【陸路で水路でアンコールを目指せ!!】
第7話)タライでワニを育てる?
《カンボジア旅行記|ポイペト|バッタンバン|シェムリアップ|プレアヴィヒア|》
スラエム村からシェムリアップに戻るに当たっては、宿で乗合タクシーを手配してもらった。行きは15ドルだった運賃が帰りは10ドル。その代わりやって来たのはエアコン無しの車だった。
この辺りの乗合タクシーは宅配業も兼ねており、運転手の携帯に電話が入ると幹線道路から外れて未舗装道を進み、民家に寄っては荷物を積んでいく。そういうわけで朝出発したのにシェムリアップの宿に戻ったのは午後2時前だった。
乗合タクシーは宅配業も兼ねており、民家に寄っては荷物を積んでいく
さて、あと半日どう過ごそうか? この時間から遺跡巡りをしても直ぐに閉館時間だ。すると、
「Daily Activity, Sunset Lotus Field」
と、黒板に書かれた宿主催のサイクリングツアーを発見した。夕方4時発で蓮池で夕陽を見ようというものである。これは丁度良いアクティビティだと思って申込もうとすると、今日は開催されないという。ならば自転車を借りて自力で行ってみよう。くだんの蓮沼はシェムリアップ川に沿って下って行くと自然に辿り着くらしい。
蒸し暑さの漂うシェムリの街を走り抜け、川沿いの道を下って行く。しばらく行くと怪しげな看板が目に飛び込んできた。
「←10m CROCODILE FARM, Big Big!!」
と、ワニ園へ誘うメッセージと下手うまなイラストがオイラにパニックブレーキをかけさせた。
だが辺りを見回すが、雑貨屋が一軒あるのみでワニ園らしきものは見当たらない。まさかこの変哲もない雑貨店の名前が「CROCODILE FARM」というシャレなのか? すると、
「ウェルカム、マイ クロコダイル ファーム!!」
と、雑貨屋の奥から親父が登場した。この店の裏でなんと100匹もワニを飼っているというので、入場料3ドルを払って見学することにした。
「ビー ケアフル」
と注意を受けつつ煉瓦で囲まれた壁の階段を登る。少し大きめの養豚場といった風情の敷地の中には、リアルに巨大なワニたちが日向ぼっこをしていた。時折敷地内の池から鋭い視線をオイラに向ける輩もいる。オイオイ、オイラは美味しくないぞ<こら。
「エサは何を与えているの?」
「魚や鶏だよ。ほら、そこにいるだろ。」
ワニの堀のすぐ外ではエサの鶏が地面を元気に走り回っていた。こんな美味そうな地鶏を毎日食ってるなんて一瞬自分もワニになりたいと思ってしまった。
「あそこの大きいのは繁殖用だ。ワニの子供の輸出がメインビジネスだ。ほら、あそこは生後1年のワニ、こっちは生後1週間さ」
なんと、ワニのブリーダーという職業があるとは知らなかった。
「ほら、ここにも可愛いのがいるだろ」
見ると超ミニサイズの赤ちゃんワニが3匹、タライの中にいた。
「触ってもいい?」と気軽に手を伸ばそうとしたら「ノー!」と血相変えて怒鳴られた。そして事務所の中から輪ゴムを持ち出し、赤ちゃんワニの口をグルグルに縛ってから触らせてくれた。赤ちゃんとは言え噛みつかれたらトンでもないことになっていたのだろう。
そんなファンキーなクロコダイルファームを後に、自転車にまたがり蓮池に向かった。池の周りには東屋が設えており、夕涼みを楽しめるようになっている。カルガモ一家が池の周りを散歩する姿が微笑ましい。
が、ここでカルガモとワニ園のエサの鶏がオーバーラップしてしまった。そしてもしタライのワニが一匹逃げ出し蓮池に住み着いてたらどうなる。カルガモ一家はみな食べられちゃうぞ。
タライでワニ飼うのはやっぱマズいんじゃない?
そう思いつつ夕暮れの蓮池を後にしたオイラであった。
最終更新:2019年09月16日 22:34