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  護民官。
  アイドレス世界で唯一法を覆すことのできる存在にして、慈悲のアイドレス、と言われるアイドレスである。


  秩序、ルール、もしくは法。これは全て人のためにある。人が各々の権利を行使することで他の誰かの権利が侵され、争いや衝突が起こることのないように、もし起こってしまっても平和的に解決できるように、つまりは全ての人の権利が平和的に守られるよう定められたもの、それが法である。
  法は人が己以外と共存していく上で必要不可欠なシステムであり、その集団に所属するものには法を遵守することが求められる。

  しかし法は絶対ではない。それを行使するのが人である以上どうしてもミスは起こりえるし、想定外の出来事や法を適用すべきでない特殊なケースもまた、起こりえる。アイドレスにおいてもそれは例外ではない。
  では、裁定の際に弁護を置かず、上訴の仕組みも持たないアイドレス世界では、このような場合どう解決を図るのか。そう、このような時こそ護民官の出番なのである。

  アイドレス世界において、ルールから逸脱したものを発見・摘発するのが吏族であり、この逸脱を裁くことで秩序を正し守らんとするのが法官であるならば、法では守りきれぬものを救済という形で援護するのが護民官である。法の擁護から外れた民の嘆きを聞き、裁定を覆して救済に立ち上がることのできる護民官は、アイドレス世界の秩序における良心最後の砦と言える。

  また、護民官は既に下った裁定に唯一意見することができるが、その力の及ぶ範囲は多岐にわたり、それはすなわち護民官が強大な権力を有していることを意味している。強大な権力は切れ味鋭すぎる剣に似、使い方を誤れば大惨事を引き起こす。それゆえ護民官は誰よりも公正であらねばならず、謙虚であらねばならず、慈悲深くあらねばならない。官服に身を包み議事堂を主戦場とする護民官が警棒を持つのは、民を守るためなら武に依ることも辞さぬという決意を表すと共に、自身らの意識を常に律するためでもあるのだろう。警棒は民を守るための力であると同時に、自らの慢心と戦うための武器でもあるのだ。


  人の過ちは人の善をもって返されるべきであり、それゆえにただ、善を成す。そしてそれに足る人物であるために、自らを厳しく見つめ続ける。それが護民官というアイドレスを着る者の務めであり、護民官が慈悲のアイドレスと呼ばれる所以なのである。


(文責:蝶子)