【カイザースラウテルンの悪夢-悲劇のドイツ旅行】
第4話)転んでもタダでは起きません

《ドイツ旅行記|フランクフルト|マンハイム|カイザースラウテルン》

◆そして悲劇は起こった。。。


キックオフは午後3時、すでにフリッツ・ヴァルター・シュタディオンは両国のサポーターで一杯だ。先発メンバーのアナウンスとともに歓声が上がり、試合が始まる。

ドイツ|満員のフリッツ・ヴァルター・シュタディオン|カイザースラウテルン|W杯観戦
満員のフリッツ・ヴァルター・シュタディオン

初夏なのに、今日の暑さは半端じゃない。

そのクソ熱い空の下、前半26分、ドサクサに紛れた日本のゴールが決まる。喚起に沸く僕らは、あたりかまわず前後左右の見知らぬ人々と抱き合って喜びを分かちあう

不意に訪れた歓喜の瞬間

1-0で前半を終え誰もが日本の勝利を信じて疑わなかった。このまま後半が早く終わって欲しい。ともかくこの日の暑さは尋常じゃない。スタンドで座ってるだけで体力を著しく消耗するのだ。後半45分をサッサと終わらせ早く祝杯を挙げたい!! と日本サポーターの誰もが念じていた。

しかし、悲劇は起きてしまった。

残り10分、日本でテレビ観戦していた友人は、勝利を確信し風呂に入り、出てきたら3点取られ一体何が起こったのか理解できなかったという。

それはそうだ。現地にいた僕らだって理解できなかったのだから…

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1億の日本人が単なる夢であって欲しいと願う悪夢を見せつけられた後、僕らはマンハイムに戻り、「祝杯」を挙げるはずだったSNS仲間たちと落ち合う。狂気乱舞するオージーたちとは対照的に、こちらはお通夜のような「反省会」となってしまった。

この街で知らない人たちとサッカーを見に来たという事だけで出会い話ができた。収穫はそれだけだった。

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◆転んでもタダでは起きません!!


帰国後、未だに受け入れがたい現実を受け止めきれず、思いっきりへコんでいた。

そして何気なくスポーツ誌「Nンバー」を買った。あの苦い記憶の試合が載っている特集号だ。ふと、そのとあるページの写真に目が留まった。「確かあの試合、スタジアムのこの写真の辺りで観戦していたよな」と目を凝らす。すると、

 ええ、ウソだろ。自分が写っている!!

ドイツ|カイザースラウテルン|W杯観戦
自分の姿が雑誌に!!

中央の小さなサポーターの写真、その左端の真ん中あたりに、米粒のように小さく。隣に座っていたNさんは顔が半分隠れて見えない程だが、確かに写っている。

 「良くあんなに小さい写真を見て判断できましたね」と感心するNさん。

 「やっぱ、転んでも(負け試合...!)タダじゃ起きませんね」と揶揄する友人たち。

僕は「早く買わないと次の号が出たら店頭からなくなっちゃうよ」と友人・知人に触れて回った。しかしその僕の載った特集号、日本の敗戦記事なので売れ行きが悪いようだ。結構長い間店頭に残ったままであった。

B芸S秋社もさぞかし困ったことだろう。

やはりこのリベンジ、南アフリカで晴らすしかない。4年後「勝利を祝うサポーター」として、次回は 「Nンバー」の表紙を飾ってやる!?


=FIN=


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最終更新:2016年08月24日 08:33