーションであった。中にはいかにも「わしゃバイトで雇われてるだけじゃい」って感じの地元のおっさんがいた。外国語はNGのようだ。こうなると、いんちきポルトガル語でのやり取りとなってしまう、、、、はたしてこちらの意図はきちんと伝わるのだろうか?

 僕   :「安いペンサォンはありませんか?」
 おっさん:「そりゃ、ペンサォン・サォンフランシスコだな。」

 僕   :「ほー。で、そこ、一泊幾らなの?」

僕は20~30ユーロぐらいの値段を期待しながら、相場を聞いてみた。

 おっさん:「60ユーロぐらいだんべ」
 僕   :「ろっ、60ユーロ!! д#y$k??G>$+!)4jK><B8=$ !!」

ちょ、ちょっと待て。60ユーロといったら約7500円。物価が安いはずのポルトガルで、これは一体どういうことなのだ。

そうだ、このおっさんはバイトなのだ。だから”とってもお得な情報”など持ち合わせていないのだろう。こうなったらタクシーの運転手に聞いたほうがよさそうだ。街までタクシーを使うのはたいへんシャクだが仕方がない。僕はタクシーに乗りこんで運転手に尋ねてみた。

 僕   :「安いペンサォンを知りませんか?」
 運転手 :「おお、知ってるとも」

さすがは、何でも知ってる運転手。そして僕の目の付けどころはなんて鋭いのだ!

 僕   :「じゃ、そこに行ってください。」
 運転手 :「OK、ペンサォン・サォンフランシスコだね。」

ペっ、ペンサォン・サォンフランシスコ!!!!そこは60ユーロもする僕的に高級な安宿(?)ではないか。僕は行き先を街中のツーリストインフォメーションに変更してもらった。二の手がダメでもとっさに三の手が打てる、僕ってスゴイ!と妙に自己満足に浸っているうちに、タクシーは街中のツーリストインフォメーションの前に止まった。門構えもきちんとしたオフィスには聡明そうな女性職員が二人いた。ここならいい情報が得られそうだ。よしよし。

 僕   :「安いペンサォンを知りませんか?」
 職員A :「ええ、あるわ。すぐ近くよ」

ふふふ、今度こそ勝利だ!

 僕   :「それはペンサォン・サォンフランシスコじゃないよね?」
 職員A :「あ~ら知ってるじゃない。そこが一番安いわ。」

 僕   :「えっ、G>$+!)4jK><B(#8$л$k??=$ !!」

嗚呼、この街に安宿は一泊60ユーロ也のペンサォン・サォンフランシスコしかないのか! どうやらこの島はカーストの低い旅行者を暖かく迎えてくれないようだ。

もはや選択の余地がなかくなった僕は、ペンサォン・サォンフランシスコに泊まることにした。ペンサォンの受付のおねーちゃんは 「海側と山側どちらがいい? 海側は48.8ユーロ、山側は43.8ユーロよ。」 と聞いてくる。実際は60ユーロより安かったので、少しホっとしたついでに、勢いで高価な海側を選んだ。

僕は重い旅行バッグを引きずって2階の部屋に入る。ロンドン、リスボンと乗り継いでやっとたどり着いたアソ―レス諸島最初の宿だ。ふーっと一息ついて旅装をときつつ窓の外を眺めた。 

おっ!
なんというすばらしい眺め!

部屋の窓からはオルタの港が一望できたのだ。いや、港というより、ハーバーといった方が似つかわしい。カラフルなヨットが何十双も停泊している。

ハイソなオルタのハーバー
ハイソなオルタのハーバー

僕は早速ハーバーへ散歩に出かけた。ここにはサーフィンやパラセーリングといった派手なマリンアクティビティは一切ないが、ヨットやクルーザー、そしてトローリング用のフィッシングボードなど、お金のかかる高級海洋レジャーの一大基地だったのだ。

外国人観光客も、いかにも懐に余裕がありそうな中高年が多く、アゴヒゲを蓄えた船長風のツーリストが街を闊歩している。僕は世界中のお金持ちが集まる格式の高いリゾートに間違って迷い込んでしまったようだ。一泊60ユーロ!に驚愕してしまうカーストの低い旅行者はお呼びでなかったようだ。トホホ。。。

(続く)


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最終更新:2016年08月27日 16:30