【メコン左岸にて-ラオス中南部の旅】
第5話)ターケーク行きのバス
《ラオス旅行記|ビエンチャン|ヴァンビエン|ターケーク|サワナケート》
一行はビエンチャンでの2日間の日程をともに過ごした後、あるものは帰国し、ある者は他国に向かいと、解散となった。僕はここから一人でメコン左岸を南に下ることにした。
南部方面に向かうバスの集まる「南バスターミナル」は、なぜかビエンチャンの北にあってややこしい。
12時発のターケーク行きのチケットを買って車内に乗り込む。「さっ、寒い!」車内は冷房が効きすぎである。
バスは12時発にもかかわらず、11時半に出発した。定刻より早いなんてラオスらしくないが、出発すると5分も経たずに停車する。するとドン、ドンと、物売りがバスの窓を叩き出した。どうやら、彼らにビジネスチャンスを与えるための停車のようである。乗客の多くはこの先6時間のバス旅に備えて、水や食料を買い込む。
バスはビエンチャン郊外に出て、しばしのどかな田園風景の中を進む。するとラオスには似合わぬ近代的なスタジアムが現れた。「こんな物がなぜこんな所に必要なのだ!」と僕は驚きを禁じえなかった。
そういえば、今年ラオスは東南アジア競技会(SEAゲームと称する、東南アジア10ヶ国におけるオリンピックみたいな大会)を年末に主催する。そのためのスタジアムであろう。しかしラオスの国家予算は8割が外国からの援助に頼っていると聞く。ラオスの力だけでこんなスタジアムが建てられるのだろうか?
ところで、僕の乗ったこのバスだが、走り出すと車掌が屋根の空気窓を開け放っていった。オイオイそんなことをしたら冷房の空気が逃げちゃうじゃんと思ったら、クーラーの電源を切ってしまった。ようするに走ってる間は風で涼しいから冷房いらんでしょってことだ。
出発前はクーラーの効き過ぎで寒く感じたのに、走り出したら、風が入ってくるとはいえ、蒸し暑さが増してくる。なんだか体調が狂い始めてきたゾ。
3時間ほど走ると、バスは何もない草むらに停車した。「トイレタイム」である。乗客は男も女もゾロゾロとバスを降りる。男は道端で、そして女性は草むらの奥へと消えて大地に養分を注いだ。なんとも大胆なトイレ休憩である。
さらに3時間ほど進み、夕刻前目的地のターケーク・バスターミナルに到着した。そこからトゥクトゥクで街中の宿に向かうと、ポツポツと雨が降り出した。
寒かったり蒸し暑かったりのバスで体調を崩し気味のところに雨とはアンラッキーである。
さて、ここから先は初めての土地だ。どんな旅が待っていることやら。
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最終更新:2016年08月27日 18:58