【-知 コウジョウシン 識-】
知性とは人間性を磨くもっともポピュラーな手法であるという。その線で言えば、俺は、人間性を磨きたいかどうかは別として、磨かれるという部分のみに着目し、より知性的でありたいと常に願う。
なんだかわからんものが目の前にある。なんだかわからんままにしておきたくない。そしてなにより、なんだかわからんものが、自分や、人にとって、なんだかわかった時、わからせることができた時の、あの、喜び。
伊達に組み合わせ標準の7.5倍もの知識力を求めたわけではないのだ。このために支払った代償は、まあ、高くはないが、安くもなかったことだけは確かだ。
上へ、上へ、ただひたすら、そこにたどりついたら何があるのかを考えず、上へ。
向上心。と、いうには若い。
てぐすね引いてこの時を待っていた。自分の力を活かせる瞬間を。自分の力を発揮できる瞬間を。
めらめらと、こいつが何ものであるか、識別せんとし、識域内に収めんとする情動の湧き上がりに、さらには対抗心が加わった。
もちろん、協力して全員で答えを出せばいい。それはいつでも変わらない。
けれど。
闘争心競争心なき向上心など生ぬるい真夏の水風呂みたいなものだ。
だから。
俺は同じテーブルでもりもりとドラゴンの肉(俺はミディアムレアに甘ったるいソースをたっぷりかけて普通のポテトを盛り合わせにした)を食べた同胞を、今回のライバルと勝手に認定した。
記憶をフル稼働させる。これまで見聞してきた全てが第一印象から情報をカテゴライズするためのデータの蓄積であり、うろ覚えの話や又聞きの説まで含めて引き出しを総ざらいする。特徴はなるほどこれで、ほう、ほう、ほう、連想がたちまち働き出す。有機的に知識が結合を開始し、断片的な周りの声からさらにそれが加速する。確実な論拠のあるものを選り分け、照らし合わせば、ほら、これは…!
―The undersigned:Joker as a Liar:城 華一郎
最終更新:2007年04月13日 21:38