【国がまるごと博物館・キューバの旅】
第1話)ツーリストカードはヤフオクに
《キューバ旅行記|ハバナ|マタンサス|トリニダー|オルギン》
それは今から6年前のことだった。わざわざ東京・麻布にあるキューバ大使館に出向き、¥2100もの大金を払ってキューバ観光のビザに相当するツーリストカードを手に入れたのは。
しかし不幸にも、日程に差し障りが生じ旅行を断念せざるを得なくなった。
あれから時が流れ、干支が半周した。そして捲土重来、リベンジの時が巡ってきた。
キューバ行きの航空券を手配し、入国に必要な保険の証明書を準備、そしてまたツーリストカードを手配しなくてはと思った矢先、なんと6年前未使用だったツーリストカードが見つかった。
「おや、この書類、有効期限がない!!」
この重大事実に気付いた僕は小躍りした。有効期限の表記が一切ないと言うことは、つまり永久不滅で使えるということではないか!!
「以前のツ-リストカ-ドも現在の物も同じですので大丈夫なはずです。空港で何か言われましたら領事部で大丈夫と言われたと、お話下さい」
念のため在日キューバ大使館の領事部にファックスして確かめてもらったところ、担当者から心強い返事がえられた。「領事部で大丈夫と言われた」とどうスペイン語で言ったら良いのか、全く分からないのだが、ともかくお墨付きは得られたのだ。6年前の書類、取っといて良かったぁ。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「アテンションプリーズ、これからキューバ入国に必要な書類をお配りします。」
乗継地カナダのモントリオールからキューバに向かうエアカナダの機内で、スッチーが乗客に入国書類を配り出した。
ええ”、その書類って、オイラが¥2100払って手に入れたツーリストカードではないか! お~い、エアカナダ。 お前ら缶ビールには¥600(約)と暴利を貪るくせに、何でツーリストカードはタダなのだ!! 金を出してそれを手に入れたオイラの立場が浮かばれないではないか。不愉快千万なり!!
6年前の書類が使える! おかげで¥2100と麻布までの交通費を得した! そんな僕のささやかな幸せ気分は一気に吹き飛んだ。
この気持ちを鎮めるにはどうしたらよい?そうだ! タダで配られた二枚目のツーリストカード。これをヤフオクで売ってしまおう!機内でタダで配られることを知らないアホな旅行者、一人ぐらい入札してくるだろう…
などと思いを巡らしているうちに、飛行機はすっかり暗くなったキューバ東部の地方都市、オルギンの空港に着陸した。
オルギン? 聞いたことのない街だが、この街着の航空券しか取れなかったのだから仕方ない。
さて、これからどんな旅が始まるのか。軽い緊張感とともにキューバの旅が始まった。
最終更新:2015年05月31日 00:12