【沖縄・本島南部パワスポ巡り】
第5話)時の流れは今でも旧暦
《沖縄旅行記|本島南部|糸満|奥武島|斎場御獄|久高島》
久高島は全長8kmほどの小さな島である。集落の中は徒歩で十分見て回れる小ささだが、その道は複雑に曲がりくねって入り組んでおり、散策していると迷路のように感じるのが面白い。趣ある石畳の通りもあり、また集落の外れには神事を執り行う広場や建物が残り、神々しさを放っていた。
集落の外には自転車を借りて訪れてみた。琉球の創世神が舞い降りたとされるハビャーン岬に向かう途中にも、神職者だけが入れる御嶽(ウタキ)があった。
海岸沿いの小路に寄ると、沖縄の青く透き通った海が広がっている。だが浜辺から数十メートル離れたあたりに茶色い帯状のものが浮遊していた。今沖縄を苦しめている軽石である。
自分が訪れる2週間ほど前、軽石が大量に港に入り込み久高島はフェリーが運行できなくなり、一時孤島と化した。幸い今はある程度除去が進み、船の往来はできるようになったが、軽石は沖縄本島北部の方に移動し、そちらでは今も深刻な被害が続いていると言う。
ハビャーン岬に向かう道(上)と 軽石が漂う海(下)
そんな日高島の集落で島民向けの掲示板を見つけた。そこにはインフルエンザの接種予定日の予告が張られていたが…
新暦 11月16日(火)
新暦 11月24日(水)
新暦 12月07日(火)
新暦 12月15日(水)
と、しつこいくらい「新暦」と書かれていた。えっ、ということは? まさかっ、この島では何も言わなければ「旧暦」で時が動いているってことじゃないか!!
さすが神の島である。伝統的なライフスタイルをそう簡単に手放すものかという意気込みを感じるゾ。あっぱれ~!!
このようなトラディショナルな島であるから、島内の支払いで使えるのは基本的に現金のみだ。電子マネーって何? スマホ決済って何? という世界である。
だが唯一▲▲Payが使えるところがあった。久高島から本島に戻る際、フェリーの切符売り場前に「▲▲Pay使えます」と、大きくのぼりが立っていた。通常Payを使えば何パーセントがポイント還元されるので、試しにどんなものがPay払いできるのかと周りを見回すと、声を掛けられた。
「入島協力金のご協力をお願いしま~す」
声の主はおばちゃん、否、入島協力金PRのキャンペーンガール(50代)であった。その背後には何名もの関係者がたたずみ、無言で募金を呼びかけられた。
島の歴史・文化を後世に残すため、任意の入島料徴収を開始し始めたのだった。そして伝統を守るためには、伝統に背いてDXを導入。島で使える唯一のPayとは、入島協力金の支払いであった。神の島の伝統を保つのにもデジタルの力が必要なのだ。
無論オイラもPayで入島協力金を支払ったが、流石にその利用履歴の日付は新暦であった。そしてその時、島では現金しか使えない理由が分かった。
電子マネーやPayだと、履歴が旧暦で残らないからだ!!
この島がキャッシュレスとなる日はかなり先になるのだろうな、と思いながら神の島を後にしたオイラであった。
最終更新:2022年01月02日 22:51