【-隠 イタズラゴコロ 蔽-】
子供の頃にやったあれ、なんて名前の遊びだったかな……
身を潜めているにも関わらず、そんなことを熱心に考えていた。その、熱くなった心が、そう、心なし、確かに浮き立っているのを感じる。
これはゲームだ。確かに、ミスれば仲間に迷惑がかかる。自分たちだけじゃない、もっといっぱいの人が悲しむ結果になるかもしれない。でも、そういう遊び、確か、もっと昔にやってたろう。もっと、ずっと、シンプルな形で。
腕に三色の、色違いの布をそれぞれ巻いて、陣営を分かれて三すくみで相手をタッチして捕まえたり、掴まってる仲間がずらーっと長く手を伸ばしている、そのどこかにタッチさえすれば解放できる、そんなゲーム。
あれは、楽しかったなあ…ぼろぼろの泥んこの傷だらけになるまで遊んだ。
遊びには、情熱が必要だ。子供の頃にはそれが確かにあった。相手の思考をぎりぎりまで読んで裏をかこうという情熱が。
かくれんぼ。ドロケイ。秘密基地。
これは、ゲームで。
これが、ゲームだ。
命がけのスリルが集中力を高める。緊張という名の重たい鎖を踏みしだいて砕き、あっさり胸の高鳴りが自分の力を最大限まで引っ張り出す。
そうだ、これがゲームだ。
鬼をびっくりさせて悔しがらせてやろう。今の俺は昔と違うぜ、子供の頃よりずっと知識も蓄えて、どうすればより巧妙に隠れられるか、よっくわかってる。
楽しまなきゃ!
笑えよ。
笑って、勝て!
魂のタービンにニトロが注ぎ込まれる。興奮と裏腹に、ぴたりと身は潜め続ける。
感情と、肉体とで、違うことをやっちゃ駄目?
違う!
異なるもの同士を上手に束ねてこそ強いんだ!
頭はクールに、拳は熱く、そんな有名な格言もあったろう。
人間も、違うひと同士だからこそ、束ねられると強いんだ!
仲間を、信じろ。
今の自分と対成す補う相手が、きっといる。
だから、今は。
『遊ぼうぜ』
―The undersigned:Joker as a Liar:城 華一郎
最終更新:2007年04月13日 17:41