【タナトラジャ犠牲祭+αの旅】
【タナトラジャ犠牲祭+αの旅】第4話)鍵がない!!!
《インドネシア旅行記|タナトラジャ|ランテパオ|マカッサル|ジョグジャカルタ》
2億人の人口を持つインドネシアは世界で一番イスラム教徒の多い国として知られている。
しかしここスラウェシ島のタナトラジャではちょっと様子が異なる。メジャーなのはキリスト教なのだ。スクーターでこの辺りを走り回っているとモスクをよく見かけるが、それ以上に多いのが教会である。
古くからの伝統が続くこの地域にキリスト教が布教していることは何か違和感を感じるが、豚や牛を食べる彼らにとってはむしろイスラム教やヒンドゥー教の方が受け入れ難いものだったのかもしれない。
タナトラジャの中心の街ランテパオ。その街はずれのシンキの丘の上には巨大なキリスト教会が建立され、街を見下ろしている。その姿はまるでリオのコルコバードの丘にあるクリストレイのようである。
高いものがあると登って見たくなるのが旅行者の悲しい性だ。
トラジャ初日、犠牲祭のセレモニーを見学した足で、スクーターを飛ばし、このキリスト教会に行ってみた。
丘の中腹にあるチケット売り場までは何とかスクーターで登ることができたが、ここから3万ルピア(約¥243)を払って階段を昇って頂上の教会を目指す。
しばらく山道を行くと、山頂の教会が見えてきたが、近くで見ると建物の出入り口はタナトラジャ式の船型屋根でしつらえてあり、何とも珍しいスタイルだ。
上:珍しいスタイルの教会。下:丘の上からは美しい田園風景が一望できる
丘の上からは美しいトラジャの田園風景が一望でき、吹き抜ける風が清々しい。
しばし眺望を楽しんだ後、丘を降りチケット売り場に戻る。さてスクーターのエンジンを始動させて帰ろうか、と思って青ざめた。
鍵がない!!!
おかしいゾ。ウエストバックに入れておいたはずのスクーターの鍵がどうしても見つからない。あげくは自分の荷物の端から端まで中身を取り出して探してみてが、どこをどう探してもない。
紛失だ。
たちまち気分が重くなった。オイラは日本でコインロッカーの鍵を無くしたことのある前科者だ。その経験から言うと、鍵をなくすとシリンダーごと取り替えとなるため物凄くお金がかかる。
それにもまして丘の中腹にあるこのバイクをどうやって街のレンタルバイク屋まで持って帰ればいいのだ。
だが最悪の中の最善は、この場所は街中から徒歩圏にあったということだ。
丘を下り、歩いてレンタルバイク屋に向かった。
「お帰り、あら、バイクはどうしたの?」
「実は鍵をなくしまして、、、」
するとバイク屋のおばちゃんは携帯電話でオーナーと話をし始めた。そして
「ここに鍵が7つある。このうちのどれかがあのバイクの鍵よ。全部持っていけばどれかが合うはず。これを持って、バイクを取りにいって。」
というわけで降りてきた道を逆戻りして再度丘の中腹まで歩いて戻った。そして七つの鍵をひとつひとつスクーターに差してエンジンをかけようと試みた。
一つ目の鍵、二つ目の鍵、全然合わない。三つ、四つ、五つ目。アレレまだ合わないぞ。六つ、七つ。ガーン!! 全部の鍵が合わないじゃないか!!
途方に暮れていると教会の入場券売場の兄ちゃんがやって来た。「俺に貸してみろ」と兄ちゃんが試してみると、見事何番目かの鍵がピタッと合った。
助かった!!
礼を言ってバイクに乗りながらも、鍵代がどれぐらい請求されるのか気が気ではなかった。インドネシアで鍵を紛失した場合の相場はいくらなのか?
「また合鍵を作らないといけないから5万ルピア(約¥405)いただくわよ。」
なんだ、5万ルピア(約¥405)でよかったのか。この金額ならビクビクすることはなかった。
ユルくて良かったよ、インドネシアは。
最終更新:2018年09月16日 22:05