黒い毛並みに金色眼。
いかにもだるそうな面持ちで机のど真ん中に転がる小さな猫士。
名を夜星と言う。
その精悍そうな名とは対極的にひどい怠け者である彼は、今日も今日とてだらける事に勤しんでいた。

ぷぁー

お正月といえばアレの奇妙な楽器の音が会議室に響く。
しょう…とか言っただろうか?
部屋の片隅でじょに子が物凄く楽しそうにぷぁーぷぁー鳴らしている。
猫の姿なのは愛嬌か。
そもそも指は足りるのか?

ぷぁー

いや…まぁ細かい事はいいか…
お正月。
お正月だ。
理由はよくわからないがだらける事が許されるどりーむでいず。

素晴らしい。

なんだか何処かのへたれ文族フィクションノートが文句を言っているような気がするが気にしない。

僕もあいつも似たようなものだ。

そう結論づけてごろりと寝返る。
あいつ…双樹とは名付け親だけあって似ているらしい。
悪いところだけは。
その他の点については圧勝だ。
ルックスも能力も毛並みもあいつには負ける気がしない。
脳内でうなだれる双樹の頭をふみふみして、勝利の余韻を満喫する。

にふふふふ。

口元に浮かぶ笑み。
これはアレだ。
僕が勝ったからにはお年玉をせしめねばなるまい。
勝者の権利という奴だ。
なんだか訳のわからない理屈を振りかざし跳ね起きる。
今までに無い充足感が身に満ちる。

お年玉~♪お年玉~♪

不規則に流れるじょに子のぷぁーと言う音に合わせて尻尾を降りながら夜星は歩き出した。
(文責:双樹真)

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最終更新:2008年04月02日 09:48