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【前回までのあらすじ】

今日はレンジャー連邦の仮想飛行士・猫士合同訓練日。最下位にはにゃんにゃんタワーの整備当番が賭けられた早朝からの本島一周サバイバルレースは、舞踏子・護民官らアイドレス住民の仕掛けたものだった。さらには、審判役として偶然抽選されたはずのマグノリアまで、彼らの協力をしていて…?

 * * *

~第四区画・東都―西都コース後半 判定使用値:走力(AB混合)~

 * * *

数時間前には、参加者同士の賭けまでされるほど和気藹々と活力に溢れながら通ったにゃーロード上を、12組のペアたちは疲労と衝撃により混乱した頭で横断していった。

喉が、カラい。水分が欲しい。肌がべたべたする、唇が痛い。

補給の失敗による痛手が彼らを蝕んでおり、それをまた、じわじわと傾きつつあるものの、一向に容赦することのない日差しを浴びせ続ける太陽が、消耗させていた。

「ううう…」
「すみません、マーブル様。私がついていながら…!」

絆ポイントが発動し、うまいこと食べ物系のトラップには引っかかることなく、どん底のビリに落ちることは回避したものの、魔性・納豆テーピングの罠にあえなくかかってしまいタイムロスをした愛佳・マーブルペア。ご丁寧に練りこまれていた醤油とカラシのにおいが無駄に食欲をそそって腹が立った。

「あの国民たち、よくも…捕まえたらただじゃおきませんわ!!」

ぐ、と復讐を誓う愛佳。

また、マグノリアの裏切り(?)の余波も、確実に彼らの間に浸透しており、ペア同士の歯車も、微妙に狂い始めていた……

その影響を一番に受けたのは、なんと安定していて乱れることがないかと思われていた、ドラン・じにあペアだった。

「わぷ!?」
「あ、すまない…」
「う、ううん…いいんです、気にしないで」

流砂を避けようとして何気なくじにあをリードしようとしたドランと、自分で既にそれを避けようとしていたじにあの動きが引っ張り合って、ばたんと2人で転倒してしまう。

補給ポイント以降にフラグが立った、絆ポイントの逆発動ルールが早くも炸裂したのである。ダイス目だけで言えば安定してここも切り抜けるはずだったのが、大きな痛手をこうむってしまった。

一方、ついに溜まっていた絆ポイントの発動で、大逆転へとスパートをかけるものたちもいた。

「じにあ、何すっころんでるんだよ?」
「く、楠瀬…!」
「ようやく」
「俺たちの」
「「出番だな!!」」

護民官コンビ、虹ノ・楠瀬ペアが、2人を猛然と追い抜いていく。一気に位置関係が大きく逆転した。がっきーんと素晴らしい二人三脚で2人は最短ルートを直進し、なんと後退していく小奴・夜星ペアまで抜き去って、蝶子・山下ペアの背中を捉えることに成功した。

「アディオース、小奴さん!!
やっとここまで来ましたよー藩王!!」
「山下さん、悪いけど次でもらった!!」
「わーん!?」
「ひー!?」

びしいっ!と2人で前後を指差し、勢いに乗る。長く低迷したところでやっと得たチャンスであった。

それにも増して強烈なのは加速が止まらぬサク・マキアートペア。

「そういえばー、罰ゲームはあるけど優勝商品とかはないのかなー?」
「いいや、そんなもの君にはもったいない」
「もー、ツンツンしちゃってー…さっきはありがとう?」
「…ふん」

補給失敗の不利もダイス運で吹き飛ばし、首位をひた走る。

上位戦線が、この機会に一気に崩れていた。

「ミサゴさん、青海さん、ハニーくん、にゃふにゃふくん、悪いがアデュー!! だ!!」
「♪♪」

華一郎・ジョニ子ペアも、苦戦しているこれまでの二強をよそに、元気一杯、二位へと踊り出た。

「く…ここは呉越同舟、共闘すまいか、ミサゴ女史?」
「いーえ、死んでもここから先は抜かせませんっ!」

真っ赤に腫れた口を抑えながら走るミサゴ、その後ろを、これもやっぱりどこかぎこちない関節の動きで走る青海。

風雲急を告げると同時に、レースは混戦模様となりつつあった。

あ、ちなみに最下位争いはというと、

「ば、バニーボーイはいやだー!?」
「ははははは、バニーボーイ姿でにゃんにゃんタワーの整備、きっと楽しそうでござるな、双樹殿!」
「きっと似合うよー?」
「あーんハニー様ー、待ってー」

このようになっていた。

「……」

ヒスイがその物憂げなまなざしで、西部砂漠の向こうに広がる突然の緑を捉える。

いよいよ西都大学、第三のチェックポイントだ。

果たしていかなる難問が彼らを待ち受けているのか…

 * * *

~第三チェックポイント 判定使用値:危険な書類(外見・知識・幸運/3)~

 * * *

うぞうぞうぞ…温室の中で蔓がうごめく。

『書類仕事はどのアイドレスでもある程度は避けられないもの、それを実戦さながらの緊張状態のもとでどれだけこなせるか? 第三のチェックポイントは、あちら! だそうですー』

マグノリアがえらい遠くから拡声器を使って全員にそうアナウンスした。

「あちらだそうです、って言われても…」
「こ、これは…学名カカリアス・ニャ・チョコレウス、通称生きカカオ!
 馬鹿な…人工栽培なんてできないはずじゃ…!?」
「大方接木でもして実験していたんだろうさ…幸い牙や足はないようだけど、あれに絡まれると厄介だね」
「…(そういえば、ホワイトデーのお返しどうしよう。ええと、また交換するのかな? わー…)」

人々が物思いに耽っている中、じゃきんとどこからともなく武装を取り出し構える2人の男たちがいた。

「行くぜ、フェ猫殿ぐぇ」
「承知にござる、青海殿ぐぇ」
「はいはい、2人とも今回はペアじゃないでしょう」

ずるずるーと浅葱に真後ろから襟首を引っ張られ、勇敢に構えた男たちが潰れた蛙のような音を立てて引きずられていった。

「書類仕事なら、俺たちの得意分野なんだが…」
「び、微妙だなあ…」

顔を見合わせた虹ノ・楠瀬ペア。護民官には高い事務処理能力が備わっているものの、これをその範疇に含めていいのかどうか、迷う。

「マグノリアさーん、これ、どうやって判定するのー?」

豊国がかなーり遠くの方に退避しているマグノリアへと声を張り上げて質問する。

ぴぴー、がー。拡声器の音割れ。

『外見と、知識と、幸運って書いてありますけど』
「外見って…」
「おいしそうなもの順とかかしら」
「知識…は、そりゃ、いるかいらないかで言ったら、必要だろうけどなあ」
『刺激すると危ないので慎重にいってくださいー』

うごめく蔓の植物の、真下にテーブルとパイプ椅子が並べられており、前には書類の束が置かれている。座ったら、ちょうど蔦が届くか届かないか、ぎりぎりのラインだろう。

「と、とにかくやってみるか」

誰の声かはわからないが、その声を契機に、そろそろと全員近寄りだす。

 * * *

「いち抜けたーっ!!」
「蝶子さん、またあとで!!
 …いっくぞー、サクさん、マキアート、待ってろよー!!」

結果から言えば、護民官シフトが二重にかかった虹ノ・楠瀬ペアがここも突っ切った。一方一位のサク&マキアートコンビは、

「○村ー、うしろー!」
「なんだ○村ってそっちの世界のネタかってうわあ!!」

絆ポイントのバックファイアを受けていた。プラス発動とあわせてこれで計三回、小刻みに発動している、よくもわるくも仲のよいペアである。

「くー、リードが伸ばせなかったのが痛い」
「気を落とすな…僕も、悪かった」

と、ツン→デレシフトを微妙に起こしつつ、いち早く温室から飛び出し、最後のゴールへと向かって走り出す。あとはもう、ありったけの力で走るだけだ。

惨劇は連発する。

「は、ハニーくーん!!」
「青海さん、僕のことはいいですから書類を先に!」
「ああしかしこの蔦のうねり具合実にイカナチック…」
「助けるんじゃないんですか!?」

ここで一気に青海・ハニーペアが後退。溜めに溜めていた絆ポイントがまさかの形で消費され、優勝がほぼなくなってしまった。

快調に順位を上げていた華一郎・ジョニ子ペアにも悲劇は起きた。

「とう! とう! ちょわー!」
「わー、華一郎さん」
「俺のことは構わず書類を先にやっつけてくれジョニ子ちゃんていうか何気に君それ音符マーク以外の初ゼリフ!?」

こちらも大・クラッシュである。

「あははようこそこっち側の世界へ、城さーん」
「笑っている場合か双樹くん、君なんてどん底の最下位じゃないか」
「うわーんそうなんですよー!」
「ダイスの神様は君のバニー姿を求めているのだよ、諦めたまえ!」
「そんなのいやですよー!」

純粋にダイスに嫌われマイナスが蓄積する双樹・ヒスイペア。この2つの組の順位争いは、これでどうやら決着したように思われた。

「なんとかここまで持ち直しましたね!」
「ああ、上位入賞を目指してラストスパートだ」

技と絆ポイントを温存し、一時はマイナスまで落ちこんでいたのを、ついにここまで持ち直した豊国・アスカロンペアも、書類を出口に立っているマグノリアへと提出すると、走り出す。

「チームワーク、チームワーク…ここまで来たらあとは完走するだけだよ、山下さん!」
「はい、藩王ペアの面目を保つためにもがんばります!」
「大分先頭に差をつけられちゃったね」
「ええ…でも、青海さんたちよりは前にいますから」
「うん…絶対に、勝つよ!」
「…(ミ、ミサゴさんの瞳が燃えている…)」
「わーいミサゴさんのすぐ近くー」
「小奴さん、最後気を抜かずに行くにゃ!」

人々は、この強敵を突破したことで、一時的に雑念を振り払うことに成功し、続々とゴールへ向けて邁進した。

 * * *

ぱたん。

最後のペアが飛び出していったあと、マグノリアは書類の出来を確かめると、頷いて、外に待機させてあるジープへ急いだ。

そこには新しい人影。

 * * *

「あとはひたすら走るだけ、か…」
「気にくわない?」
「ううん。やっぱり、さすがだわ」
「なんだかんだで標準タイムより遅れているのはたった三組だしね。それも、トータルのプラスに比べればないようなものだし」
「認めざるをえない、か…こちらGポイント、最後の詰めよ、よろしくね」

ざざー。

『こちらHポイント、了解した。客人は来たかい?』
「ええ、たった今」
『そうか…』

ふ、と通信機の向こうで笑う気配。

『お疲れ、もう遅い、気をつけて合流地点に向かってくれよ』
「ありがとう…それじゃ」

ぶつん。

 * * *

~第五区画・西都―藩都コース 判定使用値:走力(AB混合)~

 * * *

街道に出ると、そこはもうすっかり暗闇であった。砂漠と海の冷たい風が吹きつけて、彼らの体を冷やしていく。

はっ、はっ、はっ……

無心に走る、呼吸音が響く。

街道を行き交うものもない。

ここまで成功を繰り返し、絆を育てあってきたパートナー同士に、もはや焦りによる意思の疎通のミスもなかった。

波乱は、終わりだ。

あとはすべての力をこめて、その両足で、ゴールに向かって走りぬくだけだった。

長い一日が、終わろうとしていた。

 * * *

「おつかれさまでしたー!」

マグノリアが出迎える。その横には、もはや姿を隠すこともない、アイドレス世界の住人たちによる舞踏子や護民官たちが、ずらり。さらには一人、そこから少し離れたところで、見慣れぬ風体の姿の男が佇んでいる。

ファンファーレが鳴った。ずんちゃずんちゃずんちゃずんちゃと、耳慣れたガンオケの試験結果発表BGMがかかる。舞踏子らによる合奏団の生演奏だ。

ぱっ!! と、国立大学第一グラウンドがライトアップされた。

「今日はたまたま運が悪かった人も、拡張アイドレス数の差で不利だった人も、そうでなかった人たちも、みなさん本当にお疲れ様でした。それでは結果発表を行いたいと思います、呼ばれたペアの方々は表彰台までいらしてください」

全員くたくたなものの、それを聞くと、しゃんと立ち上がって、自分が呼ばれるのを待った。

「第12位…双樹さん・ヒスイさんペア!」

じゃーん! と楽器が鳴らされる。

「ば、バニーボーイでにゃんにゃんタワー…」

表彰状を手渡されながら、がっくりうなだれて降りていく双樹。その肩をそっと叩くヒスイ。拍手と共に起こる笑い声、ドンマイのかけ声の数々。力なく双樹はそれに笑って応えた。

「続いて第11位…愛佳ちゃん・マーブルちゃんペア!」

無念ですわ…!と、小さな体で、それでもふらりともよろけてみせずに、愛佳が表彰状を受け取る。マーブルが拍手するみんなに愛想よくにっこりと手を振って見せた。

「第10位…浅葱さん・ビッテンフェ猫さんペア!」
「途中から張りついたように順位が動かなかったでござるなあ」
「ダイス運、ダイス運!」

わー、と盛大な拍手。

「第9位、青海さん・ハニーくんペア!」

おおおーと予想外の順位にどよめきが上がる。前半戦の覇者、まさかの展開であった。

「不覚…!」
「最初から飛ばしすぎたんですよ、きっと」

慰めるハニー。音楽に乗って、次々と名前が呼び出されていく。

「第8位、ドランくん・じにあちゃんペア!」
「うまくタイミングに乗り切れなかったか…」
「今日は一日、ありがとうね」
「…いや、こちらこそ、です」

ぎゅ、と壇上で固く握手を交わす猫士2人。

「第7位、城さん・ジョニ子ちゃんペア!」
「ま、今回は有利なアイドレス使っての勝利だからなあ…バニー姿は免除してやるよ、双樹くん」
「ほ、ほんとですか!?」
「かわりにロングドレスにしたまえ、そっちのが露出度も少なくてよかろう」
「あんまりかわってないしー!?」
「♪」

楽しそうに演奏にあわせて歌うジョニ子の笑顔が、きらきらといい汗で綺麗。

ここからどどどどどどど、と、ドラムロールで演奏が一層盛り上げるように変えられる。

「第6位……アスカロンさん・豊国さんペアー!」「Aクラス入りは果たしたって感じかな?」
「可もなく不可もなく…次は鍛えなおしてくるとします」

手を振りながら降りていく。

「第、5位!
 小奴さん・夜星くんペアー!」

降りてきた二人と入れ違いながら、こちらも手を振って登壇してくる。

「安定したペース配分がよかったのにゃ」

神妙そうに頷く夜星。

「みんなー、ありがとー!」

手を振る小奴。

「第、4位!
 ミサゴさん・にゃふにゃふくんペアー!」

おおー、とどよめきが立った。こちらは青海・ハニーペアとは違い、最後まで上位陣に見事残りきったのだ。

「正義は勝つ! …です、はい」
「はー、つかれたー…(ふにゃ)」

下にいる青海・ビッテンフェ猫らと図らずもポーズの決めあいになり、どっと笑い声が巻き起こった。

だららららららららららら……

ドラムロールが高まり、ライトもくるくると明滅しながら回されていく。いよいよ入賞者たちの発表だ。

「第、3位は…」

じゃん!

「驚異の追い上げ、虹ノさん・楠瀬さんペアー!」

わー…!!!

これまでにも増して、一層の拍手が巻き起こる。2人とも嬉しそうに応えながら壇上へと登っていった。

「同じアイドレス同士のチームワークの勝利でした、はい」
「一言、やったぜ!!」

一日を通しての激しいレースで、一層の絆を深め合った面々は、心からの拍手を2人へと送っていた。

降りていく途中にも、拍手が鳴り止まない。大勢の観客がいるわけでも、大勢の手が叩いているわけでもなかったが、その拍手の数と力強さは、それだけで2人の胸に響いていた。

やがてその拍手も2人がもと立っていた場所まで戻ると、やんでいく。

再び始まるドラムロール。

「第、2位の発表です……」

マグノリアが、手元の紙をじっと見つめて溜めを作った。

ドラムロールが長い……そうだ、これが発表されれば第1位も自動的に決定するんだ。

みな、それに気付くと、じ…っと最後に残った二組のペアを注視した。

どっちだ。どっちが優勝した……

「第、2位……

 サクさんマキアートくんペアそして栄光の第1位は、蝶子さん山下さんペアーです、おめでとうー!」

わあっ……!

ぱぱらぱー!

ファンファーレが鳴り響き、二組のペアのそれぞれにスポットライトが当てられる。

「第一回レンジャー連邦サバイバルレース大会において、優秀な成績を収めたことを、ここに表します。第七世界時間72207002」
「ありがとうございます…うーん、惜しかったなー!」
「よくやったさ、僕たちは」
「うん、サクさんもマキアートくんもすごいよ!
 サクさんなんて、まだここに来て間もないのに、もうそんなにマキアートくんと馴染んで…!」
「です、ね…!
 2人ともおめでとうございます!」
「いやー、藩王には勝てませんでしたよ、さすがです」
「いやいや出来すぎだから、ほんと」

どっ、と、狭い壇上にひしめいて固く握手をそれぞれ交し合う、ヤガミファンの2人の仮想飛行士を見て、みなが笑った。

「さて…」

表彰状を受け取り、ひとしきり拍手が鳴り終えると、蝶子たちは壇から降りずに、マグノリアと、舞踏子たち合奏団の方を改めて向き直った。

しん…とする会場。緊張にも似た空気が走る。

と、蝶子が、見慣れぬ人影の方をもう一度見た。その姿を見て、目を細める。

ちょい、ちょい。摂政ミサゴを手で呼んで、人影の方にやった。その動きにあわせ、いそいそ壇を下りていく山下、サク、マキアート。

何事だろう…と見守るほとんどの仮想飛行士と猫士たちの前に、一人の青年が出された。

「これにてフィクショノートの実力証明は終わり…って、ところかな?」

ぴ、と、マグノリアの方を振り返ると、はにかんで彼女もうなずいた。

「アイドレス世界の人たちの壁になれるのは、フィクショノートだけで、その逆も、やっぱり同じだから、テストをするなら、お互いに実施しないと不公平だもんね」
「わかってましたか、藩王」

にこ、と舞踏子の一人が歩み出て笑う。

「ついでに新しく入国してきたフィクショノートの方もいらしたので、その方のための、全員の紹介も兼ねちゃいました」
「なるほど…ミサゴちゃん?」
「はい」

謎の青年とひそひそ会話を交わしていたミサゴが、改めて前に出て、紹介する。

「冴木悠さん、私たちの新しい仲間です」
「まだ、右も左もわからない初心者ですけど、みなさん、どうかよろしくお願いします」

あっ! と双樹が驚いた。

「悠さんじゃないですか、うわー!」
「双樹さん、その節はどうも」

冴木が照れくさそうに笑う。ミサゴがびっくりして聞き返した。

「双樹さん、お知り合いで?」
「はい、この間偶然…そっか、レンジャー連邦に来てくれたんですね、うれしいなあ…!」

わいわいと、予想だにせぬ和やかな展開にくつろぎはじめる一同。やっと長い一日が終わった…と、くたびれ果てた体を伸ばして、夜空を見上げた。

今日も、よく、晴れている。冷え込みも、これだけ人が集まっていれば、今は気にならなかった。

ぱん!

柏手が一つ、そのくつろぎの中で破裂した。

みんなが振り返る。

さきほどの舞踏子が、にっこり笑ってライトの中に立っていた。

「さあ、フィクショノートのみなさん、長いレースおつかれさまでした…これから最後の課題として、組んでいたペア同士で対決してもらいます。

 一対一、時間無制限、参ったなし、審判の判断のみで決着がくだされます。一番手は最初にゴールした藩王ペアから、時間は15分後、場所は体育館。一組ずつやりますから、呼ばれた順に入ってきてください。準備をよろしくお願いしますね」

長い一日は、まだ、終わらない―――

 * * *

Congratulations!!

NEXT STAGE IS COMING SOON!!

サバイバルレース大会編・完

to

レンジャー訓練記・対決編へ

 * * *

-The undersigned:Joker as a Liar:城 華一郎