【-知 キョウチョウリョク 識-】

アイドレスは数がものを言うゲームである。具体的に言えば、人の数が。それはつまり人間の本領ともいうべき能力の発揮状況であり、数いる人を使いこなすことこそ真の最強であるとは、ん、はて、どこで見た文言だったかな。

とにもかくにも、この小笠原の地にひょっとしていたら来ていたかも知れない善行は、その意味で青の厚志とはまた違った種類の最強だろうと、彼は考えていた。それゆえかつて、彼の元に違うPCで馳せ参じた経緯もあった。その時には苦杯を舐めさせられたが、今は違う。Aマホではない。これは、アイドレスなのだ。

「さーて、こいつの正体をどう判じたものか……」

眼前にでんと控えるものを前に、雁首並べて知恵を寄せ合う。人の数こそ最強といえば、学問、つまり知識ほどその本分であるところのものはそうはないと思っているのが、この男であった。それゆえの、パーティーでの偏った食事メニューのチョイス。

(ドラゴンステーキは、まあ、なんだ、その、なかなかユニークな味ではあったがな…)

そのパーティーの席で互いに近いところで談笑していたメンバーが、今ここに揃っているメンバーそのまま。

(連携するには文句なし、条件ばっちり、あとはほら、こんな時のための…!)

と、携行してきた糧食のチョコレートバーをみんなにまわす。

べり、もしゃ、もしゃ、ごくん。

うむ、やはり甘いものを食べると頭の働きがよく冴える。手渡す時のささやかなコミュニケーションでリラックスもしたし、また少し打ち解けた感じになれた。人間やはり積み重ねが大事だなあ。

それにしても……

「うーむ、こいつはなんじゃらほい」

わんにゃん合同の、吏族という情報者たちが、ずらり知識を出し合えば、なに、誰か一人は何かつながる情報を知っているだろう。足がかりさえあればあとは一気。

糖分が、脳に回り始めた。

―The undersigned:Joker as a Liar:城 華一郎

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最終更新:2007年04月13日 17:03