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『 その姿、高貴なるを無為とせず 』

『 帝國の騎士たる誉れを一身に顕現せり 』


クェスカイゼス -The Knight of Empire-


 一種の巨大な鎧である。
 重力センサーにより乗り手の動きを一部トレースすることで挙動に広がりを持たせている。
 反面、高位の剣士系(派生レベル2以上)でなければ扱えない、非常に特異な機体。
 機体の受けたダメージが乗り手に反映されるという弱点も持っている。

 その手に剣を握る痛みも実感もなき戦いに、真の力は生まれ得ぬという、設計者の信念ゆえだろうか。
 発掘兵器であるため、今となってはその欠陥とも言える機構を残した意図はわからない。

剣 -The Sword of Empire-


『 鋼の厚きは曲がらぬためよ 』 『 鋼の長きは貫くためよ 』
『 帝國の勇なる信義、ここにあり 』

 巨にして無双、折れず、曲がらず、貫徹せる、異形の巨大剣。
 重力制御を併用した吶喊は、あらゆる状況下においても全身で以て成す、必殺の意志である。

盾 -The Guard of Empire-


『 誇り篤きゆえ、決して通さぬ 』
『 心の鋼は無刃の力 』

 重厚にして巨大、されど愚鈍ならず。死なぬことは負けぬこと。
 重力制御により、取りまわしの軽さと防御時の加重による抵抗の屈強さとを両立させている。

 左腕自体とほぼ一体化しており、五枚羽根により拡大展開可能。

グラビティ・パイルカノン


 斥力場形成により腹部から、同サイズの機体に標準装備されている火器と同口径の鉄杭を連続発射する。
 腰部にスカート状のマガジンベルトを着装することで、装甲を兼ねた弾倉を確保している。

 機械制御式ではないため、遠距離レベルでは有効な射撃を行うことが出来ない。
 なお、弱点とならぬよう、普段は射出口を堅くカバーで閉ざしている。

構造


 各関節は重力制御球による球体関節となっている。
 また、スカート部分はパージ可能であり、身軽になることで、剣と盾による格闘戦特化を可能としている。

追加武装格納


 肩、胸、腰、いずれの装甲にも追加武装を格納可能である。
 重力砲の機構がシンプルなため、それぞれ特殊弾頭に換装することで対応状況を増やしている。
 以下はその一例である。

  • 資源消費:対アンデッド(銀の弾頭を持つ杭)
  • 生物資源消費:対生物(命中時の衝撃で毒を注入するタイプの杭)
  • 燃料消費:対小生物(無数に小型杭をばらまく多段式)

マント -The Heart of Empire-


『 騎士に授けたる祝福は、民よりの願いこそ相応しい 』

 オリジナルヴァージョンに使用されていた舞踏服と同様の素材を、帝國臣民一人一人の手になる想いの篭められた織布で代替している。
 宰相府を訪れた人々が、絶えることなく毎日一針ずつ織り上げた、真に聖なる願いの布。

 宰相自らの手によって密かに施された銀糸による精霊回路の刺繍は、単純な加護の力を持たせるためのものでしかないが、編んだものの想いを束ねるという効力も持っており、クェスカイゼスを操る帝國の騎士は、文字通り、託された想いを一身に背負うこととなる。


物語的補講


「クェスカイゼスは、兵器ではないのですか?」

 宰相の娘が父に問う。
 年老い、古木のように枯れた顔が、頷いた。
 深い年輪を携えた、頷きであった。

 静謐な空間に響き渡るのは、老齢の体を労わるような、弱い空調の音だけである。
 二人は立って、並んで同じ方向を見つめていた。
 強化ガラス越しにある、広大な空間を。

「I=Dの基となったあれも、元は、祭具として作られたのだよ。
 願いを叶えるための大きな体、想いを届かせるための複雑な力、それらはみんな、後からついてきたものに過ぎない。
 戦いがまだ儀式であった頃、舞踏をするために織られた服と、何ら変わりはない。
 移ろうた目的のために、原点を離れた。それだけのことなのだ、娘よ。」
「では、何故、今再び、その力を兵器として目覚めさせたのですか。」
「――――。」

 宰相は、娘の問いに自らの髭をなでつける。
 歳月の降り積もり、すべてが覆われた、白。
 その白を、時の重みに削ぎ落とされた、細い手で。 

「もう一度、見つめねばならぬ時が来たのだろうね。」
「何を?」

 二人の眼下には、世界を選ぶことのない鋼の騎士が佇んでいた。
 テスターとなる者が、開放された装甲の隙間に潜り込もうとしている。

「私達の今に連なる、過去をだよ。娘よ。」

 ハッチに吸い込まれる人影。
 再びそれが閉ざされた瞬間から、黒金の鈍い輝きが、瞬く照明に、奇妙に息づいて見えるのは錯覚だろうか。

「それはいつでも忘れてはならないものだ。
 私達が、どこから来て、どこへ行くのか、その、意志を。」

 鋼の目に、光が宿る。
 熱く心に燃えるその色と、同じ色をした、騎士たる光。
 信ずるものを護るための、誇りの光の色をした、目が。
 二人をじっと、見上げていた。

「私達は、決して忘れてはならぬのだ。」

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イラスト:春雨(はるあめ)
文:城華一郎(じょう かいちろう)