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MEIDEAの改修4」を以下のとおり復元します。
<p> </p>
<h3 align="center"><font color="#000080"><strong>巣立ちの空</strong></font></h3>
<p align="center"><font color="#666699"><font color="#993366" size="2">●妃烏に託くす想い</font></font></p>
<hr /><p><font size="3"> </font><font color="#808080">/*/<br /><br />
理想論としての存在だった燕姫を、<br />
リアルという観点で見直したら、色んな事が見えてきた。<br />
あの人と、仲間と作った娘が急に大人になった気がして寂しいけれど<br />
だけどそれがリアル<br />
私たちは戦争と動乱のNWを生きているのを忘れてはいけない。<br /><br />
/*/<br /><br /><font color="#333333">「なんか凄い事になってますね…。」<br /></font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">技術研究所の一室で、レンジャー連邦に2人しかいないエンジニアの片割れへと差し入れのコーヒーを渡しながら、一人の大柄なフィクションノートの青年が呟いた。<br />
コーヒーを渡した相手、彼女…むつきが作業の為に借りた部屋は、研究者が寝泊まりする用に作られた簡素な作りなもので、朝日の入る窓際に置かれたデスクの他には、衣類を仕舞う小さなクローゼットだけという簡素な作りである。<br />
そんな所で毎日作業をしていたものだから、徐々に増えていく資料と素材サンプルがデスクの上だけでは間に合わず、備え付けのベッドの上をも占領しているという状態に、彼は思わず顔をしかめた。</font></font></p>
<p><font color="#808080"><font color="#333333">「体に良くないですよ、ちゃんと寝て下さい。」<br />
「あー、ありがとう真さん。一応寝てる、というか気づいたら寝て…ゲフンゲフン」<br /></font></font><font color="#808080"><font color="#333333">双樹の小言に、一つにまとめられた銀の髪を誤魔化す様にかきかき、えへーと彼女は笑う。<br />
良く見るとデスクに突っ伏していたのだろう額の辺りが赤く、それに気付いた青年は肩を落とした後、<br /></font></font><font color="#808080"><font color="#333333">「寝落ちしてるだけじゃないですかー!」<br /></font></font><font color="#808080"><font color="#333333">と拳を握り声を上げた。<br /></font></font><font color="#808080"><font color="#333333">「あはは、…でもまあ今日はちゃんと寝るよ、改修プランが出来上がったんだ」<br /></font></font><font color="#808080"><font color="#333333">むつきはけろりと返事を返すと、ノートパソコンに繋がれたプリンターの出力用トレイに出された紙の束を取り、データを納めたCD-Rと共にファイルケースへと丁寧に入れた。<br /></font></font><font color="#808080"><font color="#333333">「あ、じゃあベットの上片すの手伝いますよ」</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">青年…いや改修に関して彼女の手伝いをする事が決まっていた双樹真は、そう言いながら働き過ぎの仲間の為に笑顔で腕をまくり、ダンボールで塞がったベットを開けようと体の向きを変える。<br /></font></font><font color="#808080"><font color="#333333">「いやいや、向こうで宿でも取るし」<br />
「へ?」</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">が、背後で彼女の立ち上がる気配とその言葉に固まり、ぎぎぎと首だけを彼女の方に向けた。<br />
昨日用意したのだろうか、小さな旅行カバンに、図面や必要なサンプルが詰まったケース、そしてプランの納められたファイルケースをカバンに突っ込んでいるのが見え、彼は口を開けたまま目を点にする。</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">「え、あ、むつきさん!?」<br />
「ちょっと、無名騎士藩国と、宰相府に行ってくるね☆」</font></font></p>
<p><font color="#808080"><font color="#333333">前に…ちょっとそのへん散歩してきまーす、と言った時と同じ口調だった。</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">「はい、っていやいやそんなに急がなくても、一休みしてから…。」</font></font></p>
<p><font color="#808080"><font color="#333333">双樹は普通の反応として、このところ働き詰めの彼女を心配して言うのだが、技術屋の彼女にはその常識は通じない。</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">「GENZ王忙しい方だから会える時にお話聞いておきたいし、宰相府にはうちの人が良くしてもらった整備士長さん達がいるんだ。」<br />
「はい…」<br />
「今回、前の様な摂政と夫からのサポートが無いから、私が独自で動く事になるのね、」</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">もちろん逐一藩王と摂政に報告しながらだけど、と繋げてむつきは微笑んだ。</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">「私、エンジニアとして一人立ちしないと駄目なんだけど、まだまだ勉強が足りなくてね…。」<br />
「はい……」<br />
「だから、勉強がてらこのプランも見てもらう。」</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">しょぼしょぼとなる彼と対照的に、純粋に喜び楽しそうなむつき。<br />
滅亡寸前からの復興に追われながらも、鋼の王とその仲間達のメカへかける情熱と造詣の深さを彼女は尊敬していたし。航空機にかけて先端を行く宰相府で、その技術を学ぶ事は彼女に取ってとても良い機会になるからだ。<br />
これは以前なら出来なかった事であったが、現在整備士達の全国を上げた技術向上が行われ、国境の無い交流を推奨している事を幸いとばかりの行動であるが、非常に有益な事なので青年が止める理由も無く…</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">「ええと、気を付けてくださいねー…」</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">双樹はやっとそれだけなんとか言い、だったらせめて彼女の荷物を空港まで運ぼうと顔を上げると、資料を収めたカバンをむつきの手から取って、ため息つきつき先を歩き出したのだった。<br /></font><br />
/*/<br /><br />
立ち上る火葬の煙を見たあの日、大切なものと引き換えに、<br />
ようやくNWの地に両の足が着いた気がした。<br />
私に足りなかったものってなんだろう?<br />
本当に守りたいものは何だったのだろう?<br />
私は独り考える。<br /><br />
/*/</font></p>
<p><br /><font color="#808080"><font color="#333333">「GENZ王、ラスターチカの改修で望む事ってありますか?」</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">無名騎士藩国の王城、謁見の間らしき部屋に通されたむつきは、お土産の菓子折を渡して、挨拶を済ませた後に示されたテーブル席に着くなり開口一番そう言った。<br />
下手な変化球は持っていないので、直球である。<br />
度重なる共和国と自国の爆発に、ターバンを巻いた下にある王のその顔は、たいそう疲れを滲ませてはいたが、彼女のその言葉に目を輝かせ身を乗り出した。</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">「攻撃力ですね。対空の能力に問題はないので近~遠の何らかの攻撃力。」</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">普段は大統領の元ARパズルやら試算などに頭を悩ませ、戦術に関る事を彼の友人達と共にやっているが、本来はメカを愛する技術屋の魂を持つ男であり、ありがたい事に燕姫を好いてくれている一人でもあった。</font></font></p>
<p> <font color="#808080"><font color="#333333">「あとはエンジンのチューンとかですかねえ…エンジン強くなれば、その分をあらゆる性能向上にまわせるので、エンジンが最重要です。」<br />
「エンジンは大事ですからね、後はどうでしょう…」<br />
「他は…そうですね…」</font></font></p>
<p><font color="#808080"><font color="#333333">がりがりと次から次へと摂政が出して来る自国と共和国の仕事をやりながら、バージョンアップするラスターチカの事を楽しそうに話す彼の様子にむつきは微笑んだ。<br />
このお礼は自分がこの国の大学で航空機関連の技術自動を行う事でしっかり返そうと思いながら、ファイルケースから持ってきた図面とプラン、素材サンプルを幅広のテーブルに広げると、本格的に話し込む事にする。<br />
そうして足りない部分を話し合いで埋めながら、これでおおよそいけるだろうという所まで持って行った所で、鋼の王とむつきの長い謁見は終ったのだった。<br />
王城の外に出て西の空を見れば茜さす夕暮れ時になっていて、振り向くとひっそりとした夜の帳が徐々に街へと降り、街灯が徐々に灯り始める。<br />
午前中にレンジャー連邦の空港を出て、王と謁見できたのは午後のお茶の時間ごろ。それからずっと話し込んでいたのかとむつきは苦笑いながら王城の門を潜り、外は物騒だからと付けてくれた寡黙な護衛と共に、むつきは宿泊先へと向かう道を歩く。</font></font></p>
<p> </p>
<p><font color="#808080"><font color="#333333">パイロット達の命を乗せるのは 人が生み出した鋼のとり<br />
巨大なエンジンが生み出す膨大なエネルギーと<br />
緻密な計算で作り上げられたパーツの一つ一つが<br />
ひとを地へとどめようとする重力を振り切り 宙へとふわり舞い上がる<br />
それは一つの奇跡、むつきはそう思いながら、又上を見上げた。</font></font></p>
<p><font color="#808080"><font color="#333333">「綺麗だなあー」</font></font></p>
<p><font color="#808080"><font color="#333333">赤い、赤い夕焼けの空…あの人もこの空を見ているのだろうか…。</font></font></p>
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<p><font color="#808080"><font color="#333333">/*/</font></font></p>
<p> </p>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;"><font color="#999999">この空の下には大切なものがたくさんあって</font></span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;"><font color="#999999">全部をこの手ですくい上げる事はかなわないことだった</font></span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;"><font color="#999999">だけど何もできない訳じゃない</font></span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;"><font color="#999999">私は風を切り飛ぶ鋼の翼に想いを託し</font></span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;"><font color="#999999">愛する人の命と 大切な人達の笑顔を守ろう…そう思った</font></span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"> </font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333">/*/</font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"> </font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">「元が小型機なので、結構厳しい、と?」</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">「はい」</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">宰相府空軍空港の整備士長は、久々にやってきたドラケンの妻の来訪に、仕事を部下に押し付…託して人の出払った詰所にやってきて、彼女が持ってきた手土産を早くももぐもぐさせながら、渡された図面をしげしげと眺めていた。</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">「確かにラスターチカは宇宙機としては小型ですからな」</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">「エンジン部分に関して、小型化して搭載兵器スペースを確保したかったけど…」</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">むつきは肩を竦める。</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">「そうすると燃費が悪くなって航続距離が落ちてしまい、かえって性能が落ちてしまうんですよね」</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">彼女もお菓子を手に取るともぐもぐ…。</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">(ちなみにレンジャー連邦特産のオレンジと干しナツメの入りの焼き菓子である)</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">「ですな」</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">整備士長はそう言って頷いた後、コーヒーを口に含んだ。</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">「まあ、こうして整備士同士の交流が盛んな今、航空機に明るいこちらで勉強させていただく事が出来るのですから、幸いですよね」</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">むつきはそう言うと強い日差しが入る窓の外へ視線を向ける。</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">この空港は砂漠の中にあるので、遥か先まで白い砂の世界が続くのが見えた。</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">「熱心ですね」</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">「…守りたいものがありますから」</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;"><font color="#808080"><font color="#333333"><span style="font-size:10pt;">整備士長も視線を窓の方へと動かす、彼もまた何かを守るために生きているひとの一人だろう。</span></font></font></div>
<div style="margin:0mm 0mm 0pt;">
<p><font color="#808080"><font color="#333333"> <br />
/*/</font></font></p>
<p><font color="#808080"><font color="#333333"> </font></font></p>
</div>
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